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[Exhibition] Fleur van Dodewaard / THE FOLD

Added on by Yusuke Nakajima.

この度POSTでは、オランダ人アーティスト、Fleur van Dodewaard (フルール・ファン・ドーデワード) による展覧会「THE FOLD」を開催致します。彼女は昨年の9月にもPOSTで「left hand right hand」を発表しています。

©︎Fleur van Dodewaard

【展覧会概要】

Fleur van Dodewaard / THE FOLD
会場: POST
   〒150-0022 東京都渋谷区恵比寿南2-10-3
会期: 2022年6月3日(金)~2022年6月26日(日)
時間: 11:00-19:00
定休日: 毎週月曜日
協力: Mondriaan Fund、Amsterdam Fund for the Arts、Jaap Harten Fund
作家ホームページ: https://www.fleurvandodewaard.com/

©︎Fleur van Dodewaard FROM THE SERIES: SUN SET SERIES, 2011

フルール・ファン・ドーデワードは、木、紙、粘土、テープ、絵の具などのシンプルな素材を使用し、写真、彫刻、絵画の可能性を探る活動を行っています。美術史の参照やイメージ制作に関する言説を通して、新旧のイメージ、オブジェクト、アイデアが絶えず関連し合うような条件を追求するような作品を、最終的には写真という形で表現しています。

今回の展覧会では本というメディアの制作方法である、「折る、切る、綴じる」の原則に注目し、10年間の実践をまとめました。
書籍「THE FOLD」は本を作るという行為に関して作家とデザイナーが話し合い生まれた書籍で、道具としての本について考え、その芸術的な前提や構築のシステムを明らかにしています。2010年から2021年の間にアムステルダム、モスクワ、有田、京都で制作されたイメージは、厳密なルールに従い、各作品がそれぞれ異なった21種類の紙の上に印刷されています。

今回の展覧会では、書籍の制作段階であるプリントシートの展示と「THE FOLD」の展示販売を行います。
制作の途中段階の形態であるプリントシートは、それ自体が展示されることを想定して制作されているため、ページサイズに裁断される前の単なるシートではなく、それ自体が一枚の作品として成り立つようにデザインされています。
そのため、展示スペースでは物理的に書籍の中に入り込むような体験をしていただけるような構成となっております。

この機会にぜひお立ち寄りいただけますと幸いです。

©︎Fleur van Dodewaard

 

【書籍情報】

タイトル:THE FOLD
アーティスト:Fleur van Dodewaard
出版社:FREE PONY PRESS
発行年:2022年
仕様:ソフトカバー/295 x 210 mm/312ページ
デザイン:Our Polite Society
ISBN:9789083227405

[Exhibition] Sarah Bildstein / Excerpts

Added on by Yusuke Nakajima.

English follows Japanese
この度POSTでは、オーストリア人アーティストのサラ・ビルドスタインの展覧会を開催いたします。彼女の個展が日本で開催されるのは今回が初めてです。

Austria #049, 100 Spectres, 2020 ©︎Sarah Bildstein

【展覧会概要】
Sarah Bildstein / Excerpts
会場:POST
   〒150-0022 東京都渋谷区恵比寿南2-10-3 
会期:2022年4月22日(金)~2022年5月22日(日)
時間:11:00-19:00
定休日:毎週月曜日 
協力: Land Vorarlberg, オーストリア文化フォーラム東京
作家在廊スケジュール: 5月13日(金)15:00-19:00, 5月15日(日)15:00-19:00, 5月21日(土)16:00-19:00, 5月22日(日)16:00-19:00


サラ・ビルドスタインは抽象画の可能性を探るべく、制作活動を続けているアーティストで、現在は東京を拠点に活動しています。
今回は彼女の作品の中から「100 Spectres」と「Unknown - April April」のシリーズを展示し、作品集「100 Spectres」の販売も行います。

水は私たちにとって不可欠な要素であり、地球上の資源であり、そして多くの政治的紛争の道具になりうるものです。「100 Spectres」は、水不足や水質汚染など水に関する危機の背景を取り上げ、気候変動の原因と影響を反映させた作品です。
コンスタンツ大学の高等研究機関の科学者と共同で制作した今作では、水不足に悩んでいる地域、比較的CO2排出量の多い工業地域、そして海面上昇により水没の危機にある島など、世界中から水のサンプルを100個集めました。そのサンプルをクロマトグラフィーと呼ばれる物質を成分ごとに分離する手法で変質し、紙の上に流れるようなスペクトルとして描き出したのです。
この100枚のペインティング作品に見られる多様な色は、彼女が水を採取した場所の条件によって設定したものです。書籍内のインデックスには、100点の水の成分やパラメータが記載され、それぞれの絵に使用されるインクの量や濃度が示されています。

Photos by Patrizia Sinistra ©︎Sarah Bildstein

「Unknown - April April」は、水、インク、米、砂、石鹸、油絵具などの素材間の実験に焦点をあてた作品になります。素材から芸術への不思議な変換を感じ取ることのできる作品群で、その痕跡は絵の具の中に見ることができます。旅人が初めて横断する風景のような、しかし不思議と見覚えがあるような、制作過程に常に漂う不可解さを残しています。 科学的な手法によって制作に取り組んだ「100 Spectres」とは違った、抽象画のシリーズとなっています。
展示初日の22日は、作家の在廊も予定しております。作家の日本初となる作品発表の機会に、みなさまのお越しをお待ちしております。

taboh eile, Unknown - April April, 2020 ©︎Sarah Bildstein

Sarah Bildstein / Excerpts
The works of Austrian artist Sarah Bildstein take up the medium of painting as an expansion of what constitutes the painterly space.
The exhibition Excerpts at POST shows works of the two series 100 Spectres (2018-20) and Unknown - April April (2020-21).
The first presents a complex play with scientific methods and a reflection on the diversity and aesthetic meaning of water; the spectral works on paper use the visible creative power of water and its fluid materiality as a starting point. Presented here is a selection out of 100 original paintings created using the process of chromatography from water samples collected worldwide and analysed in the laboratory. All 100 unique works on paper can be seen in her book.
The second series focuses on experiment on the interaction between materials such as water, ink, rice, sand, soap, and oil paint. Traces remain discernible within the layers of the painting, which retains an inexplicability that always permeates the mysterious transformation of materials into art, and process of creation akin to a traveller crossing a landscape for the first time, that nonetheless feels uncannily familiar.

 

【書籍概要】

Sarah Bildstein / 100 Spectres

Verlag für moderne Kunst
ハードカバー
280 x 210 mm
140ページ
2021年

[Exhibition] Takashi Homma / REAL ESTATE OPPORTUNITIES

Added on by Yusuke Nakajima.

この度POSTでは、ホンマタカシによる「REAL ESTATE OPPORTUNITIES」の出版を記念し、展覧会を開催いたします。

©︎Takashi Homma Courtesy of TARO NASU

【展覧会概要】

Takashi Homma / REAL ESTATE OPPORTUNITIES

会場:POST
  〒150-0022 東京都渋谷区恵比寿南2-10-3
会期:2022年3月1日(火)~2022年4月3日(日)
時間:11:00-19:00
定休日:毎週月曜日
協力: TARO NASU

 

今回出版される「REAL ESTATE OPPORTUNITIES」は、ホンマタカシ、田中義久、POSTの三者による共同プロジェクトとして2014年にスタートしたエド・ルシェへのオマージュシリーズです。

エド・ルシェはアメリカ出身のアーティストで、1960年代から1970年代にかけて写真を用いた一連のアーティストブックを制作しています。そのアーティストブックは、後世のアーティストや写真家たちに大きな影響を与え、再解釈やイミテーション、パロディーなど、世界各国の作家たちによる多様なオマージュを生み出しました。
そうして生まれたオマージュ作品は世界で100冊以上にのぼり、その出版物をルシェ自身が容認することにより、アーティストブックの在り方や解釈が大きく広がりました。

「REAL ESTATE OPPORTUNITIES」はホンマにとって10作目の刊行となります。
オリジナル版では、ロサンゼルスの販売中の土地の写真が収録されており、ホンマは東京の販売中の土地の写真を撮影し、一冊にまとめました。
この機会を記念し、展覧会では「REAL ESTATE OPPORTUNITIES」の他に同シリーズの過去のプリント作品から数点、そして今までホンマが刊行したルシェのオマージュ作品集を全て展示いたします。

また会場では作品集「REAL ESTATE OPPORTUNITIES」の他に、過去作の販売も行う予定です。

過去作と合わせて一連のシリーズをご覧いただける機会となっておりますので、みなさまのご来場をこころよりお待ちしております。

 

【書籍概要】

タイトル:REAL ESTATE OPPORTUNITIES

ソフトカバー
177 x 140 mm
白黒図版 48p
3,000円 + 税

[Exhibition] アバロス村野敦子 / Empty Nests Exhibition

Added on by Yusuke Nakajima.

