[Exhibition] アバロス村野敦子 / Empty Nests Exhibition

Added on by Yusuke Nakajima.

この度POSTでは、写真作家・アバロス村野敦子による書籍の出版を記念し、「Empty Nests Exhibition」を開催いたします。

©︎Atsuko Murano Abalos


【展覧会概要】
アバロス村野敦子「Empty Nests Exhibition」 

会場:POST
  〒150-0022 東京都渋谷区恵比寿南2-10-3 
会期:2021年11月11日(木)~2021年11月28日(日)
時間:11:00-19:00
定休日:毎週月曜日 

アバロス村野敦子は、モチーフとなる被写体、場所、史実等と自身との出会いを起点に、点と点を結ぶようにコンセプトを構築し、作品を制作する写真家です。

本書は赤子を運んで来るという伝承で有名なコウノトリの巣がテーマとなっています。
子供を授かることのなかったアバロス夫妻はコウノトリ伝承で有名なアルザス地方を訪れた際、直接鳥たちに文句を言ってみようと話していたそうです。しかし彼女たちがアルザス地方に到着したのは冬に差し掛かる前。渡り鳥であるコウノトリはすでに海を越え、暖かいアフリカ大陸にいる頃でした。

空っぽの巣の写真がタイポロジー的に編集された今作は、空(から)というものを見つめ続けた記録です。
空(から)は無と同義ではなく、他の可能性を持つ余地なのではないでしょうか。

展覧会では写真作品の展示販売、そして作品集の販売を行います。また、関連イベントの開催も予定しております。

この機会に皆様のお越しをお待ちしております。


【書籍概要】

タイトル: Empty Nests
販売価格:4,400円(税込)
アーティスト:アバロス村野敦子 
サイズ:B4変形
ページ数:52ページ
表紙:布張り・箔押し
製本:角背上製本PUR無線綴じ
本文:2つ折り、袋とじ

写真:アバロス村野敦子
表紙イラスト:大神慶子
デザイン:伊野耕一
テキスト:中村拓志(建築家・NAP建築設計事務所)
出版社:LibroArte, Inc.

*POSTではサイン入りの書籍をご用意しております。



©︎Atsuko Murano Abalos


【関連イベント】
新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、イベントに参加される方のマスクの着用を必須とさせていただきます。

ワークショップ:「鳥の巣作ろう」
絵本作家であり、鳥の巣博士の鈴木まもる氏による、鳥の巣作りのワークショップです。鳥の気持ちになって実際に巣を作り、命について、自然について、自分について考えてみましょう。
子供向けのワークショップとなっておりますが、ご興味のある方は観覧も可能です。

日時:11月20日(土) 13:00-15:00(12:30より受付)
会場:POST
参加費:2,000円(税込)
ワークショップ参加定員:20名(付き添いの方を含めて)

※ワークショップへの参加は定員に達したため締め切らせていただきます。現在は聴講のみ受け付けております。

※鳥の巣作りに参加されるお子様の保護者の方(1名)の参加費は上記2,000円(税込)に含まれます。
※ワークショップ聴講・観覧のみをご希望の方は1,000円(税込)となります。
※参加費のお支払いは現金のみのご対応となります。
※要予約。ご参加をご希望の方は件名を「イベント参加希望:鳥の巣作りワークショップ」とし、
 post@post-books.jp まで
・お名前
・お電話番号
・参加人数
ワークショップ参加 or 聴講・観覧のみ
を明記のうえお申し込みください。

鈴木まもる
画家・絵本作家・鳥の巣研究家
1952年 東京に生まれる。東京藝術大学美術学部工芸科中退。現在は伊豆半島在住。

絵本作品
「せんろはつづく」「すすめ きゅうじょたい」「てをつなぐ」(金の星社)「みんなあかちゃんだった」「だっこ」(小峰書店)「ピンポンバス」「おはよう!しゅうしゅうしゃ」「いそげ!きゅうきゅうしゃ」(偕成社)「だんろのまえで」(教育画劇)「ウミガメものがたり」(童心社)「いのちのふね」「つかまえた!」(講談社)など。

