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[Exhibition] Bertien van Manen / BEYOND MAPS AND ATLASES

Added on by Yusuke Nakajima.

この度POSTでは、Bertien van Manen(ベルティアン・ファン・マネン)写真展「BEYOND MAPS AND ATLASES」を開催します。

©Bertien van Manen

オランダ人写真家、ベルティアン・ファン・マネン(Bertien van Manen)は、これまで「MACK」から数多くの写真集を発行してきました。
本展は「MACK CONCEPT TOKYO」サテライトエキシビジョンとして開催され、アイルランドを舞台に2013月11月から2015年8月にかけて撮影されたシリーズで構成されます。
タイトルは、北アイルランド出身の詩人、Seamus Heaney(シェイマス・ヒーニー)の詩集『人間の鎖』から引用されています。

そんな所が今後見つかるだろうか
地図や地図帳にはないどこか

はるか彼方の別世界
全てが織り込まれ

まるで草の葉が重なり合い
網目状の巣のような世界が


- シェイマス・ヒーニー 著書
『Human Chain(邦題 : 人間の鎖)』(国分社)内
“Herbal(邦題:植物誌)”より

最初、アイルランドで撮影をしていたとき、自分が何を探していたのか確かではありませんでした。
夫が亡くなり、わたしは人を捉えるのではなく、その空気感を映し出しました。
私は感情と探究心に導かれ、ある種の神話伝説のような場所を切望していました。
そこには、神秘とどこまでも続く大地に広大な空があったのです。

- Bertien van Manen, 2015年9月15日アムステルダムにて

©Bertien van Manen

【展覧会】
Bertien van Manen写真展「BEYOND MAPS AND ATLASES」
会期:2016年4月26日(火) - 5月15日(日)
時間:12:00 - 20:00 / 月休 (※祝日の場合は通常営業)
会場:POST

主催|twelvebooks
協力|Robert Morat

※オープニングレセプションの開催はございません。

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【作家略歴】
ベルティアン・ファン・マネン(Bertien van Manen)
1942年オランダ生まれ。1970年代後半より写真家として活動を開始し、以降小さなアナログカメラと共に世界中で旅をしながら活動する。
オランダを代表する革新的なドキュメンタリー写真家として国際的に高い評価を得ており、MoMA(ニューヨーク近代美術館)など世界各国の美術館で展覧会が開催されている。

【写真集詳細】
Bertien van Manen写真集
「BEYOND MAPS AND ATLASES
仕様:ハードカバー / 60ページ
   260 x 290 mm / カラー
価格:7,800 円+税

[Exhibition] 飯沼珠実 / 三つ目の建築 - 書籍、住居そして森

Added on by Yusuke Nakajima.

この度POSTでは、写真家の飯沼珠実の初となる作品集「建築の建築 - House of Architecture」の刊行を記念し、展覧会「三つ目の建築 - 書籍、住居そして森」を開催いたします。

©Tamami Iinuma

通学路となった上野の森には、ル・コルビュジエの日本で唯一の建築作品、国立西洋美術館がある。それに向かい合う位置に前川國男の東京文化会館がある。前川國男は、ル・コルビュジエの弟子で、国立西洋美術館建設をサポートし、またその新館を手がけた。その先を進むと、木々の隙間から、ダークトーンの赤紫色をした煉瓦の積み重なりが見えてくる。これが、わたしが上野の森で一番好きな前川國男の建築作品、東京都美術館だ。東京都美術館が、わたしの日常的な風景に在りはじめて、この建築の姿やかたちだけではなくて、呼吸のリズムや内包する熱量のようなもの、上野の森との関係性、特に森との距離感の調律に気を惹かれるようになった。森がみせる多様な表情、毎日の天気や日差し、流れる季節と繰り返す樹木の繁茂と落葉、そういった森の営みと、とても密接に関わり合っているようなのだ。そして樹木たちも、前川建築を背景に嬉々として、舞でも舞っている様子にみえてくる。東京都美術館は、上野の森の住人なのだと感じるようになった。もうひとつ興味をもった感覚は、この建築が自分の目にどう映るかが、毎日の自分の気分や状態の指標、心鏡のような存在になりはじめていたことだ。うれしいことがあった日には輝きが増してみえた。何度目をこすって霞んでみえる日には、自分の緊張や抱えているプレッシャーに気がつかされ、森の中で深呼吸をした。また挑戦の日には、拝むような気持ちでみつめては、背中を叩いてもらったような気になっていた。ひとによってはそれが、食べるものであったり、着るものであったりするのだと思う。いつものコーヒーをいつも以上に味わい深く感じたり、逆に味を感じることすら忘れてしまう日もあるように。
(飯沼珠実「建築の建築」より)