この度POSTでは、写真作家・アバロス村野敦子による書籍の出版を記念し、「Empty Nests Exhibition」を開催いたします。

©︎Atsuko Murano Abalos


【展覧会概要】
アバロス村野敦子「Empty Nests Exhibition」 

会場:POST
  〒150-0022 東京都渋谷区恵比寿南2-10-3 
会期:2021年11月11日(木)~2021年11月28日(日)
時間:11:00-19:00
定休日:毎週月曜日 

アバロス村野敦子は、モチーフとなる被写体、場所、史実等と自身との出会いを起点に、点と点を結ぶようにコンセプトを構築し、作品を制作する写真家です。

本書は赤子を運んで来るという伝承で有名なコウノトリの巣がテーマとなっています。
子供を授かることのなかったアバロス夫妻はコウノトリ伝承で有名なアルザス地方を訪れた際、直接鳥たちに文句を言ってみようと話していたそうです。しかし彼女たちがアルザス地方に到着したのは冬に差し掛かる前。渡り鳥であるコウノトリはすでに海を越え、暖かいアフリカ大陸にいる頃でした。

空っぽの巣の写真がタイポロジー的に編集された今作は、空(から)というものを見つめ続けた記録です。
空(から)は無と同義ではなく、他の可能性を持つ余地なのではないでしょうか。

展覧会では写真作品の展示販売、そして作品集の販売を行います。また、関連イベントの開催も予定しております。

この機会に皆様のお越しをお待ちしております。


【書籍概要】

タイトル: Empty Nests
販売価格:4,400円(税込)
アーティスト:アバロス村野敦子 
サイズ:B4変形
ページ数:52ページ
表紙:布張り・箔押し
製本:角背上製本PUR無線綴じ
本文:2つ折り、袋とじ

写真:アバロス村野敦子
表紙イラスト:大神慶子
デザイン:伊野耕一
テキスト:中村拓志(建築家・NAP建築設計事務所)
出版社:LibroArte, Inc.

*POSTではサイン入りの書籍をご用意しております。



©︎Atsuko Murano Abalos


【関連イベント】
新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、イベントに参加される方のマスクの着用を必須とさせていただきます。

ワークショップ:「鳥の巣作ろう」
絵本作家であり、鳥の巣博士の鈴木まもる氏による、鳥の巣作りのワークショップです。鳥の気持ちになって実際に巣を作り、命について、自然について、自分について考えてみましょう。
子供向けのワークショップとなっておりますが、ご興味のある方は観覧も可能です。

日時:11月20日(土) 13:00-15:00(12:30より受付)
会場:POST
参加費:2,000円(税込)
ワークショップ参加定員:20名(付き添いの方を含めて)

※ワークショップへの参加は定員に達したため締め切らせていただきます。現在は聴講のみ受け付けております。

※鳥の巣作りに参加されるお子様の保護者の方(1名)の参加費は上記2,000円(税込)に含まれます。
※ワークショップ聴講・観覧のみをご希望の方は1,000円(税込)となります。
※参加費のお支払いは現金のみのご対応となります。
※要予約。ご参加をご希望の方は件名を「イベント参加希望:鳥の巣作りワークショップ」とし、
 post@post-books.jp まで
・お名前
・お電話番号
・参加人数
ワークショップ参加 or 聴講・観覧のみ
を明記のうえお申し込みください。

鈴木まもる
画家・絵本作家・鳥の巣研究家
1952年 東京に生まれる。東京藝術大学美術学部工芸科中退。現在は伊豆半島在住。

絵本作品
「せんろはつづく」「すすめ きゅうじょたい」「てをつなぐ」(金の星社)「みんなあかちゃんだった」「だっこ」(小峰書店)「ピンポンバス」「おはよう!しゅうしゅうしゃ」「いそげ!きゅうきゅうしゃ」(偕成社)「だんろのまえで」(教育画劇)「ウミガメものがたり」(童心社)「いのちのふね」「つかまえた!」(講談社)など。

1995年「黒ねこサンゴロウ」シリーズで赤い鳥さし絵賞受賞。
2006年「ぼくの鳥の巣絵日記」で講談社出版文化賞絵本賞受賞。
2015年「ニワシドリのひみつ」産経児童出版文化賞受賞。
2016年「世界655種、鳥と卵と巣の大図鑑」あらえびす文化賞受賞。
2021年「あるヘラジカの物語」(あすなろ書房)親子で読みたい絵本大賞受賞。

鳥の巣の展示
1998年 東京新宿のギャラリー高野にて、日本初の「鳥の巣展覧会&原画展」を開催。
2002年 ニューヨークのギャラリーAnnexにて初の海外展「NESTS」を開催。
2003年 大阪市立自然史博物館、横浜ランドマークタワー等で展示。
2004年 大分アートプラザにて「鳥の巣展覧会&原画展」を開催。
2006年 東京武蔵野市立吉祥寺美術館。「実物とイラストで見る鳥の巣の造形美」開催。
2008年 上野動物園、『世界の鳥の巣と原画展』。2009年 渋谷ギャラリー櫟「鳥の巣と絵本原画展」
2012年 坂出市民美術館以降、全国各地で展覧会を開催。他多数。

鳥の巣を扱った著書
「鳥の巣の本」「世界の鳥の巣の本」「ニワシドリのひみつ」「鳥の巣つくろう」(岩崎書店)「鳥の巣みつけた」あすなろ書房)「ぼくの鳥の巣絵日記」「鳥の巣いろいろ」「ふしぎな鳥の巣」「鳥の巣ものがたり」「ツバメのたび」「日本の鳥の巣図鑑、全259」(偕成社)「ぼくの鳥の巣探検」「世界の鳥の巣をもとめて」(小峰書店)「おじいさんとヤマガラ」(小学館) アメリカにて「世界の鳥の巣の本」英語版出版。「世界655種 鳥と卵と巣の大図鑑」(ブックマン社)「ぼくのたからもの」(アリス館)「生きものたちのつくる巣 109」(エクスナレッジ)「わたり鳥」(童心社)「巣箱のなかで」(あかね書房)

TV出演 
NHK「新日曜美術館」、「生活HOTモーニング」、「視点。論点」、「モリゾートキッコロ」。BS2「熱中時間」「ダーウィンが来た!」では鳥の巣関連のアドバイスなど。



トークイベント:「Empty Nests|空(から/くう)と向き合うこと」

「なぜ私たちのところには来てくれなかったのだろう?」。コウノトリに会いに夫婦でアルザスに着いたものの晩秋で、旅立ち後の空(から)の巣を見上げることになった村野。主が不在の巣…「空(から)」であることに向き合う中から、不思議にもエネルギーが湧いてきたという。サンスクリット語で空(くう)の語源は「家に人がいない」「期待される何かを欠いた」を意味する。しかしそれは予想外の<何か>を含むともいえないだろうか。新作「Empty Nests」は、村野が「空(から/くう)」に向き合うことで、新しい何かを生み出し育んだ過程でもある。「空」とは様々な可能性を潜在させた空間であり、本作には、見る側それぞれが想像をめぐらせていく自由が空いている。フォッサマグナ、漂着物を拾う人、二つの長い橋…。村野の扱うテーマは、一見異なるものの、自身の体験や記憶、家族との関係から切実に感じたことに寄り添うことから発されている。本トークでは、「Empty Nests」を中心に、村野がこれまでの作品で培ってきたまなざしや世界との関係を語る。
(文:四方幸子)

登壇者: 四方幸子、アバロス村野敦子 
日時:11月21日(日) 15:00-16:30(14:30より受付)
会場:POST
参加費:1,000円(税込)
定員:25名

※参加費のお支払いは現金のみのご対応となります。
※要予約。ご参加をご希望の方は件名を「イベント参加希望:トークイベント」とし、
 post@post-books.jp まで
・お名前
・お電話番号
・参加人数
を明記のうえお申し込みください。

四方幸子(しかた ゆきこ)
キュレーター/批評家。多摩美術大学・東京造形大学客員教授、IAMAS・武蔵野美術大学非常勤講師。データ、水、人、動植物、気象など「情報フロー」から諸領域を横断する活動を展開。1990年代よりキヤノン・アートラボ(1990-2001)、森美術館(2002-04)、NTT ICC(2004-10)と並行し、フリーで先進的な展覧会やプロジェクトを多く実現。2020年の仕事に美術評論家連盟シンポジウム「文化/ 地殻 / 変動 訪れつつある世界とその後に来る芸術」(実行委員長)、オンラインフェスティバルMMFS2020(ディレクター)、山川冬樹「DOMBRA」(東京港海上)、「ForkingPiraGene」(共同キュレーター、台北C-Lab)他。2021年の仕事にフォーラム「想像力としての<資本>」(京都府)、「EIR(エナジー・イン・ルーラル)」(青森ACAC+南イタリアLiminaria)、フォーラム「精神というエネルギー|石・水・森・人」(一社ダイアローグプレイス)など。国内外の審査員を歴任。共著多数。yukikoshikata.com

©︎Atsuko Murano Abalos


【展覧会テキスト】 
2年前の旅の主なる目的はパリにあったが、他の街にも行ける時間の余裕があり、私と夫はアルザスに行くことにした。

アルザス地方では、コウノトリ伝承が有名である。
「なぜ私たち夫婦のところには来てくれなかったのか」
コウノトリを見つけたらそう文句でも言ってみようか、などと列車の中で話をしていた。

コウノトリは春から秋にかけてヨーロッパで子育てをした後、秋冬は暖かいアフリカ大陸に渡る。そう知ったのは、晩秋のアルザスに着いた後だった。そうして私たちは、主のいない空の巣ばかりを見上げ続けることになった。

空の巣は多くのことを語ってくれたり、投げかけたりしてくれ、私の心を揺さぶった。空(から)には不思議な力があるようだ。サンスクリット語において、空の語源は「家に人がいない」というような時に使われ、それは「期待される何かを欠いた」状態という意味らしい。

カメラもその中身は空ではないかとふと思い及んだ。

カメラ・オブスキュラの原理からも分かるように、基本構造を考えると中は空洞であり、空の箱に等しい。

空の箱が意思を持って対象に向かう時、暗い空間が開く。そして光とともにその表像を内に取り込んで写真が生まれる。期待して欠けながらも無ではない「空」をとらえ、肯定された世界は明るく、見晴らし良く見えて来た。

【作家略歴】 
プロフィール 
兵庫県宝塚市出身。聖心女子大学文学部卒業後、商社勤務を経て渡米。留学先であるアート・インスティチュート・オブ・シアトル(AIS)ではコマーシャル・フォトグラフィを専攻し、同校卒業後はシアトルの白黒写真専門ラボでプリンターとして経験を重ねる。帰国したのちは日本国内で商業写真撮影、海外の雑誌取材を中心とした活動を展開し、その後本拠地をシンガポールに移す。2013年以降は活動の場を東京に戻し、現在は写真作家として表現の幅を広げる。

作家活動 
アバロス村野敦子の芸術的実践は、「人々が人生で出くわすさまざまな出来事」に着目することからはじまる。 かつて自らが経験してきたこと、現在我が身に起こっていること、世界で起こっていること...。主に本人が実際に体験したり見聞した出来事を基礎として、ドキュメンタリー的手法を用いながらまるで物語を紡ぐようにオリジナルの作品世界をつくりあげる。コンセプトをかたどるシークエンスは、作家のみならず、 鑑賞者をも含む各人の体験にあまねく通底する共通項、すなわち相似性を暗に示す。 


[Exhibition] 石野郁和 / TINTED LINES

Added on by Yusuke Nakajima.