1995年「黒ねこサンゴロウ」シリーズで赤い鳥さし絵賞受賞。
2006年「ぼくの鳥の巣絵日記」で講談社出版文化賞絵本賞受賞。
2015年「ニワシドリのひみつ」産経児童出版文化賞受賞。
2016年「世界655種、鳥と卵と巣の大図鑑」あらえびす文化賞受賞。
2021年「あるヘラジカの物語」(あすなろ書房)親子で読みたい絵本大賞受賞。

鳥の巣の展示
1998年 東京新宿のギャラリー高野にて、日本初の「鳥の巣展覧会&原画展」を開催。
2002年 ニューヨークのギャラリーAnnexにて初の海外展「NESTS」を開催。
2003年 大阪市立自然史博物館、横浜ランドマークタワー等で展示。
2004年 大分アートプラザにて「鳥の巣展覧会&原画展」を開催。
2006年 東京武蔵野市立吉祥寺美術館。「実物とイラストで見る鳥の巣の造形美」開催。
2008年 上野動物園、『世界の鳥の巣と原画展』。2009年 渋谷ギャラリー櫟「鳥の巣と絵本原画展」
2012年 坂出市民美術館以降、全国各地で展覧会を開催。他多数。

鳥の巣を扱った著書
「鳥の巣の本」「世界の鳥の巣の本」「ニワシドリのひみつ」「鳥の巣つくろう」(岩崎書店)「鳥の巣みつけた」あすなろ書房)「ぼくの鳥の巣絵日記」「鳥の巣いろいろ」「ふしぎな鳥の巣」「鳥の巣ものがたり」「ツバメのたび」「日本の鳥の巣図鑑、全259」(偕成社)「ぼくの鳥の巣探検」「世界の鳥の巣をもとめて」(小峰書店)「おじいさんとヤマガラ」(小学館) アメリカにて「世界の鳥の巣の本」英語版出版。「世界655種 鳥と卵と巣の大図鑑」(ブックマン社)「ぼくのたからもの」(アリス館)「生きものたちのつくる巣 109」(エクスナレッジ)「わたり鳥」(童心社)「巣箱のなかで」(あかね書房)

TV出演 
NHK「新日曜美術館」、「生活HOTモーニング」、「視点。論点」、「モリゾートキッコロ」。BS2「熱中時間」「ダーウィンが来た!」では鳥の巣関連のアドバイスなど。



トークイベント:「Empty Nests|空(から/くう)と向き合うこと」

「なぜ私たちのところには来てくれなかったのだろう?」。コウノトリに会いに夫婦でアルザスに着いたものの晩秋で、旅立ち後の空(から)の巣を見上げることになった村野。主が不在の巣…「空(から)」であることに向き合う中から、不思議にもエネルギーが湧いてきたという。サンスクリット語で空(くう)の語源は「家に人がいない」「期待される何かを欠いた」を意味する。しかしそれは予想外の<何か>を含むともいえないだろうか。新作「Empty Nests」は、村野が「空(から/くう)」に向き合うことで、新しい何かを生み出し育んだ過程でもある。「空」とは様々な可能性を潜在させた空間であり、本作には、見る側それぞれが想像をめぐらせていく自由が空いている。フォッサマグナ、漂着物を拾う人、二つの長い橋…。村野の扱うテーマは、一見異なるものの、自身の体験や記憶、家族との関係から切実に感じたことに寄り添うことから発されている。本トークでは、「Empty Nests」を中心に、村野がこれまでの作品で培ってきたまなざしや世界との関係を語る。
(文:四方幸子)

登壇者: 四方幸子、アバロス村野敦子 
日時:11月21日(日) 15:00-16:30(14:30より受付)
会場:POST
参加費:1,000円(税込)
定員:25名