©Tamami Iinuma

平凡な建築を捉えた平凡な写真はしばしば社会学に近づいていく。家、納屋、ガソリンスタンド、工場などの記号的表象から、大都市がもたらす気持ちの空虚感、郊外の大型ショッピングモールの異常な消費活動の現場などが描かれる。一方で特別な建築は、しばしば著名な建築家によってつくられている。特別な写真というのは、被写体に選ばれた建築と写真で描き出された建築が<Win-WIn>の関係に到達している写真だ。バーバラ・カステン、ハイディ・シュペッカー、エレーヌ・ビネそして飯沼珠実といったアーティスト(不思議と全員が女性アーティストだ)が切り取るイメージに共通するのは、その建築作品の(すでに)芸術的な側面から、また別のコンテキストを紡ぎ出そうとするアプローチだ。「(他なる)建築の顔」を浮き彫りにした写真といえる。建築に詳しいひとならば、彼女たちが選んだ被写体が誰の建築作品であるかはすぐに分かるだろう。それでもなお彼女たちの写真を通して、わたしたちはその建築の知らなかった顔をみることができる。またその建築を知っている知らないに関わらず、その建築を訪れるという身体的な経験に置き換わることのない、”建築の経験”がもたらされるのだ。
(ティボ・ドゥ・ルイテ「(他なる)建築の顔」より)

©Tamami Iinuma

本展は、写真集「建築の建築 - House of Architecture」から抜粋した作品とインスタレーションから構成される展覧会です。 ぜひご来場ください。

会期:2016年1月30日(土)〜2016年2月18日(木)
■オープニングレセプション:2016年1月30日(土) 19:00〜21:00
■トークイベント
日時:2016年2月3日(水)19:30〜(19:00会場)  ※要予約
参加費:500円
ゲスト:鈴木理策(写真家)
会場:POST  
   150-0022 東京都渋谷区恵比寿南 2-10-3 / 12:00 - 20:00 月曜休

<トークイベント申込方法>
定員に達しましたので、お申込を締め切らせていただきました。

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作家略歴

飯沼珠実(Tamami Iinuma)
東京都生まれ。2013 年より東京芸術大学大学院博士後期課程、2014 年よりシテインターナショナルデザール・パリにて、 都市建築と書籍の相関をテーマに研究制作活動に取り組んでいる。
http://www.tamamiii.com/

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写真集概要



写真集「建築の建築 - House of Architecture」(POST刊)
写真:飯沼珠実
プロジェクトディレクション:大西洋 (shashasha Co.,Ltd. 代表)
アートディレクション:田中義久
執筆:大島忠智 (IDÉE バイヤー)、ティボ・ドゥ・ルイテ (建築家、キュレーター)、
富永譲 (建築家、法政大学名誉教授)、飯沼珠実 (アーティスト)
仕様:182mm x 230mm / 80 ページ / フルカラー
予価:3,600円 + 税

[SPOT] Irma Boom: Start / 年末年始の営業について

Added on by Yusuke Nakajima.

12/25(金)よりSPOTの第二弾として、オランダのデザイナー・Irma Boom(イルマ・ボーム)の特集がスタート。
会場にはイルマがデザインした55冊の本、それに加えて制作過程のダミーブックや、彼女が初期段階に制作するミニチュアブックも展示しています。
The Tokyo Art Book Fair 2015では色をテーマにカテゴライズしていましたが、POSTでの展示では時系列に並べ、彼女のデザインがどんな変遷を辿ってきたのかを俯瞰できる構成になっています。
また、 TABF2015に際して出版された[boom +]も展開していますので、あわせてご覧ください。(書籍の詳細はこちら

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年末年始の営業は以下のとおりです。
おいでになる際はご確認のうえお越しください。
ご来店をお待ちしています。

〜12/29(火) 通常営業
12/30(水)〜1/4(月) 年末年始休業
1/5(火) 通常営業

[Exhibition] Johan van der Keuken / Wij Zijn 17

Added on by Yusuke Nakajima.

この度POSTでは、オランダの写真家ヨハン・ファン・デル・クーケンの日本で初となる個展[Wij Zijn 17]を開催いたします。

Johan van der Keuken
©Noshka van der Lely

ヨハン・ファン・デル・クーケン (Johan van der Keuken 1938-2001) はドキュメンタリー映像作家、作家、 写真家として活躍しました。42年間に渡るキャリアの中で55のドキュメンタリーを発表、そのうちの6作品は8つの賞を受賞しています。
1955年、17歳の時に彼の作品は初めて世に発表されています。[Wij zijn 17](僕たちは17歳) と題された小型の写真集には、彼の友人たちを被写体にしたモノクロ写真が収録され、構図や光の入り方などに細かい配慮が行渡りながらも、被写体の自然な様子がそのままに伝わるかのような作風は、当時17歳だったとは思えないほど卓越したセンスが見て取れます。 

