この度POSTでは、写真家・石野郁和による作品集『TINTED LINES』の出版を記念し、展覧会を開催いたします。 会場では作品集およびプリント付きのスペシャルエディションを先行販売し、本展に合わせて作家も来日致します。
【展覧会概要】
石野郁和「TINTED LINES」
会期: 2021年3月23日(火)~2021年4月18日(日)
会場: POST
〒150-0022 東京都渋谷区恵比寿南2-10-3
時間: 11:00-19:00
定休日: 毎週月曜日
協力: torch press
石野は、2017年にMACKから『rowing a tetrapod』を刊行し、2019年には東京都写真美術館で開催された「小さいながらもたしかなこと日本の新進作家 vol.15」に参加するなど、視覚や言語による認識の揺らぎを用いて、さまざまなヒエラルキーを再考する写真作品を発表してきました。
「TINTED LINES」は、ロサンゼルスを歩きながら、場所や物事が区切られ、分断されるさまざまなシーンを切り取ることで、新たな視覚言語を生み出しています。見えるものも見えないものも含めて場所を分かつ線、その線が引かれた空間を跨ぐと監視、分類化された社会構造の層が浮き上がり、高級住宅街、再開発地区、公共施設、美術館、郊外、民族や人種によって区切られている地域で、領域や所有権のせめぎ合いが行われています。石野は、身体を使って移動することは境界線を引き直す行為だと捉え、写真はその過程を記録し、構図、光、シークエンスによって、固定化した空間の輪郭を滲ませようと試みます。 作品集と展示は相互にダイアログを形成しており、作品集では黒を基調とし、まるで映画のワンシーンが流れるように、淡々とイメージの断片が刻まれています。展示では分断された空間の接点を描写するため、出版物の内容及び編集でカットされた写真を融合、再生成した作品で構成しています。水、それは石野の住む都市において欠落しながらも重要な表象であり、歴史の中で文化が交差する流れを作ってきました。それを使い、OHPシートの乳剤を溶解することで視覚言語と空間の情報を解体、ぼかし、貼り合わせています。
イデオロギーや記号の縫われた線を濁し、内と外の関係性を曖昧にした時、私たちの視点や解釈はどのように揺れ動くのでしょうか。
石野の新作を作品集と展示の双方の異なるアプローチを通して、ぜひご高覧いただけますと幸いです。
【写真集概要】
タイトル: TINTED LINES
アーティスト: 石野郁和
テキスト: アマンダ・マドックス
(J・ポール・ゲティ美術館 アソシエイトキュレーター)
出版: torch press
仕様: 272 x 230 mm / コデックス装、ビニールカバー / 128P
言語: 日本語・英語
定価: 4,500円+税
ISBN: 978-4-907562-28-1 C0072
https://www.torchpress.net/product/2957/
プリント付きスペシャルエディション
オリジナルプリント(プリントサイズ216×279mm、絵柄2種より選べます)、作品集、特装箱入り、各エディション15
定価: 25,000円+税
【作家略歴】
石野郁和 | Fumi Ishino
1984年、兵庫県生まれ。2012年、ロチェスター工科大学卒業。2014年、イェール大学大学院修了。現在ロサンゼルスを拠点とする。
2015年、「ジャパンフォトアワード2015」受賞、「キヤノン写真新世紀」佳作。Fraenkel Gallery、FLAG Art Foundation、Houston Center for Photographyなどの展覧会に参加している。2017年に初写真集 『Rowing a Tetrapod』(MACK)を刊行。2019年に東京都写真美術館で開催された「小さいながらもたしかなこと 日本の新進作家 vol.15」展に参加。2021年に私家版『Index of Fillers』をAssemblyとの共作で出版、またtorch pressより『TINTED LINES』を刊行。