※参加費のお支払いは現金のみのご対応となります。
※要予約。ご参加をご希望の方は件名を「イベント参加希望:トークイベント」とし、
 post@post-books.jp まで
・お名前
・お電話番号
・参加人数
を明記のうえお申し込みください。

四方幸子(しかた ゆきこ)
キュレーター/批評家。多摩美術大学・東京造形大学客員教授、IAMAS・武蔵野美術大学非常勤講師。データ、水、人、動植物、気象など「情報フロー」から諸領域を横断する活動を展開。1990年代よりキヤノン・アートラボ(1990-2001)、森美術館(2002-04)、NTT ICC(2004-10)と並行し、フリーで先進的な展覧会やプロジェクトを多く実現。2020年の仕事に美術評論家連盟シンポジウム「文化/ 地殻 / 変動 訪れつつある世界とその後に来る芸術」(実行委員長)、オンラインフェスティバルMMFS2020(ディレクター)、山川冬樹「DOMBRA」(東京港海上)、「ForkingPiraGene」(共同キュレーター、台北C-Lab)他。2021年の仕事にフォーラム「想像力としての<資本>」(京都府)、「EIR(エナジー・イン・ルーラル)」(青森ACAC+南イタリアLiminaria)、フォーラム「精神というエネルギー|石・水・森・人」(一社ダイアローグプレイス)など。国内外の審査員を歴任。共著多数。yukikoshikata.com

©︎Atsuko Murano Abalos


【展覧会テキスト】 
2年前の旅の主なる目的はパリにあったが、他の街にも行ける時間の余裕があり、私と夫はアルザスに行くことにした。

アルザス地方では、コウノトリ伝承が有名である。
「なぜ私たち夫婦のところには来てくれなかったのか」
コウノトリを見つけたらそう文句でも言ってみようか、などと列車の中で話をしていた。

コウノトリは春から秋にかけてヨーロッパで子育てをした後、秋冬は暖かいアフリカ大陸に渡る。そう知ったのは、晩秋のアルザスに着いた後だった。そうして私たちは、主のいない空の巣ばかりを見上げ続けることになった。

空の巣は多くのことを語ってくれたり、投げかけたりしてくれ、私の心を揺さぶった。空(から)には不思議な力があるようだ。サンスクリット語において、空の語源は「家に人がいない」というような時に使われ、それは「期待される何かを欠いた」状態という意味らしい。

カメラもその中身は空ではないかとふと思い及んだ。

カメラ・オブスキュラの原理からも分かるように、基本構造を考えると中は空洞であり、空の箱に等しい。

空の箱が意思を持って対象に向かう時、暗い空間が開く。そして光とともにその表像を内に取り込んで写真が生まれる。期待して欠けながらも無ではない「空」をとらえ、肯定された世界は明るく、見晴らし良く見えて来た。

【作家略歴】 
プロフィール 
兵庫県宝塚市出身。聖心女子大学文学部卒業後、商社勤務を経て渡米。留学先であるアート・インスティチュート・オブ・シアトル(AIS)ではコマーシャル・フォトグラフィを専攻し、同校卒業後はシアトルの白黒写真専門ラボでプリンターとして経験を重ねる。帰国したのちは日本国内で商業写真撮影、海外の雑誌取材を中心とした活動を展開し、その後本拠地をシンガポールに移す。2013年以降は活動の場を東京に戻し、現在は写真作家として表現の幅を広げる。

作家活動 
アバロス村野敦子の芸術的実践は、「人々が人生で出くわすさまざまな出来事」に着目することからはじまる。 かつて自らが経験してきたこと、現在我が身に起こっていること、世界で起こっていること...。主に本人が実際に体験したり見聞した出来事を基礎として、ドキュメンタリー的手法を用いながらまるで物語を紡ぐようにオリジナルの作品世界をつくりあげる。コンセプトをかたどるシークエンスは、作家のみならず、 鑑賞者をも含む各人の体験にあまねく通底する共通項、すなわち相似性を暗に示す。