Johan van der Keuken
©Noshka van der Lely

[Wij Zijn 17]が発表されてから60周年にあたる今年、彼の元妻であるノシュカ・ファン・デル・レリーと共にヨハンの作品管理を担っているギャラリスト/デザイナーのウィレム・ファン・ゾーテンダールの協力を得て、この写真集の英日版が出版されます。合わせて、同時期に撮影していた未発表作をまとめた[Les Copains]も刊行いたします。
この2冊の写真集は、IMA PHOTOBOOKS と POST が共同でスタートした出版レーベル Foci Press(フォーサイ・プレス) からの発行です。Foci Press は、過去に出版され現在は絶版となってしまっている良質な写真集を復刻し、優れた作品を現代にもう一度蘇らせることを目的として設立されました。今回出版する [Wij Zijn 17] と [Les Copains] が Foci Press からの初の刊行物となります。 

オランダの芸術文化が生んだ才能あふれる写真家による、日本初の個展をぜひご覧ください。

Johan van der Keuken
©Noshka van der Lely

【展覧会】
Johan van der Keuken / Wij Zijn 17
会期 2015年11月23日(月祝) - 12月20日(日)  ※会期を1週間延長しました。
時間 12:00 - 20:00 /月休 (※祝日の場合は通常営業)
会場 POST

Johan van der Keuken
©Noshka van der Lely

【略歴】
ヨハン・ファン・デル・クーケン(Johan van der Keuken 1938 - 2001)
オランダ出身の写真家、フィルムメーカー、作家。1955年に初となる作品集[WijZijn 17]を出版、その後パリの映像学校で1956年から1958年にかけて学んだ。[WIj Zijn 17]以降、1958年には[Acter Glass]、1961年には[Paris Mortel]を出版。その他、映像や写真に関する評論などを含め、9冊を残した。
フィルムメーカーとしては、1960年以降世界中を旅し、実験的な映像作品からドキュメンタリーフィルムまで、さまざまなトピックの映像作品を制作。42年間に渡るキャリアの中で55の映像作品を残し、その6つはアワードを受賞している。

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【写真集詳細】 
[Wij Zijn 17]
160mm x 240mm
64 ページ ソフトカバー デュオトーン印刷
英日版、初版 2,000部
3,400円 + 税
出版元:Foci Press (IMA PHOTOBOOKS & POST)
監修:Van Zoetendaal Publishers
レイアウト:Johan van der Keuken
デザイン:Willem van Zoetendaal
販売元:POST 

[Les Copains]
160mm x 240mm
64ページ ソフトカバー デュオトーン印刷
仏英日版、初版 2,000部
3,400円 + 税
出版元:Foci Press (IMA PHOTOBOOKS & POST)、Van Zoetendaal Publishers
コンセプト・デザイン:Willem van Zoetendaal
販売元:POST 

[Exhibition] Mika Tajima: Negative Entropy by Three Star Books / Start

Added on by Yusuke Nakajima.

本日10/23(金)より、フランス・パリを拠点として良質なアーティストブックに特化した出版活動を展開するThree Star Booksが発行した田島美加の最新写真集「Negative Entropy」の出版を記念した展覧会がスタートしました。
会場の中央に、5冊組の写真集のそれぞれを見開いた状態でインスタレーションしています。

また奥の壁面には、Three Star Booksの別レーベルとして、ウィットに富んだアーティストブックを手がける「One Star Press」のタイトルが並びます。
これらのタイトルを陳列するブックシェルフと会場の隅にあるチェアは、アーティストのローレンス・ウェイナーによるものです。

明日24日(土)15時頃より、作家の田島美加、Three Star Books設立者のクリストフ・ブータンとメラニー・スカルシグリアが揃って在廊します。
お誘いあわせのうえ、お気軽に足をお運びください。

[Exhibition] Mika Tajima: Negative Entropy by Three Star Books

Added on by Yusuke Nakajima.