この度POSTでは、写真家・石野郁和による作品集『TINTED LINES』の出版を記念し、展覧会を開催いたします。 会場では作品集およびプリント付きのスペシャルエディションを先行販売し、本展に合わせて作家も来日致します。

© Fumi Ishino

【展覧会概要】
石野郁和「TINTED LINES」
会期: 2021年3月23日(火)~2021年4月18日(日)
会場: POST
〒150-0022 東京都渋谷区恵比寿南2-10-3
時間: 11:00-19:00
定休日: 毎週月曜日
協力: torch press

石野は、2017年にMACKから『rowing a tetrapod』を刊行し、2019年には東京都写真美術館で開催された「小さいながらもたしかなこと日本の新進作家 vol.15」に参加するなど、視覚や言語による認識の揺らぎを用いて、さまざまなヒエラルキーを再考する写真作品を発表してきました。

「TINTED LINES」は、ロサンゼルスを歩きながら、場所や物事が区切られ、分断されるさまざまなシーンを切り取ることで、新たな視覚言語を生み出しています。見えるものも見えないものも含めて場所を分かつ線、その線が引かれた空間を跨ぐと監視、分類化された社会構造の層が浮き上がり、高級住宅街、再開発地区、公共施設、美術館、郊外、民族や人種によって区切られている地域で、領域や所有権のせめぎ合いが行われています。石野は、身体を使って移動することは境界線を引き直す行為だと捉え、写真はその過程を記録し、構図、光、シークエンスによって、固定化した空間の輪郭を滲ませようと試みます。 作品集と展示は相互にダイアログを形成しており、作品集では黒を基調とし、まるで映画のワンシーンが流れるように、淡々とイメージの断片が刻まれています。展示では分断された空間の接点を描写するため、出版物の内容及び編集でカットされた写真を融合、再生成した作品で構成しています。水、それは石野の住む都市において欠落しながらも重要な表象であり、歴史の中で文化が交差する流れを作ってきました。それを使い、OHPシートの乳剤を溶解することで視覚言語と空間の情報を解体、ぼかし、貼り合わせています。

イデオロギーや記号の縫われた線を濁し、内と外の関係性を曖昧にした時、私たちの視点や解釈はどのように揺れ動くのでしょうか。
石野の新作を作品集と展示の双方の異なるアプローチを通して、ぜひご高覧いただけますと幸いです。

© Fumi Ishino

【写真集概要】

タイトル: TINTED LINES
アーティスト: 石野郁和
テキスト: アマンダ・マドックス
(J・ポール・ゲティ美術館 アソシエイトキュレーター)
出版: torch press
仕様: 272 x 230 mm / コデックス装、ビニールカバー / 128P
言語: 日本語・英語
定価: 4,500円+税
ISBN: 978-4-907562-28-1 C0072
https://www.torchpress.net/product/2957/

プリント付きスペシャルエディション
オリジナルプリント(プリントサイズ216×279mm、絵柄2種より選べます)、作品集、特装箱入り、各エディション15
定価: 25,000円+税

【作家略歴】

石野郁和 | Fumi Ishino
1984年、兵庫県生まれ。2012年、ロチェスター工科大学卒業。2014年、イェール大学大学院修了。現在ロサンゼルスを拠点とする。
2015年、「ジャパンフォトアワード2015」受賞、「キヤノン写真新世紀」佳作。Fraenkel Gallery、FLAG Art Foundation、Houston Center for Photographyなどの展覧会に参加している。2017年に初写真集 『Rowing a Tetrapod』(MACK)を刊行。2019年に東京都写真美術館で開催された「小さいながらもたしかなこと 日本の新進作家 vol.15」展に参加。2021年に私家版『Index of Fillers』をAssemblyとの共作で出版、またtorch pressより『TINTED LINES』を刊行。

© Fumi Ishino

© Fumi Ishino

[Exhibition] NEOTOKYOZINE

Added on by Yusuke Nakajima.

この度POSTでは、 G/P+abpによる展覧会、「NEOTOKYOZINE」を開催いたします。

【展覧会概要】
「NEOTOKYOZINE」
会期:2020年8月1日(土)~2020年8月30日(日)
会場:POST
〒150-0022 東京都渋谷区恵比寿南2-10-3
時間:11:00-19:00
定休日:毎週月曜日
主催: G/P+abp、 POST

G/P+abpは、静岡県浜松市にあるG/P galleryと、その出版部門であるartbeat publishersの総称で、2008年の発足から、若手写真アーティストの発掘、サポート、プロデュースに注力してきました。 NEOTOKYOZINEとは、G/P+abpがFUJI XEROXとのコラボレーションにより出版する、写真集のニュープラッ トフォーム・プロジェクトです。

世界のアートブックフェアの盛り上がりとZINEカルチャーの興隆の背景には、安価に高品質な印刷を行うことを 可能にしたデジタル出力機の進化があります。

今回FUJI XEROXの協力により、ハイエンドプロ市場向けデジタルプリンター「Iridesse Production Press」を利用し、必要数に応じた部数のみを継続的に制作できる仕組みを取り入れました。 その新たなシステムを活用したのが、このNEOTOKYOZINEプロジェクトです。

展覧会では、ZINEの展示販売の他に、インスタライブなどのイベントを予定しております。

この機会にみなさまのお越しをお待ちしております。

【出展作家】
伊藤桂司、岡田佑里奈、五木田智央、後藤繁雄、小林健太、鈴木親、港千尋、横田大輔、and more

[Exhibition] Noritake: WORKS

Added on by Yusuke Nakajima.

この度POSTでは、イラストレーターのNoritakeの初作品集「WORKS」の刊行を記念し、 展覧会を開催いたします。

【展覧会概要】
Noritake: WORKS

会期:
5月1日(金)~ Instagram、オンラインストアにて展覧会スタート
5月7日(木)~ 実店舗での展覧会オープン予定
6月14日(日)まで

※会期が上記日程まで延長となりました。

※コロナウィルスの感染拡大状況により、実店舗での展覧会スケジュールが変更になる可能性がございます。
最新情報は弊社SNSにてご確認くださいませ。
※オープン時は混雑を避けるため、お客様の入店数を制限させていただく場合がございます。ご理解の上、ご来店くださいませ。
※ 実店舗の休業中もオンラインでのご購入、お問い合わせは随時承っております。

会場:POST
〒150-0022 東京都渋谷区恵比寿南2-10-3
時間:12:00-20:00
定休日:毎週月曜日
オンラインストア:www.post-books.shop
Instagram:@post_books

Noritakeは、自主的にプロダクト制作や出版、展示による活動を展開し、イラストレーターの新しいロールモデ ルを実践している点でも注目されています。いち個人が「絵を描くこと」を通じてどのように社会と関係を結べ るのか。Noritakeの活動のあり方は、イラストレーションという行為を改めて社会の中に生産的に位置付けよう としているのではないでしょうか。

デビューから現在にいたるNoritakeの仕事を400ページ以上の圧倒的なボリュームでまとめた初の単著作品集が 「WORKS」です。

「それぞれのプロジェクトが時間や空間を超えて書物という形態の中に編成されることで、どのように解釈され、 どのようなコンテクストに接続されるのか。本書もそのような意味で世界に対して投げかけられたプロジェクト であり、Noritakeのプロダクトである。」
(本書序文より)



本展は、本書に収録された作品群を抜粋し、空間に再編成することで、本書でのプロジェクトを立体的に構築しようとする試みです。また、本展に合わせて制作されたシルクスクリーン作品や「WORKS」特装版も先行販売いたします。

「WORKS」スペシャルエディション

【作品集概要】
タイトル:WORKS
編集:室賀清徳
デザイン:坂田佐武郎(neki inc.)
撮影:成田舞(neki inc.)

通常版
体裁:A5判、並製、432ページ
発行:グラフィック社
刊行日:2020年4月
ISBN:9784766133363
価格:3,200円+税

Special Edition
体裁:A5判、上製、432ページ
ハードカバー函入り、初版500部限定
発行:Noritake
刊行日:2020年5月
定価:8000円+税

【略歴】
Noritake
イラストレーター
モノクロドローイングを軸に広告、書籍、雑誌、 ファッション、壁画など国内外で活動。 デザインやディレクション、作家活動もおこない、 その活動は多岐にわたる。 イラストをもちいたノートなどのプロダクト制作も精力的におこなう。
https://noritake.org/

[Information] トークイベント開催に関して

Added on by Yusuke Nakajima.

現在開催中の展覧会、アバロス村野敦子「Fossa Magna - 彼らの露頭と堆積」 に関連したトークイベントを3月22日、3月25日に予定しておりましたが、この度開催を延期することと致しました。楽しみにしていてくださった方に、心よりお詫び申し上げます。
現在の時点で、4月上旬以降の開催を予定しておりますので、日程が決まり次第、再度お知らせいたします。
また、店舗の方は通常通り営業をしております。

[Exhibition] アバロス村野敦子/ Fossa Magna - 彼らの露頭と堆積

Added on by Yusuke Nakajima.

