一冊の本ができあがる過程で、デザイナーは本の仕上がりを決定づける大きな役割を担っています。しかし、本を作る上でデザイナーがどういった役割を担っているのか、仕上がった本にはその一部分しか表れていません。
定期的に開催する[SPOT]は、毎回一組のデザイナーにフォーカスし、彼らがデザインした本を展示するとともに、インタビューを通じてそれぞれのブックデザインの背景にあるコンセプトや、デザイナー/作家間の恊働作業について紹介し、本作りにおけるデザイナーの役割やブックデザインについて知ってもらうための展覧会です。
第一回目はオランダのグラフィックデザイナー、Mevis & Van Deursen。アーマント・メーフィスとリンダ・ファン・ドゥールセンの二人組のグラフィックデザインチームです。 これまでに数々の優れたブックデザインを手がけ、最近ではアムステルダム市立美術館のサイン計画も担うなど、オランダ国内では重要な仕事を残しています。
今回は、彼らが手がけた本27冊をまとめて紹介します。
インタビューの一部はウェブサイトDOTPLACEに公開しています。ぜひご覧ください。(インタビューテキスト全文は会期途中より会場で配布します)
【SPOT: Mevis & van Deursen】
会期 2015年4月11日(土)〜5月07日(木)
時間 12:00〜20:00(月曜休み)
会場 POST
Mevis & van Deursen (メーフィス&ファン・ドゥールセン)
アーマント・メーフィス(1963年オイルスベーク生まれ)とリンダ・ファン・ドゥールセン(1961年アールデンブルグ生まれ)は,アムステルダムを拠点とするグラフィックデザイナー。ふたりはヘリット・リートフェルト・アカデミーを1986年に卒業後,共同で仕事を始めた。それ以来,メーフィス&ファン・ドゥールセンは,アート,ファッション,建築,デザインの本やカタログのデザインに主軸を置いてきた。彼らのデザインした本は多岐にわたっており,その主なものに,写真家,アーティストの作品集として,リネケ・ダイクストラ,ピーター・ダウンスブロー,アグライア・コンラート,ウォルター・ニーダーマイヤー,ガブリエル・オロスコ,バス・プリンセン,ケリス・ウィン・エヴァンスなどがあり,建築家の作品集として,デルガン=メイスル建築事務所,クリスチャン・ケレツ,オフィス・ケルステン・ゲールス・ダヴィッド・ファン・セーヴェレン,SANNAなどがある。また,キュレーターのモリッツ・クーンとの「ラーセン・エフェクツ」展,「オルビス・テララム―世界制作の方法」展での協働作業によるカタログや,美術誌「メトロポリスM」や「ドゥ・グローネ・アムステルダマー」等の定期刊行物の仕事もある。また,さまざまな文化施設やイベントのヴィジュアルアイデンティティを制作しており,その主なものに,2001年の欧州文化首都ロッテルダム,ボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン美術館,ロッテルダム国際建築ビエンナーレ,ヴェネチアビエンナーレ国際建築展2010,アムステルダム市立美術館,シカゴ現代美術館などがあるほか,オランダのファッションデザイナーのヴィクター&ロルフのヴィジュアルアイデンティティ及び出版物も手がけている。彼らの仕事は様々な美術館やギャラリーで展示され,書籍や雑誌に取り上げられてきた。また,オランダ国内を始め世界各国の教育機関で講義やワークショップを行ってきた。アーマント・メーフィスは教育機関ヴェルクプラーツ・ティポグラフィをディレクションしており,リンダ・ファン・ドゥールセンはヘリット・リートフェルト・アカデミーのグラフィックデザイン学科長を2001年から2014年まで務め,両者ともにアメリカのイェール大学の美術学校でも教鞭を執っている。彼らの長きにわたる共同作業の成果の記録は『リコレクテッド・ワーク:メーフィス&ファン・ドゥールセン』(Artimo, 2005)として出版されている。2012年に彼らはブルノビエンナーレのグランプリを受賞し,2014年に個展「私たちのアート:メーフィス&ファン・ドゥールセン」を開催した。