この度POSTでは、ニューヨーク在住のアーティスト、田島美加の最新アーティストブック[Negative Entropy]発行を記念した展覧会を開催します。

このアーティストブックは、フランスのパリを拠点とし、国際的に第一線で活躍する現代美術作家のアーティストブックを精力的に作り続けているThree Star Booksから発行されました。Three Star Booksはローレンス・ウェイナーやライアン・ガンダー、リアム・ギリックなど今日の現代美術を牽引する作家たちとのコラボレーションにより、少部数限定のアーティストブックを制作してきています。

今回の田島美加のアーティストブックは、工業と情報産業の側面をテーマとした作品をもとに5冊組で構成され、工業製品であるジャカード織を生産している工場と、現代の情報産業のインフラとなっているコンピューターの情報センターが舞台となっています。それぞれの現場で採録した音をデジタル技術によってスペクトログラムに解析すると、これらの音が図像に変換されます。その図像を、もう一度ジャカード織によって制作した作品を収録したのが本書です。各工場の使っている機械の差異によって生まれる違いや、情報という形のないものが可視化され、再度ジャカード織としてアウトプットされるという、多層的な作品を会場でぜひご覧ください。

また10/24(土)には、作家の田島、Three Star Books の設立者であるChristophe Boutin(クリストフ・ブータン)とMélanie Scarciglia(メラニー・スカルシグリア)も会場に在廊します。ぜひご来場ください。 

なお、東神田のギャラリーTARO NASUでは、田島美加の日本初となる個展「Human Synth」が開催されます。合わせてご覧ください。

 

本展にあわせて Three Star Books の主要作品のほか、Three Star Books の別レーベル「One Star Press」オリジナルのローレンス・ウェイナーのブックシェルフとチェア、One Star Press の主要タイトル80点も一堂に並びます。

【展覧会】
田島 美加「
Negative Entropy by Three Star Books
会期 2015年10月23日(金) - 11月8日(日)

時間 12:00 - 20:00 /月休 (※祝日の場合は通常営業)
会場 POST

【作家在廊日】 
2015年10月24日(土)

【同時開催】
田島 美加「Human Synth」
2015年10月23日(金) - 11月21日(土)
火 - 土 10:00-18:00 日月祝 休
*reception for the artist : 2015年10月23日(金) 17:00-19:00
http://www.taronasugallery.com

田島 美加略歴

1975年 ロサンゼルス生まれ 現在はニューヨークにて制作活動中。
彫刻、建築、音楽、パフォーマンスなど多様な要素を組み合わせた作品で知られる。
日本では 2013 年に「六本木クロッシング 2013 : アウト・オブ・ダウト」展に参加、モダニズム建築の巨匠コルビジェの作品を自身の作品と組み合わせたインスタレーション等で高い 評価を得る。
その他の主要な参加展覧会に、2014 年「Negative Entropy」(Eleven Rivington、New York)、2011 年「Pineapples and Pyramids」(Aspen Museum of Art、Aspen)、「After the Martini Shot」(Seattle Art Museum、Seattle) 、2010 年「The Double 」
(Bass Museum, Miami)、2009 年「Today is Not a Dress Rehearsal」with Charles Atlas and New Humans(San Francisco Museum of Modern Art 、San Francisco)など。2014 年 ART BASEL 香港にて BMW 賞を受賞。

 


Three Star Books/One Star Press

Christophe Boutin(クリストフ・ブータン)と Mélanie Scarciglia(メラニー・スカルシグリア)によって設立されたアーティストブックの出版社。
One Star Pressは2000年に設立以後、これまでに300以上のアーティストブックやマルチプルを制作してきている。 これまでにローレンス・ウェイナーやジョン・バルデッサリ、ルイス・ボルツ、ライアン・ガンダー、リアム・ギリック、ジョナス・メカス、 テリ・ワイフェンバックといった国際的に活躍するアーティストとのコラボレーションを実現している。

Three Star Booksは2007年に設立され、部数が限定されたリミテッド・エディションを制作、優れた作家たちとのコラボレーションによって制作されたアイテムはアートフェアやブックフェアでも発表され、コレクターたちの注目するアイテムとなっている。
http://www.threestarbooks.com/
http://www.onestarpress.com/ 

Talk Event [Patterns in Nature] Yuji Hamada x Philippe Fragniere

Added on by Yusuke Nakajima.

10/14、19時30分より、現在開催中の展覧会「Patterns in Nature」に合わせ、濱田祐史とフィリップ・フラニエールによるトークイベントを開催します。

日時:2015年10月14日(水) 19:30~21:00 (18時から開催されるオープニングレセプションに引き続き開催します)
ゲスト:濱田祐史、フィリップ・フラニエール
定員30名、参加無料、要申込

参加ご希望の方はpost@post-books.jpまで、メールの件名に「10/14トークイベント参加申込」とご記入いただき、お名前、お電話番号、お申込人数をお送りください。

[Exhibition] Petterns in Nature / Yuji Hamada『BRANCH』× Philippe Fragnière『KIGUMI』: Start

Added on by Yusuke Nakajima.

本日10/9(金)より、写真家・濱田祐史と写真家・フィリップ・フラニエールの新作展「Patterns in Nature: BRANCH/KIGUMI」がスタートしました。

写真集は10/14(水)に入荷予定ですので、店頭にて予約を承ります。
お気軽にお申し付けください。

[Exhibition] Petterns in Nature / Yuji Hamada『BRANCH』× Philippe Fragnière『KIGUMI』

Added on by Yusuke Nakajima.