この度POSTでは、写真作家・アバロス村野敦子による書籍の出版を記念し、「Fossa Magna - 彼らの露頭と堆積」を開催いたします。

© Atsuko Murano Abalos

【展覧会概要】
アバロス村野敦子「Fossa Magna - 彼らの露頭と堆積」 
会期:2020年3月6日(金)~2020年4月19日(日)
会場:POST
〒150-0022 東京都渋谷区恵比寿南2-10-3 
時間:12:00-20:00
定休日:毎週月曜日 
オープニングレセプション:2020年3月6日(金) 18:00 -20:00 
※会期が延長となりました。



アバロス村野敦子は2017年度キヤノンマーケティングジャパン主催の写真家オーディション「SHINES」にて、 造本家・町口覚によって選出されました。その後2年の制作期間を経て、町口が編集・造本設計した写真集が完成。 昨年の11月に開催された世界最大規模の国際的な写真フェア「PARIS PHOTO 」で発表されました。 

本書は日本列島の本州中央部を横断している地溝帯、「フォッサマグナ」が中心テーマとなっています。その地 溝帯を発見したドイツ人地質学者のエドムント・ナウマン、彼がフォッサマグナを発見した時のエピソードに心 惹かれリサーチと撮影を行なったアバロス村野敦子、そして彼女の夫であるアバロス・ カルロが書いたテキスト。 3つの要素が重なり合い、多層的な特徴を持つ作品集となりました。 

展覧会では、本の世界観を立体的に表現し、また仕様が変更された同書を販売いたします。 展覧会初日にはレセプションパーティーの開催も予定しております。 みなさまのお越しをお待ちしております。 



スクリーンショット 2020-02-29 16.44.01.png

【写真集概要】 
タイトル:
Drifting across the sea, 
Searching for a place to belong. 
Finding a new home,
And calling it their own. 

Just like the Fossa Magna, 
Years gone by,
Layer by layer,
Unseen, but to be known. 

アーティスト:アバロス村野敦子 
編集・造本設計:町口覚
デザイン:浅田農(MATCH and Company Co., Ltd.) 
テキスト:英語(別冊:日本語) 
発行年:2020年 

【写真集仕様】
・POST Edition (in Black & White)  限定100部 
 B5変形判
 ソフトカバー
 167mm x 257mm
 全68ページ
 日本語訳冊子付き 
 ¥ 3,000 (税抜) 

・POST Special Edition (in Color) 限定10部 
 B5変形判 
 ハードカバー(赤色バージョン) 
 176mm x 263mm 
 全68ページ 
 日本語訳冊子付き 
 ¥ 9,000 (税抜) 

【関連トークイベント】

※トークイベントの開催は延期となりました。


日時:2020年3月22日(日) 14:00- 15:30
登壇者: 竹之内耕、四方幸子、アバロス村野敦子
参加費:1,000円 (当日、現金のみ)

日時:2020年3月25日(水) 18:30- 19:45
登壇者 町口覚、田中義久、アバロス村野敦子
参加費:1,000円 (当日、現金のみ)

会場:POST
〒150-0022 東京都渋谷区恵比寿南2-10-3

ご参加をご希望の方は、post@post-books.jp まで
・お名前
・お電話番号
・参加希望日
・参加人数 を明記のうえお申し込みください。

※イベントの開催はキャンセルとなる場合がございます。ご了承ください。

© Atsuko Murano Abalos

© Atsuko Murano Abalos

【展覧会テキスト】

東京という大都市の下に「大きな溝」が横たわっている。

東京を含む日本列島の本州中央部に横たわる地溝帯のことを「フォッサマグナ」(ラテン語でFossa=溝、 Magna=大きな)といいます。名付け親であるドイツ人地質学者のエドムント・ナウマン(Edmund Naumann, 1854-1927)は明治初期に来日した際、日本の地質研究の調査の途中で立ち寄った長野・野辺山にて一夜を過ご しました。翌朝、出発しようと外にでたときにその目に飛び込んできたのは、立ちはばかる大壁のような南アル プスでした。そして、自身はその壁の下の幅広い低地の縁に立っている。巨大な地溝帯、すなわちフォッサマグ ナの存在に気がついた瞬間でした。

人々が漠然と見ていた光景が、彼の目には違う意味をもつものとして映っていた--。写真を通じて「みること 」についてを繰り返し考えてきたアバロス村野敦子は、ナウマン氏の発見当時のエピソードに強く惹きこまれま した。彼の「みたもの」の正体を探し求め、自らも「みたい」。内奥から湧き上がるその希求に突き動かされ、 フォッサマグナにまつわるリサーチと撮影をはじめました。 それを続けるうちに、彼女は「『みている』と思っているものの多くを本当にはみていないのだ」と幾度となく 思いました。けれどもみえないものの存在が「理解」や「感覚」によってみえてくる。フォッサマグナの露頭 (=地表に露出した箇所)を通じて、「みえ」やその「差」について考察するようになりました。「私たちはそ れでもやはり 「みること」で何かに繋がってゆけるのだ」と。

やがて、彼女は自らが暮らす東京での日常に目を向けるに至りました。地殻変動による隆起、海底火山の噴火、 噴火物の堆積によって溝が埋められ、ついにはその陸地がふたつの分断された土地をつなげる。こうした過程を 経てできた新しい土地のうえにある東京で、これからも生活は続き、同時に地殻変動も絶えずなされていく。 日々立ち現れるイメージを「露頭」に、そして積み上がっていくものを「堆積」と捉え、これからもずっと、層 をなすように作品制作を積み重ねていくのです。

写真集の中面において、写真イメージ同士の隙間を埋めるように配置されたテキストは、夫のアバロス・カルロ によるもの。ふたりの何気ない日常の断片が垣間見られることばのかけらたちが、本作の持つ多層的な内容の一 部をなし、「溝を埋める」という重要な装置として機能しています。

© Atsuko Murano Abalos

【作家略歴】

プロフィール
兵庫県宝塚市出身。聖心女子大学文学部卒業後、商社勤務を経て渡米。留学先であるアート・インスティチュー ト・オブ・シアトル(AIS)ではコマーシャル・フォトグラフィを専攻し、同校卒業後はシアトルの白黒写真専門ラ ボでプリンターとして経験を重ねる。帰国したのちは日本国内で商業写真撮影、海外での雑誌取材を中心とした 活動を展開し、その後本拠地をシンガポールに移す。2013年以降は活動の場を東京に戻し、現在は写真作家とし て表現の幅を広げる。

作家活動
アバロス村野敦子の芸術的実践は、「人々が人生で出くわすさまざまな出来事」に着目することからはじまる。 かつて自らが経験してきたこと、現在我が身に起こっていること、世界で起こっていること...。主に本人が実際 に体験したり見聞した出来事を基礎として、ドキュメンタリー的手法を用いながらまるで物語を紡ぐようにオリ ジナルの作品世界をつくりあげる。複数の写真、ときに学術的著述や散文的なテキストが差し込まれることによ り生まれる表現は、ひとつのまとまりでこそ成立し、コンセプトを的確に訴求する役目を果たす。この点におい て、写真の機械性を活用した作品だと言えるだろう。コンセプトをかたどるシークエンスは、作家のみならず、 鑑賞者をも含む各人の体験にあまねく通底する共通項、すなわち相似性を暗に示す。

【トークイベント】

2020年3月22日(日) 14:00- 15:30

トーク:「フォッサマグナ- みえることとみえないことの往還」

竹之内耕(たけのうち・こう)
新潟県糸魚川市フォッサマグナミュージアム学芸員 専門は地質学(理学博士)。 フォッサマグナや糸魚川-静岡構造線、自然災害など過去から現在に至る地殻変動 を研究。「フォッサマグナってなんだろう」(展示解説・フォッサマグナミュージアム)執筆。

四方幸子(しかた・ゆきこ)
キュレーティングおよび批評 京都府出身。現在、オープン・ウォーター実行委員会ディレクター、美術評論家連盟主催2020年度シンポジウム 実行委員長、多摩美術大学および東京造形大学客員教授、明治大学兼任講師、IAMAS(情報科学芸術大学院大学) 非常勤講師、Montalvo Arts Center(米国)滞在キュレーター(2019ー2022)。アートと科学を横断する数々の 展覧会やプロジェクトをキヤノン・アートラボ(1990-2001)、森美術館(2002-04)、NTTインターコミュニケー ション・センター[ICC](2004-10)キュレーター、またインディペンデントとして国内外で実現。国内外の審査 員・共著多数。近年の仕事に、札幌国際芸術祭2014アソシエイト・キュレーター、KENPOKU ART 2016 茨城県 北芸術祭キュレーター、AMIT(Art, Media and I, Tokyo)(2014-2018)ディレクターなど。

2020年3月25日(水) 18:30- 19:45


町口覚(まちぐち・さとし)
グラフィックデザイナー、パブリッシャー 1971年東京都生まれ。デザイン事務所「マッチアンドカンパニー」主宰。森山大道、蜷川実花、大森克己、佐内 正史、野村佐紀子、荒木経惟などの写真集をはじめ、映画・演劇・展覧会のグラフィックデザイン、文芸作品の 装丁などを幅広く手掛け、常に表現者たちと徹底的に向き合い、独自の姿勢でものづくりに取り組んでいる。 2005年、自ら写真集を出版・流通させることに挑戦するため、写真集レーベル「M」を立ち上げると同時に、写 真集販売会社「bookshop M」を設立。2008年より世界最大級の写真の祭典「PARIS PHOTO」にも出展しつづけ、 世界を視野に“日本の写真集の可能性”を追求している。2009年・2015年に造本装幀コンクール経済産業大臣賞、 2014年東京TDC賞など国内外の受賞多数。

田中義久(たなか・よしひさ)
グラフィックデザイナー 1980年静岡県生まれ。武蔵野美術大学空間演出デザイン学科卒業。主な仕事に美術館などの文化施設のVI計画、 ブックショップの共同経営、アートフェなどのアートディレクションのほか、アーティストの作品集や共同制作 なども行なっている。また、飯田竜太(彫刻家)とのアーティストデュオ「Nerhol」としても活動し、国内外で 展覧会を開催している。

© Atsuko Murano Abalos

[Exhibition] ホンマタカシ/ Symphony その森の子供 mushrooms from the forest

Added on by Yusuke Nakajima.

1月25日より、ホンマタカシ「Symphony その森の子供 mushrooms from the forest」の刊行を記念し、展覧会を開催いたします。

Fukushima #45 © Takashi Homma

【展覧会概要】

ホンマタカシ「Symphony その森の子供 mushrooms from the forest」
会期: 2020年1月25日(土) - 2020年2月23日(日)
会場: POST
〒150-0022 東京都渋谷区恵比寿南2-10-3
時間: 12:00 - 20:00
定休日: 毎週月曜日
協力: Case Publishing、TARO NASU

2011年にホンマタカシが発表した「その森の子供 mushrooms from the forest」は、東日本大震災直後にホンマ が被災地である福島の森に入り、その森とそこに生えていたキノコを撮影したシリーズです。キノコには放射性 物質を吸収しやすいという生理性質があり、政府は汚染がひどい地域に生えているキノコの出荷を制限しました。 代々木のBlind Gallery(現在は閉廊)のオープニング展でこの作品は発表され、同タイトルの写真集も刊行されました。

Fukushima #48 © Takashi Homma

今回の「Symphony その森の子供 mushrooms from the forest」は、「その森の子供 mushrooms from the forest」の新装版です。 福島だけではなく、チェルノブイリや、その事故の影響を受けたスカンジナビア、また音楽家のジョン・ケージ が暮らしていたストーニーポイントと、4つの森に入り、そこにあるキノコを撮影しました。

今回の展覧会では、インスタレーションと作品の展示販売を行います。また、2月6日にはDOVER STREET MARKET GINZA 7Fのローズベーカリー 銀座にて作家によるトークイベントも開催いたします。

日程: 2020年2月6日(木)
ゲスト:飯沢耕太郎(写真評論家)
会場: BIBLIOTHECA
〒104-0061 東京都中央区銀座6-9-5 ギンザコマツ西館 DOVER STREET MARKET GINZA 7F
ローズベーカリー 銀座
時間:18:30 - 20:00(受付開始18:00)
参加無料、要予約
ご参加をご希望の方は post@post-books.jp まで
・お名前
・お電話番号
・参加人数

を明記のうえお申し込みください。

みなさまのお越しをお待ちしております。

Scandinavia #12 © Takashi Homma

タイトル: Symphony その森の子供 mushrooms from the forest
著者: ホンマタカシ
判型: 296ページ / 328 x 258 mm
  ソフトカバー:初版500部 /価格: 7,200円
  ハードカバー:限定300部 サイン・ナンバリング入り / 価格:13,800円
プリント付き特装版:4種・各10部限定 /価格:38,000円
(価格はいずれも税抜き)
テキスト: 日本語・英語
発行日: 2019年
ISBN: 9784908526343
出版社: Case Publishing

<福島>
2011年3月11日、マグニチュード9.0の東日本大震災の地震による津波で、東京電力福島第一原子力発電所は全交 流電源を喪失した。原子炉を冷却できなくなり、メルトダウンが発生し、爆発炎上、大量の放射性物質が広範囲 に撒き散らされた。この事故はチェルノブイリと同等のレベル7の大事故だった。福島県では約14万人以上の人 が避難させられた。同年秋、政府は福島県や放射能汚染のひどい東北~中部地方の森の野生のキノコの摂取、出 荷を制限した。キノコはセシウムなど放射性物質を吸収しやすい生理特性を有している。2011年秋以降、断続的 に福島県の森に入り撮影した。現在、道路などは除染が進んでいるが、全ての森を除染することは不可能である。 スーパーなどの流通が管理された農産物よりも、本来、品質や鮮度が良いはずの「道の駅」などで売られている 野生のキノコから、基準値を超えるセシウムをはじめとする放射性物質が検出された(2018年秋)。放射性セシ ウム137の半減期は、およそ30年と言われている。


<スカンジナビア>
スカンジナビア=北欧には、日本と同じく豊かなキノコの食文化がある。キノコの種類は日本より多いと言われ ている。国土に占める森林の割合は日本とほぼ同様70%弱。そして「自然享受権」というものがある。自然享受 権とは、どこの森でも、そこが誰かの所有地であろうと、所有者に危害を与えない限り、自由にキノコやベリー を収穫していいという権利である。夏~秋に北欧の国のマーケットに行くと、屋台いっぱいの黄色いカンタレー ル(あんず茸)が売られている。しかしほとんどの国民は習慣的に自分で森に行って、キノコもベリーも収穫す る。1986年、チェルノブイリの事故が発生した。事故が起きてから2日間、スウェーデンの方向に風が吹いてい たため、チェルノブイリの放射性物質の全体の5%がスウェーデンに降り注いだ。ヨーロッパの中で、旧ソ連を除 きスウェーデンがもっとも放射能汚染がひどかった。政府は直ちに、野生のキノコとベリー、トナカイやヘラジ カの肉の摂取規制をおこなった。ちなみにトナカイは北欧北部に住むサーメ人の主な食料源にして収入源である。 写真は2011年から2015年にスウェーデン、フィンランドで撮影した。


<チェルノブイリ>
1986年4月26日 旧ソ連(現在はウクライナ)のチェルノブイリ原子力発電所4号機で、人為的原因で原子炉が爆発 炎上するという大きな事故が起こった。当初、旧ソ連は、この事故を隠蔽しようとしたが、スウェーデンで放射 線の数値が異常に上がり、28日になって事故を公表した。火災の消火に10日間かかり、その間中、放射性物質は ヨーロッパに広く拡散した。事故があった4号機は、現在、コンクリートと鉄板で固められ、「石棺」と呼ばれて いるが、廃炉には全く手をつけられていない。約20万とも30万とも言われる人が避難させられた。事故から30年 あまり経った今、アメリカのドラマ「チェルノブイリ」の人気から、「ゾーン」と呼ばれる約30キロ圏内に、世 界中から観光客がガイドつきの日帰りツアーで訪れている。撮影のときに案内してくれたガイドは面白半分に、 依然「ホットスポット」と呼ばれる放射線の高濃度ポイントをわざと車で通り、ガイガーカウンターが鳴り響く のをアトラクションとして披露した。チェルノブイリから約110キロ離れた首都キエフのホテルでも、ガイガーカ ウンターの数値は通常より高かった。一方で、人間が居なくなったゾーン内では植物が生い茂り、野生動物が増 え、彼らの楽園になっているという報告もある。2017年撮影。


<ストーニーポイント>
「キノコに熱中することによって、音楽について多くを学ぶことができる。私はそういう結論に達した。この目 的のために、私は最近、田舎に引っ越してきた。」音楽愛好家たちの野外採集の友(1954年) ニューヨーク郊外、マンハッタンから車で約90分のストーニーポイントに「ザ・ランド」と呼ばれる芸術家のコ ミュニティーがあった。現代音楽家にして実験音楽家のジョン・ケージ(1912-1992年)は、1954年にそこに移 り、16年にわたって暮らした。そのコミュニティーの周りは木が生い茂り、キノコが豊富に生えていた。ケージ は、キノコの文献を買い集め、毒キノコを食べ病院に入院し、ニューヨーク菌類学会の設立に関わり、イタリア のテレビクイズ番組でキノコについて全問正解し賞金を得たこともある。来日したときには軽井沢でキノコ狩り をした。ケージは人に、何故キノコが好きなのか?と問われて、「辞書で musicの1つ前が mushroom だったから 」と答えたことがある。2017年、2018年撮影。


僕はこれら4つの森に入って、その森のキノコ達の微小な声に耳を澄ませた。実際、そうすることしかできなかっ た。そこには確かに、いくつかの音の波があった。そしてそれらは、4つの森にお互いに響き合っているとしか思 えなかった。
ーホンマタカシ(写真家)

[Exhibition] シルビア・バタイユ「Trees - Images of timelessness 」

Added on by Yusuke Nakajima.

この度 POST では、Sylvia Bataille(シルビア・バタイユ)の展覧会「Trees - Images of timelessness」を開催します。

©︎Sylvia Bataille

シルビア・バタイユ「Trees - Images of timelessness 」

会期: 2019年12月10日(火) - 2020年1月19日(日)
会場: POST
〒150-0022 東京都渋谷区恵比寿南 2-10-3
時間: 12:00 - 20:00
定休日: 毎週月曜日
※年内最終営業日は 29 日(日)、年始は 5 日(日)より営業いたします。

シルビアはフランスに生まれ、現在はパリを拠点に活動しています。約 2 年前に POST で 開催した彼女の日本初となる展覧会「AUTOROUTE」では、近い彼女の心象風景を的確に 表現するためのモチーフとして疾走する車を描いたシリーズを銅版画で発表しました。2 度 目となる今回も、版画で制作された作品を展示します。

今回の作品のモチーフとして採用された木々は、フランスの中心部にある、気候の厳しい山にまばらに生えていたものでした。それぞれの木々がそこに存在している有り様が、彼らの物語を伝えるものだと彼女は感じたと言います。

シルビアはピンホールカメラを用いてその木々を撮影し、独特な質感が魅力となった像を用いて版画の作品に仕上げました。「AUTOROUTE」にも通じる、静寂とある種の狂気を感じさせる作品群をぜひご覧ください。

Sylvia Bataille(シルビア・バタイユ)
1963年フランス生まれ。メゾチントを用いた銅版画のほか、写真やイラストレーションなども手掛ける。2010年にはChamalières Triennale、2011年にはSaint-Maure Estam Biennaleで優秀賞を受賞。近年の展覧会に[pinehole photographs /Indian Heritage Gallery](2018)、[mezzotints and pinhole photographs /Univer Gallery] (2017)などがある。

[Exhibition] 深瀬昌久「家族」刊行記念特別展

Added on by Yusuke Nakajima.