この度、POSTにて、写真家・濱田祐史と写真家・フィリップ・フラニエールの新作展「BRANCH/KIGUMI」を開催いたします。

本展は、スイス南西部に位置するクラン・モンタナ市にて、CMarts協会協賛のもと展開されるレジデンスプログラム「Combaz7」の一部をlemon booksが企画・コーディネートして生まれたプログラム「Patterns in NatureYuji Hamada × Philippe Fragnière」のプロジェクトブックが出版されることにあわせた展覧会です。

Left: ©Yuji Hamada, courtesy of Photo Gallery International
Right: ©Philippe Fragnière

 

本プロジェクト「Patterns in Nature」は、Aperture First Photobook Award 2014のファイナリストに選出された濱田祐史とフィリップ・フラニエールが、スイスのヴヴェイ市で開催されたビジュアルアーツフェスティバル「images」で開催されたブックサイニングイベントで隣同士になったことがきっかけで始まりました。
2015年3月、濱田はスイスのクランモンタナ市に約3週間滞在し、その内の1週間はフィリップの実家で宿泊しながら滞在制作し、フラニエールは1ヶ月間滞在し、2週間は東京、もう2週間は京都と奈良に滞在し、奈良では濱田の実家に宿泊しています。それぞれが生まれ育った土地の空気を吸い、お互いの母親の手料理を食し、時にはその土地の土を練り上げ、陶芸作品を制作しました。濃密なコミュニケーションがベースとなり、本プロジェクトは成立しています。

プロジェクト名「Patterns in Nature」は、交流していく中で発見したお互いの愛読書、ピーター・S・スティーブンス著『自然のパターン -形の生成原理-』から引用したもので、これが基となり「自然観」が本プロジェクトのテーマとなりました。そして、お互いの自然観を提示していくなかで、彼らの特徴が見えてきました。

一文字で表せば、濱田は「柔」、フラニエールは「剛」。

粉雪に沈み込む枝を撮り、目に見えない重力を可視化させた濱田。ただ枝を撮っているようで、彼の注力は粉雪に向いています。粉雪の粒子と写真の粒子がリンクし、枝が沈み込んで生まれた黒の粒子(影)が、枝の存在そのものを証明すると同時に、彼自身の存在を証明していることに気づき、撮影しました。

フラニエールは日本の職人が独自に進化させた、釘を一切使用しないで木を接合させる技法「木組み」の接合パーツを再構築し、徹底的にグラフィックを作りこみ撮影しました。人間と自然の対峙から生まれた木組みの造形に普遍性を見出した彼は、その造形に意識が行く様に、影も含めて徹底的にビジュアルを作りこんでいます。

自然そのものを在りのままに受け入れる柔軟なアプローチと、人工物と自然との対峙をグラフィックを作り込みながら質実剛健に捉えるアプローチ。切り口は異なれど、お互いの明確な自然観が垣間見えます。そこには決して、容易に「西洋」と「東洋」では切り分けられない、濃厚なコミュニケーションが生んだ彼らの視点をご高覧ください。

©Yuji Hamada, courtesy of Photo Gallery International

【展覧会】
Patterns in Nature
濱田祐史「BRANCH」+フィリップ・フラニエール「KIGUMI」

会期 2015年10月9日(金) - 10月20日(火)
時間 12:00 - 20:00 /月休 (※祝日の場合は通常営業)
会場 POST

【オープニングレセプション】 
日時 2015年10月14日(水) 18:00-19:30 

【トークイベント】
日時 2015年10月14日(水) 19:30‑21:00
登壇者 濱田祐史 / フィリップ・フラニエール 

【写真集】
出版:lemon books
発売予定:2015年10月14日(水) ※9日(金)よりPOSTにて予約受付開始
サイズ:A4変形
ページ:P96(BRANCH) / P48(KIGUMI)
デザイン:田中義久
装丁:ソフトカバー(2冊セット)
発行部数:700部
国内取り扱い:POST
価格:¥6,500+税

©Philippe Fragnière

 

濱田祐史 作家ステートメント“BRANCH”(2015)

2015年3月18日。スイス、クランモンタナの滞在先の家から車で30分程行ったヴァロン・ド・ラ・チェーチェ(vallon de la Tièche)という山に登った。家主の方にちょっと裏山に登りませんか?と誘っていただき、私は甘く見て軽装で出かけた。すると、着いた先でスノーシューとストックを渡された。
そこは私の思う裏山とは違い、所謂雪山であった。ヴァレー州のそのあたりは川を挟んでたくさんの山が連なっていて、登山している最中にも向かいの山の一つにモンブランを見ることができた。その日は偶然なのかオフシーズンなのか全く人がいなかった。