この度POSTでは、深瀬昌久(ふかせまさひさ)の写真展、「家族」を開催致します。

©Masahisa Fukase Archives

[展覧会概要]

深瀬昌久「家族」刊行記念特別展
会期: 2019年11月15日(金) - 2019年12月8日(日)
会場: POST
〒150-0022 東京都渋谷区恵比寿南2-10-3
時間: 12:00 - 20:00
定休日: 毎週月曜日
主催: Masahisa Fukase Archives, MACK, twelvebooks

1991年に Inter Press Corporation より刊行された『家族』が、この度イギリスの出版社MACKより新装版として出版されたことを記念し、展覧会を開催いたします。
今回の展覧会は、先月3日間限定でタカ・イシイギャラリー 東京 ビューイングルームで開催された「家族」のヴィンテージプリントの特別展示の巡回展となります。

[写真集概要]

深瀬昌久「家族」

通常版
定価: 7,800 円(税別)
判型: 96 ページ / ハードカバー / 310 x 230 mm / モノクロ
テキスト: 英語 / 日本語
発行: 2019年9月
出版社: MACK
国内流通: twelvebooks
ISBN: 978-1-912339-57-0
書籍詳細: https://www.twelve-books.com/products/family-by-masahisa-fukase

特装版

定価: 72,000 円(税別)
深瀬昌久アーカイブスによる落款印 / ナンバリング入りプリント付 プリント仕様
印刷: コロタイププリント(制作:便利堂)
用紙サイズ:260 x 170 mm / 画像サイズ : 199 x 149 mm
判型: 96 ページ / スリップケース入りハードカバー / 310 x 230 mm / モノクロ
発行部数: 150 部
テキスト: 英語 / 日本語
発行: 2019年9月
出版社: MACK
国内流通: twelvebooks
ISBN: 978-1-912339-57-0SE
書籍詳細: https://www.twelve-books.com/products/family-by-masahisa-fukase-special-edition

[写真集解説]

「ピントグラスに映った逆さまの一族のだれもが死ぬ。その姿を映し止める写真機は死の記録装置だ」 —深瀬昌久

1971 年 8 月、深瀬昌久は妻の洋子を伴って北海道北部の美深町に降り立った。彼の故郷でもあるそこを訪れるの は実に十数年ぶりのことだった。深瀬の家族は3代にわたって写真館を経営する家系で、弟の了暉が3代目を引き継いでいた。弟と妹に家族ができたことですっかり大所帯に成長した一家と再開した深瀬は、彼らを写真館の写場 (撮影スタジオ)に集めて家族の記念写真を撮影することにした。しかしそれは単なる家族写真の形式に留まらなかった。腰巻きひとつを身につけた半裸姿の妻を家族の中に投入したのである。 この異様な家族写真はその後、妻だけでなく様々な女性モデル達を迎え入れては深瀬の手によって撮影が継続された。定点撮影されることによって家族の年々の変化が精密に確かめられ、それは一家族の歴史の断片を物語る記録として成立するが、その一方では随所に深瀬が仕込んだ虚構が混じる。こうして出来上がった奇妙な家族写真について深瀬が「三代目くずれである私の、パロディー」と言い表していることからも分かるように、家族写真に相応しくない要素を混入させることによって伝統的な家族写真の形式を皮肉ることも目的のひとつであった。 深瀬家を巡る撮影は5年にわたって続けられた後に中断されるが、1985 年に深瀬の父・助造の年老いた姿がきっ かけとなって再び開始された。その2年後に迎えた父の葬儀の日にも撮影され、1989 年に深瀬写真館が廃業を迎えた日、すなわち家族四散を迎えた日を最後に完結した。当初こそ伝統的な家族写真のパロディとして軽快に撮影が開始された本作は 20 年近く月日をかけて撮影されることによって、結果的には一家の栄枯盛衰を残酷なほど克明に記録するものに仕上がった。

本書は、1991 年に Inter Press Corporation より刊行された写真集『家族』の新装版である。深瀬が生前に手がけた最後の1冊でもあった本作が四半世紀以上の月日を経て、装い新たに生まれ変わる。深瀬写真館で撮影された家族の肖像写真が撮影年順に収録され、巻末には原版に収録された深瀬による自伝と、深瀬昌久アーカイブスの創設者兼ディレクターを務めるトモ・コスガによる本作解説が収録される。

[Exhibition] ZINE IN TOKYO

Added on by Yusuke Nakajima.

この度POST店内・ mini galleryにて、チューリッヒ芸術大学ファインアート学部と東京工芸大学芸術学部写真学科の学生による1日限りの展覧会を開催いたします。

表面.jpg

本展では、2週間にわたる学生の交流ワークショップとして実施された、両校の学生で構成される各グループが、「公共」と「プライベート」の間にある「スペース」について、概念や変容を調査・協働し、そこからローテクな自費出版形式である “ジン(zine)”の持つ可能性を探求し制作されたzineの展示をいたします。
なお店頭で展示されるzineは販売も行なっております。ぜひ足をお運びください。
また当日18時より、レセプションパーティーも開催いたします。

お誘い合わせのうえ、お気軽にご参加ください。




【展覧会概要】

「ZINE IN TOKYO」
会場: POST
150-0022
東京都渋谷区恵比寿南2-10-3
会期: 11月1日(金)
*レセプション: 18:00-20:00




〈参加作家〉

伊藤 颯, 柳 香穂, 藤谷 将哉, 横山 渚, 荏原 陸, 黒瀧 倫太郎, 荻原 涼子, 中崎 大河, 鈴木 冬生, 篠田 優, 高田 有輝 & ジュン・フィッシャー、カタリーナ・バイヤー、スプファンザ・ブラファリット、ダヴィット・キュルシュタイナー、ラーク・リング、トビアス・リュッツィ、サラ・ルッツ、ミシャ・シュレーゲル、マーク・シウミン、ヨナタン・シュタイガー、フラーヴィア・トラックスラー、レオニー・ヴォールゲムス& 川島 崇志 & ナディア・グラフ、ガブリエル・シャード、富安 隼久




[Exhibition] (RE)PICTURE: 5×16-01

Added on by Yusuke Nakajima.

この度 POST では(RE)PICTURE(レピクチャー)の創刊を記念した展覧会を開催いたします。

(RE)PICTURE

【展覧会概要】

「(RE)PICTURE: 5×16-01」
会場: POST
150-0022 東京都渋谷区恵比寿南 2-10-3
会期: 10 月 11 日(金) - 11 月 3 日(日)
*オープニングレセプション: 2019 年 10 月 19 日(土) 18:00-20:00 時間: 12:00-20:00
定休日: 月曜日

*会期が11月10日(日)まで延長されることとなりました。

【雑誌概要】

(RE)PICTURE
参加作家:マーヴィン・ルーヴェイ、ヤープ・シェーレン、セオ・シンプソン、濱田祐史、マーク・ボスウィック
編集:高宮 啓(モダーン)
アートディレクション&デザイン:OK-RM
フォトエディター:濱田祐史
印刷:八紘美術
出版:株式会社アタリカ
ISBN 978-4-60000069-1

レピクチャーは「視覚的な想像力の再生」をコンセプトに掲げるビジュアル雑誌で、創刊号には国籍の異なる5 人 の写真家がそれぞれ16ページずつ参加しています。それぞれの作家がそのコンセプトを解釈し、ロンドンのデザインスタジオ OK-RM(オーケーアールエム)のデザインによって再構成された書籍です。
レピクチャーの本誌自体には文字情報がなく、書籍に関連して発表されたTシャツやトートバック、また公式ウェ ブサイトにのみテキストが載っている点にもレピクチャーのコンセプトが現れています。
言葉の壁を超えたイメージという共通言語のみを掲載することで、イメージから想像するという行為がもつ伝達 力に注目し、現代社会に溢れている情報伝達としての画像とは違う役割を表現しています。


創刊号では、これまで『Purple』や『i-D』といった雑誌へのコントリビューションや、数々のファッション・ブランドとのコラボレーションで注目を集めるマーク・ボスウィック、「ポール・ハフ・アワード」や「MACK First Book Award」へのノミネートなど、近年評価の高まるフランスの写真家マーヴィン・ルーヴェイ、リアリティと写真の一貫性に対して問いを投げかける作品を精力的に発表しているオランダのヤープ・シェーレン、 近年Photo London / Somerset HouseやFoam 写真美術館で展覧会が行われているイギリスのセオ・シンプン、 そして11 月30 日に東京都写真美術館で始まる「日本の新進作家vol.16」展の一人として選出されている日本の濱田祐史の5名が参加しています。

また、今回展示会場ではレピクチャーマガジンを印刷する際に使用した版を、イメージごとに展示販売します。
オリジナルという言葉を「一つしかない」という意味で捉えた時、大量の印刷物を制作するために使用された版 自体は1点のみしか存在しません。印刷が「複製」技術である一方で「オリジナル」も内包しうる、写真にも共通する「複製とオリジナルの関係性/パラドクス」に挑戦した試みです。

【参加作家

マーヴィン・ルーヴェイ/ Marvin Leuvrey
パ リを拠点に活動 。ローザンヌ州立美術学校の写真学部を卒業 。これまでの展示や受賞にアテネ・フォトフェスティバル(2018 年/ギリシャ)、Plat(t)form 2018(ヴィンタートゥール写真美術館/スイス)、フォーム・ポール・ハフ・アワード (2018 年/ノミネート)、MACK First Book Award(2018 年/ノミネート)など。
https://marvinleuvrey.com

ヤープ・シェーレン/Jaap Scheeren
アムステルダム(オランダ)を拠点に活動。FOAM MAGAZINE、NY Times magazine、Wallpaper、The Guardian など のメディアでの撮影や、Fw:Books などから出版されている作品集などの発表を精力的に行う。
https://www.jaapscheeren.nl/

セオ・シンプソン/Theo Simpson
シェフィールド(イギリス)を拠点に活動。これまでに「Eleven Miles of Derbyshire Power Lines」、「A Survey of Oper- ational Deep Coal Mines in the UK」、「What We Buy」などの作品集を発表。また、Photo London/ Somerset House(2019 年/イギリス)、Foam 写真美術館(2018年/オランダ)、Webber Gallery(2017 年/イギリス)などで展覧会を行う。
https://theosimpson.co.uk

濱田祐史/Yuji Hamada
大阪府生まれ。2003年日本大学芸術学部写真学科卒業。主な個展に「photograph」「Primal Mounatin」(Galerie f5,6、 ミュンヘン、ドイツ 2016 年)、「R G B」(PGI 2018 年)等。近年では写真における色の三部作 <C/M/Y> < R G B > < K > を制作し発表している。11 月30 日に東京都写真美術館で始まる日本の新進作家 vol.16 にて展示し、写真集「Primal Mountain」を同月発売予定。
http://hamadayuji.com

マーク・ボスウィック/Mark Borthwick
ニューヨークを拠点に活動。これまで『Purple』や『i-D』といった雑誌へのコントリビューションや、数々のファッション・ブ ランドとのコラボレーションで注目を集める。その活躍はファッション写真の領域にとどまらず、近年では様々なジャンルの枠を超え、写真、音楽、映像、詩など多彩なメディアでの表現に至る。
https://www.wefolk.com/

【デザイン】

オーケーアールエム / OK-RM
ロンドンを拠点に活動するデザインスタジオ。2008年にオリバー・ナイトとローリー・マクグラスによって設立。 アート、ファッション、カルチャー、広告など幅広いジャンルにおいて多岐に渡るメディアを使ったデザイン表現を行う。
http://www.ok-rm.co.uk

[Exhibition] POST PRECISION『takeo paper show 2018 precision』刊行記念

Added on by Yusuke Nakajima.

2018年夏と秋に東京と大阪で開催された紙の専門商社・株式会社竹尾主催の「takeo paper show 2018 precision」で、参加クリエイターによって制作された「新しい紙=precision paper」は、それぞれに新たな道筋をつくりながら、なお発展の途上にあります。

本展では、それらの紙を展示するだけでなく、実際に手にしていただけるコーナーもご用意しました(一部を除く)。また、東京展と大阪展の会場風景の模様や、ペーパーショウの会場で好評だった制作過程を撮影した映像も上映します。

会期中は、「takeo paper show 2018 precision」のアートディレクター・田中義久氏と、会場構成を担当した中山英之氏をホストに、参加クリエイターによる連続トークイベントも開催します。ペーパーショウを経て、改めて対話することで見える、未来の話へとつながる貴重な時間となります。

この開催を記念して、「takeo paper show」の記録を一冊にまとめた書籍に「precision paper」をセットにしたスペシャル・エディションも販売します。

「takeo paper show」参加クリエイター

安東陽子[紙布]
葛西薫[色紙]
田中義久[和紙]
DRILL DESIGN[段ボール]
永原康史[情報の紙]
原研哉[半透明の紙]
原田祐馬[厚紙]
藤城成貴[モールド]
三澤遥[機能紙]

*「takeo paper show 2018 precision」詳細はこちらをご覧ください。

takeo paper show 2018 東京展 会場風景
Photo by Shintarou Yamanaka (Qsyum!)

[展覧会概要]

POST PRECISION『takeo paper show 2018 precision』刊行記念

会期:2019年1月25日(金)–2月10日(日)
会場:POST
〒150-0022 東京都渋谷区恵比寿南2-10-3
時間:12:00 - 20:00
定休日:毎週月曜日

[書籍情報]
『takeo paper show 2018 precision』2,800円(税別)
*オンラインストアでのご購入はこちら

「precision paper」付きBOX入りスペシャル・エディション 各6,800円(税別)
*オンラインストアでのご購入は以下よりご覧ください
安東陽子 [紙布]
葛西薫[色紙]
田中義久[和紙]
DRILL DESIGN[段ボール]
永原康史[情報の紙]
原研哉[半透明の紙]
原田祐馬[厚紙]
藤城成貴[モールド]

発行:株式会社竹尾
発売:HeHe

*スペシャル・エディションは、一部販売しない「precision paper」もあります。

takeo paper show 2018 東京展 会場風景 Photo by Shintarou Yamanaka (Qsyum!)

takeo paper show 2018 東京展 会場風景
Photo by Shintarou Yamanaka (Qsyum!)

[トークイベント]
「takeo paper show 2018 precision」のアートディレクター・田中義久氏と、会場構成を担当した中山英之氏をホストに、参加クリエイターや特別ゲストをお招きして、連続トークイベントを開催します。

予約方法
各回とも要予約。
ご参加をご希望の方は post@post-books.jp まで、件名に参加希望日をお書き添えいただき、
・お名前
・お電話番号
・参加希望日
・参加人数
を明記のうえお申し込みください。


***

プレイベント
日時:2019年1月25日(金) 19:00-20:00(18:30より受付)
登壇者:田中義久、中山英之、中島佑介(POST)
(※1/25(金)追記:中山さんに急遽登壇いただけることとなりました)
会場:POST
参加無料(定員:35名)


※2019/1/25(金)追記:変更事項
トークイベント開催時間が縮小され、20:00終了予定となりました。

 ***

日時:2019年2月1日(金) 19:00-20:30(18:30より受付)
ゲスト:DRILL DESIGN、藤城成貴
会場:POST
参加費:1,000円(定員:35名)

DRILL DESIGN(デザインスタジオ)
林裕輔と安西葉子によるデザインスタジオ。プロダクトデザインを中心に、国内外のメーカーにデザインを提供している。アートディレクション、素材開発、用途開発、技術開発段階からもプロジェクトに参画し、新しいデザインの可能性を広げている。
http://www.drill-design.com/

 

藤城成貴(プロダクトデザイナー)
東京都生まれ。桑沢デザイン研究所卒業。1998年より株式会社イデーに入社。定番商品及び、特注家具をデザインする。2005年に退社し、shigeki fujishiro designとして個人でデザイン活動を行っている。主な取引先に、Hermès petit h、Adidas、HAY、2016/ Arita、dosa、NIKON、CAMPER、Hermès Japanなど。
http://shigekifujishiro.com/

 

※2019/1/29(火)追記

日時:2019年2月5日(火) 19:00-20:30(18:30より受付)

特別ゲスト:ポスタルコ

会場:POST

参加費:1,000円(定員:35名)

Postalco
マイク・エーブルソン、エーブルソン友理

2000年にNYブルックリンでPostalcoを共同創業。日々の暮らしに用いられるモノを観察し、探求し、「モノの見方」を製品化してきました。革製品、ノート、レインウェア、ペン、バッグ、そして家具まで。2001年に東京に拠点を移して15年以上経ちましたが、日本のクラフトに新しい可能性を見つけることに夢中になっています。
https://postalco.net/index.html

 

日時:2019年2月8日(金) 19:00-20:30(18:30より受付)

ゲスト:安東陽子

会場:POST

参加費:1,000円(定員:35名)



安東陽子(テキスタイルデザイナー・コーディネーター)
1968年東京都生まれ。株式会社布での勤務を経て、2011年安東陽子デザイン設立。多くの建築家が設計する公共施設や個人住宅などにテキスタイルを提供。近年では伊東豊雄設計の「台中国家家劇院」のテキスタイルデザインなども手がける。
http://www.yokoandodesign.com/

 

日時:2019年2月9日(土) 15:00-16:30(14:30より受付)

ゲスト:永原康史

会場:POST

参加費:1,000円(定員:35名)

永原康史(グラフィックデザイナー)
多摩美術大学情報デザイン学科教授。愛知万博「サイバー日本館」、スペイン・サラゴサ万博日本館サイトのアートディレクターを歴任。電子メディアや展覧会のプロジェクトも手がけ、メディア横断的なデザインを推進している。
http://www.nagahara.gr.jp/

 

<連続トークイベント:ホスト>

田中義久(グラフィックデザイナー・美術家)
1980年静岡県生まれ。武蔵野美術大学空間演出デザイン学科卒業。主な仕事に美術館などの文化施設のVI計画、ブックショップの共同経営、アートフェなどのアートディレクションのほか、アーティストの作品集や共同制作なども行なっている。また、飯田竜太(彫刻家)とのアーティストデュオ「Nerhol」としても活動し、国内外で展覧会を開催している。

 

中山英之(建築家)
1972年福岡県生まれ。2000年に東京藝術大学大学院美術研究科建築専攻修士課程修了後、伊東豊雄建築設計事務所勤務。2007年に中山英之建築設計事務所を設立。2014年に東京藝術大学美術学部建築科准教授に就任、現在に至る。
http://www.hideyukinakayama.com/

 

[Exhibition / Start] 富安 隼久「Fuchs / TTP」

Added on by Yusuke Nakajima.

本日12/22(土)の18:00より、富安隼久展覧会「TTP / Fuchs」のオープニングレセプションを開催いたします。
ドリンクとともに、富安さんがご持参くださったスイスのお菓子をふるまわせていただきます。
お誘いあわせのうえ、お気軽にご参加ください。

なお、明日12/23(日祝)の本会期スタートに先立ち、会場をご高覧いただけるように開放いたしました。
日中のご来場も歓迎いたします。
連休初日、あいにくの雨模様ですが、どうぞ足をお運びください。

IMG_3525.JPG

[Exhibition / Talk Event] 2018/12/23-2019/1/13 富安 隼久「Fuchs / TTP」

Added on by Yusuke Nakajima.