そこがとても静寂に満ちていたからなのか空気の振動と自分の呼吸が聞こえてきた。山頂に向かう道中、雪の上にぽつりぽつりと”枝”が落ちているのが目に入った。枝は雪の中に少し沈み、見える部分と見えない部分を露わにしていて、その自然から生み出された抽象的なパターンはまるで落雷の稲光や落書きのようにも見えた。

枝と雪、これらの小さな要素から太陽から注がれてくる光、風、水や重力を想像し、私はこの世界のどこにでもありえる事物について思いを巡らせる。そして、すべての事物が避け難くも担っている秩序の中に存在しているように思えてくる。
木を見て、森を見ず。ということわざが日本にはある。
私はスイスの雪山に落ちていた枝から森の循環を垣間見た。

濱田祐史 hamadayuji.com
1979年大阪府生まれ、奈良県育ち。
2003年日本大学藝術学部写真学科卒業。出版社勤務後に独立。現在、東京を拠点に作品制作をしている。
昨年出版された”photograph”はAperture/Paris Photo First Photobook award 2014にノミネートされるなど国内外で作品を発表し続けている。

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フィリップ・フラニエール 作家ステートメント”KIGUMI”(2015) text by Aude Fellay

過ぎ去った時代に作られた木製の建材によって、日本の伝統的な建築物は組み立て、支えられてきた。日本の建築技法は、残り少ない名手たちによって今なお受け継がれている。彼ら大工たちは、戦後日本が急速な技術革新を目の当たりにする中で忘れてしまった「家づくり」の方法論と知識を受け継いでゆく。「KIGUMI」は、手彫りの立体素材とそれに向き合う機械的な「目」、その組み合わせの無限の可能性について探求する。

このシリーズは、木材が組まれる為に作られた突起や穴に焦点を当て、物質がかつて持っていた機能を示唆する。白色の背景の前で、同じ視点から個々に、システマティックに撮影されたイメージは、典型的なタイポロジー写真の伝統に則っている。しかし、日中の強い日差しが作り出す深い影は、被写体を全く新しい、幾何学の混合体に変化させた。木材と影、余白と質量のささやかな関係性が、独自の構造―それは抽象化された模様や、建築素材、もしくは想像上の彫刻となる-を作り出す。それは、物質が本来持っている三次元性を補完し、時に打ち消してゆく。

フィリップ・フラニエール philippefragniere.ch
1987年生まれ、スイス出身。ECAL美術専門学校卒業。卒業制作として制作した写真集「Snow Park(スノーパーク)」が写真集のアカデミー賞と称されるアメリカ大手出版社アパチャー社主催のアワード「Aperture Foundation First Photo Book Award 2014」のファイナリストに選出される。スイスのヴヴェイ市で開催されたビジュアルアーツフェスティバル「images(イメージズ)」に参加など、世界的に注目される若手新進気鋭の写真家の一人。

[Exhibition] TAKASHI HOMMA: [THIRTYFOUR PARKING LOTS] & [SCANDINAVIAN MUSHROOM] / Start

Added on by Yusuke Nakajima.

本日9/15(火)より、ホンマタカシ写真展[THIRTYFOUR PARKING LOTS] & [SCANDINAVIAN MUSHROOM] がスタートしました。

会場には新しくできた写真集が並び、実際に手にとってご覧いただけます。
ルシェのオリジナル写真集と隣り合わせると、感慨深いものがあります。

奥のスペースには、THIRTYFOUR PARKING LOTSのオリジナルプリントが展示されています。
オリジナルはカラーですが、写真集の図版はモノクロなので、見比べてみるのもおもしろいです。

書店スペースの壁面から本棚まで、店内の至るところにSCANDINAVIAN MUSHROOMのオリジナルプリントが点在しています。
ご来場の際はお見逃しないよう、じっくりご覧ください。

[Exhibition] TAKASHI HOMMA: [THIRTYFOUR PARKING LOTS] & [SCANDINAVIAN MUSHROOM]

Added on by Yusuke Nakajima.