この度POSTでは、日本人写真家である富安 隼久(とみやす はやひさ)の写真展「Fuchs / TTP」を開催いたします。

©Hayahisa Tomiyasu

富安隼久は現在ドイツ・ライプツィヒとスイス・チューリッヒを拠点として活動。本年、イギリスの出版社MACKが主催する過去に写真集出版経験の無い作家の出版支援を目的とする「First Book Award」のグランプリ受賞に伴い、作品集『TTP』を刊行し、注目を集めました。今回会場では、『TTP』より抜粋した作品のスライドと共に、本作の前身かつ制作のきっかけでもある作品『Fuchs』を展覧いたします。

また、12月24日(月休)には写真家 ホンマタカシをゲストに迎え、トークイベントを開催いたします。

*タイトルの「TTP」はドイツ語の「Tischtennisplatte(卓球台)」の略称。「Fuchs」は「狐」を意味する。

[展覧会概要]

富安 隼久 「Fuchs / TTP」
会期:2018年12月23日(日祝) - 2019年1月13日(日)
会場:POST
〒150-0022 東京都渋谷区恵比寿南2-10-3
時間:12:00 - 20:00
定休日:毎週月曜日
共同企画:twelvebooks
※12月30日(日)-1月4日(金):年末年始休業
※12月24日(月休)はトークイベント開催のため、13:00-14:30の間はショップスペースをクローズ、14:30-17:00のみ特別営業

*オープニングレセプション:2018年12月22日(土) 18:00-20:00

[関連イベント]

トークイベント 富安 隼久 × ホンマタカシ

日時:12月24日(月祝) 13:00-14:30(12:30より受付)
会場:POST
参加費:1,000円(税込)

※2018/12/20(木)追記
本イベントは定員に達したため、お申込を締め切らせていただきました。
お問い合わせをいただきありがとうございます。

<略歴>

富安 隼久(とみやす はやひさ)

1982年生まれ、神奈川県出身
2006年東京工芸大学芸術学部写真学科卒業
2013年ライプツィヒ視覚芸術アカデミーにてディプロム、2016年同校にてマイスターシューラー号取得(ペーター・ピラー教授)
2014-2016年ライプツィヒ視覚芸術アカデミー夜間写真講座非常勤講師
2017年よりチューリッヒ芸術大学芸術・メディア学部助手
近年の主な展示に、∞ (Gallery b2, ライプツィヒ、ドイツ)、The Photographic(UG im Folkwang, エッセン、ドイツ)、フォトロンドン、12.ABP -ドイツ現代写真-(ゲラ美術館, ゲラ、ドイツ)、Verfuerung(ホーフハイム美術館、 ホーフハイム、ドイツ)、Plat(t)form 17(ヴィンタートーアミュージアム, ヴィンタートーア、スイス)などがある。
www.tomiyasuhayahisa.com

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ホンマタカシ

写真家
2011年から2012年にかけて、個展「ニュー・ドキュメンタリー」を日本国内三ヵ所の美術館で開催。
著書に『たのしい写真 よい子のための写真教室』(平凡社)、近年の写真集に「MACK」より刊行したカメラオブスキュラシリーズの作品集『THE NARCISSISTIC CITY』などがある。今年7月に『ホンマタカシの換骨奪胎―やってみてわかった!最新映像リテラシー入門―』(新潮社)を刊行した。
betweenthebooks.com

[写真集情報]
タイトル:TTP

著者:富安 隼久

定価:5,550円(税別)

判型:260ページ / ソフトカバー / 200 x 270 mm
テキスト:英語
発行日:2018年

ISBN:978-1-912339-24-2

出版社:MACK

www.twelve-books.com/products/ttp-by-hayahisa-tomiyasu


日本人写真家、富安隼久(Hayahisa Tomiyasu)の初作品集。ドイツ・ライプツィヒで、当時作者が住んでいた学生寮の部屋の窓から撮影した写真で構成。8階の南向きの部屋から見渡せる公園に置かれた卓球台に焦点を当て、デッドパン・スタイル(※註)を用いて定点観測的に撮影。その間に時刻や季節、公園に訪れる人々が移ろいでいく。タイトル「TTP」を意味する「tischtennisplatte(卓球台)」が本来の卓球台として使われるだけでなく、日光浴であったり、スケートボードの障害物、物干し、子供がよじ登る遊具、ミーティングスポット、賑やかな通りからの避難場所などその用途は数知れず、ページをめくるたびにこの卓球台が異なる表情を見せる。作者の長きに渡る好奇心の結果、人間の行動から滲む習性やユーモア、それぞれの人の持つ独特な気質をこの謙虚に鎮座する卓球台のもとで垣間見ることができる。本書は、イギリスの出版社MACKが主催する過去に写真集出版経験の無い作家の出版支援を目的とする「First Book Award」の2018年グランプリ受賞に伴い刊行。

※註 主観や感傷、ドラマチックな誇張を可能な限り抑え、対象を客観的、中立的に描写する手法

[Exhibition] Miki Soejima / The Passenger’s Present

Added on by Yusuke Nakajima.

ロンドンを拠点とするアーティストの副島美樹の2作目となる作品集「The Passenger’s Present」がPOSTで特集中のFw:Booksから刊行されます。
出版を記念し、POSTでは11月23日(金祝)より展覧会を開催いたします。

会期中には前作の「Mrs. Merryman’s Collection」から副島の作品を良く知る編集者でアートキュレーターの河内タカ氏をゲストにお迎えし、トークイベントも開催します。

[展覧会概要]

副島美樹 / The Passenger’s Present
会期:2018年11月23日(金祝) - 12月16日(日)
会場:POST
〒150-0022 東京都渋谷区恵比寿南2-10-3
時間:12:00 - 20:00
定休日:毎週月曜日

オープニングレセプション:2018年11月23日(金祝) 19:00-21:00

©Miki Soejima

©Miki Soejima

私の作品は、私たちが今生きている「物語」について、想像することから生まれている。

本作「The Passenger’s Present」では、作者が生まれ育った日本を舞台とする。大きな物語の中で、自分たちの小さな物語をどう紡いでいくのか。写真というメディアと編集を通して、それらに思いをめぐらせる作業を続けている。

2013年以降、東京と沖縄を中心に撮影されたストリート写真は、ロンドンのスタジオで制作された静物写真と組み合わされ、過去と現在の間を行き来する。

作品集「The Passenger’s Present」は、一枚の古い写真で始まる。そこには、国旗の下で踊る人たちが写っている。これは、本作の制作を始めた頃に初めて目にした、作者自身の祖父のアルバムから借りたものだ。「信じるものは、もう何もない」かつて、祖父はそう言っていた。自分自身に言い聞かせるように。1931年から1945年、祖父は当時日本の占領下にあった中国東北部、満州にいた。兵隊として、鉱業会社の事務として、そしてまた、兵隊として。その14年の間に作ったアルバムを、祖父は何冊も残した。

当時を生きた人たちの写真を今見ることは、彼らがどのように生きたのか、また彼らから現代はどう見えるのだろうかと思いをめぐらせることであり、それは同時に、未来の誰かからの、私たちの時代への視線を感じることでもあった。

過去を想像することは、同時に未来からの視線を意識すること。この視点を持つことが、本作を進めていく上での鍵となっていった。

ー副島美樹

©Miki Soejima

©Miki Soejima

[関連イベント]

トークイベント 副島 美樹×河内タカ
11月24日(土) 18:30‒20:00( 18:00より受付)
会場:POST
参加費:1,000円

*要予約。ご参加をご希望の方は post@post-books.jp まで
・お名前
・お電話番号
・参加人数
を明記のうえお申し込みください。

<略歴>

副島 美樹(そえじま みき)
1980年生まれ、京都出身。
2004年にロンドンへ移住、London College of Communicationで写真の技術を学んだ後、写真を使った作品を制作し始める。2012年、First Book Award を受賞し、『Mrs. Merryman's Collection』をMACKより出版。2014・2015年に Foam Paul Huf Award、2016年にShpilman International Prizeにノミネートされている。近年の主な展示に、Light Work(シラクース、NY)での個展、アルル国際写真祭、Pier94(NY)、Ambika P3(ロンドン)、ロンドン科学博物館、マイケル・ホッペンギャラリー(ロンドン)でのグループ展など。

副島美樹は、写真の説得力、そして私たちの住んでいる世界の基盤となっている構築された物語を導き、紐解くという可能性に取り組んでいる。作品は私たちが物語やイメージを消費する方法や、それらがどのように私たちの生活に影響するかを批判的に反映させるために、写真というメディウムのもつ特徴を取り入れて表現へと昇華させている。


河内 タカ(かわち たか)
高校卒業後、サンフランシスコのアートカレッジへ留学し、卒業後はニューヨークに拠点を移し、現代アートや写真のキュレーションや写真集の編集を数多く手がける。長年に渡った米国生活の後、2011年1月に帰国。2016年に自身の体験を通したアートや写真のことを綴った著書『アートの入り口 アメリカ編』(太田出版)、及び『同 ヨーロッパ編』を刊行。便利堂の東京オフィスを拠点にして、写真の古典技法であるコロタイプの普及を目指した海外事業部に席を置き、ソール・ライターやラルティーグのポートフォリオなどを制作した。

[写真集概要]

タイトル:The Passenger’s Present
著者:副島美樹
デザイン:ハンス・グレメン
定価:5,800円(税別)
判型:128ページ / ソフトカバー / 280 x 200mm
テキスト:英語
発行日:2018年
ISBN:978-94-90119-67-6
出版社:Fw: Books
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