昨年9月にスタートしたホンマタカシ、田中義久、POSTによるエド・ルシェへのオマージュシリーズ第3回目として、この度は 「THIRTYFOUR PARKING LOTS」と 「SCANDINAVIAN MUSHROOM」の2冊を刊行、POSTでは出版に合わせた展覧会を開催します。

 

エド・ルシェが1960年代から1970年代に制作した写真を用いた一連のアーティストブックは、後世のアーティストや写真家たちに大きな影響を与え、再解釈やイミテーション、パロディーなど、世界各国の作家たちによる多様なオマージュを生み出しました。
オリジナルの形式やタイトルを引用する事で制作された本は約100冊にのぼり、ルシェはこれらの出版物を容認する事によって、芸術表現における主題や方法の許容範囲を間接的に拡張しています。

今回発表する1冊目はルシェのアーティストブック群の中でも特に評価の高い「THIRTYFOUR PARKING LOTS」です。ホンマが撮影してきた世界各国のパーキングを用い、レイアウトや印刷の線数、造本に至るまで1967年に発行されたルシェのオリジナルに忠実に則っています。
2冊目は、1972年に発行された「COLORED PEOPLE」を参照にしながら、モチーフを置き換えた「SCANDINAVIAN MUSHROOM」です。多肉植物の写真が切り抜きされ、ページに展開されていくオリジナルに倣い、ホンマが北欧で撮影したキノコの写真を同様の方法で1冊の本に仕立てています。

いずれの書籍も、印刷とデザインの段階でプリントのイメージに大きく手が加えられているのが特徴ですが、刊行に合わせて開催する展覧会では、作品集の元となっているオリジナルプリント計20点を展示します。

アーティストブックの金字塔として存在しているルシェの作品群への「返歌」を会場でぜひご覧ください。

協力: TARO NASU

 

※エド・ルシェ(エドワード・ルシェ、Edward Ruscha, 1937年12月16日 - )は、アメリカ合衆国の画家、現代美術のアーティスト。1960年代より、主に言葉と広告媒体のイメージを用い、コンセプチュアル・アートとしての特徴を持った絵画、写真、版画、映画などの製作を行っている。(Wikipedia より)
http://www.gagosian.com/artists/ed-ruscha

【展覧会】
TAKASHI HOMMA [THIRTYFOUR PARKING LOTS] & [SCANDINAVIAN MUSHROOM]
会期 2015年9月15日(火) - 10月4日(日)
時間 12:00 - 20:00 /月休 (※祝日の場合は通常営業)
会場 POST
※本展は、オープニングレセプションの開催はありません。

 

【写真集概要】
「THIRTYFOUR PARKING LOTS」
203mm x 254mm 48ページ 31白黒図版
初版 240部 / 第2版 200部、スペシャルエディション 30部+7A.P.
価格:通常版 3,200円+税 / スペシャルエディション 18,000円+税 

SCANDINAVIAN MUSHROOM」
140mm x 179mm 64ページ 15カラー図版
初版 440部 (※初版・第2版の区分はなし)、スペシャルエディション 30部+7A.P.
価格:通常版 2,800円+税  / スペシャルエディション 15,000円+税

 

【略歴】
ホンマタカシ/ 写真家
1962年東京生まれ。
2011年から2012年にかけて、自身初の美術館での個展「ニュー・ドキュメンタリー」を日本国内三ヵ所の美術館で開催。
写真集多数、著書に『たのしい写真 よい子のための写真教室』2014 年1 月に続編の『たのしい写真 3 ワークショップ篇』を刊行。
現在、東京造形大学大学院客員教授。

田中義久/ デザイナー
武蔵野美術大学空間演出デザイン学科卒業、2008年独立。美術館をはじめ、コマーシャルギャラリー等の展示V.I 計画や、アーティストの作品集の装丁、デザインを手がける。
主な受賞に2013年JAGDA 賞、JAGDA 新人賞、BACON PRIZE2013、2012 年PromaxBDA DESIGN GLOBAL EXCELLENCE AWARDS / SILVER(アメリカ)、2010 年red dot award(ドイツ)、また飯田竜太(彫刻家) とのアーティストユニット「Nerhol」としても活動中。

[talk event] 濱田祐史 x ホンマタカシ トークイベント 「写真と画像について」

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現在開催中の展覧会[C/M/Y]の関連イベントとして、濱田祐史とホンマタカシ氏によるトークイベント「写真と画像について」を開催します。
お誘いあわせのうえご参加ください。

【トークイベント】
日時:2015年9月4日(金) 19:00~20:30 (開場 18:30)

ゲスト:濱田祐史、ホンマタカシ
司会:永井雅也(IMA CONCEPT STORE)
※定員30名/要申込
参加費 500円(当日現金でお支払いください)

※9/4(金)更新:おかげさまで満席となりました。ありがとうございます。
 ご参加される方、会場でお待ちしております。

[Exhibition] 濱田 祐史: C/M/Y 写真集購入者限定特典

Added on by Yusuke Nakajima.

いよいよ明日8/21(金)より、濱田 祐史新作展「C/M/Y」が始まります。

初日19:00よりレセプションを開催しますので、お誘いあわせのうえお気軽にご参加ください。
皆さまのご来場をお待ちしております。

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会期中に写真集「C/M/Y」をご購入いただいた方には、「オリジナルインビテーションカード」(非売品)を進呈させていただくことになりました。
これは、写真集「C/M/Y」の印刷段階で発生したテストプリントの用紙を断裁し、文字部分については、一部ずつ手作業でシルクスクリーン印刷を施しています。
会期中に会場で作品集をご購入いただいたお客さまに限定してお渡しする目的のもと、約400部ほど作成した希少性が高いものです。

※数に限りがあるため、なくなり次第終了となります。予めご了承ください。
ご興味のある方はお早めに。

[Exhibition] 濱田 祐史: C/M/Y

Added on by Yusuke Nakajima.

この度、POSTでは、写真家・濱田祐史の新作展「C/M/Y」を開催いたします。
本展は、オランダの出版社Fw:(エフダブリュー)から濱田の写真集「C/M/Y」が出版されることにあわせた展覧会です。 

本作品「C/M/Y」は、デジタルポラロイドを使い、出力されたフィルムを物理的にシアン、マゼンタ、イエローの三層へと分解し、再構成することで制作されています。今回POSTで展示される作品群は、昨年2014年にIMA CONCEPT STORE(東京・六本木)で初めて発表したシリーズ「C/M/Y_waterfall」から派生し、より複雑で遊び心のある表現へと進化しています。
「C/M/Y_mineral」は、あるイメージをC/M/Yに分離して表れた画層と、鉱物雑誌の誌面をルーペで拡大して撮影されたイメージをC/M/Yに分解した画層を重ね合わせることで、全く新しいイメージをつくり出しています。印刷物を再びC/M/Yに引きはがし、違う色に無限にある選択肢の繰り返しによって本シリーズがどこまでも拡張していく可能性を見出だせます。
「C/M/Y_cube」は、ルービックキューブのイメージをC/M/Yの画層に分離してそれぞれのレイヤーを重ね合わせるのですが、その際に少しずつずらして重ねることで色が変化していきます。ルービックキューブは両手を使って色を合わせる遊びですが、濱田は実際に手を動かして回すことなく、平面上での画層の変化によって色が変わっていくことを楽しむように二次元と三次元とを行き来しています。
多彩な表現を通じて、写真の可能性を拡張する作品を発表し続ける、濱田の新作をぜひご覧ください。

【展覧会】
濱田祐史「C/M/Y」
会期 2015年8月21日(金) - 9月6日(日)
時間 12:00 - 20:00 /月休 (※祝日の場合は通常営業)
会場 POST 

【オープニングレセプション】
日時 2015年8月21日(金) 19:00-21:00
会場 POST 

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【同時期開催 濱田祐史個展】
濱田祐史「C/M/Y」
会期 2015年8月18日(火) - 10月17日(土)
開廊 月 - 金 11:00 - 19:00 / 土 11:00 - 18:00 / 日・祝日 休館
会場 Photo Gallery International
  〒108-0023 東京都港区芝浦4-12-32

【写真集について】
本書は単に作品の記録を目的としているわけではなく、印刷物が綴じられた書籍というものをひとつの表現媒体と捉え、書籍だからこそ成立する実験的な表現に挑戦しています。シリーズ「C/M/Y_waterfall」の中から8枚の作品を選び、印刷の段階でもう一度それぞれの色を分解し、色とかたちの重なりから生まれる変化が面白いものを選び、C/M/Yの3色の紙の上に印刷しページを構成しました。印刷のプロセスや用紙を慎重に選び、本書において初めて実現した視覚的表現が収録されているのが特徴です。

出版:Fw:photography(アムステルダム、オランダ)
発売予定:2015年8月21日
サイズ:A4変形
ページ:64P
デザイン:ハンス・グレメン
製本種類:中綴じ
装丁:ソフトカバー
発行部数:1500 部
国内取り扱い:POST
海外取り扱い:IDEA Books(オランダ)
価格:¥4,500+税 ※2015/8/20追記

作家ステートメント“C/M/Y” (2014-2015) 

「見つけた」と思った。
たくさんの小さな写真を色分解して再構築する中で、今までに自身の中になかった”わからない””予測がつかない”というおもしろさと出会えたからだ。写真は撮影して終わりではなく現像、プリントの過程を経てできている。この過程の中でいくつもの喜びを感じ、時に暗室の中でアイデアが固まってくることもあった。今回のこの作品は撮影後の過程が特殊で仕上がりが特に偶発的に変化するため、衝動と直感で進めていくことがもっとも重要だった。夢の断片のように不確かな輪郭の重なりから完全な答えを導き出すことではなく、それらを受け入れて見ることで画像の呪縛から解き放たれた気がした。
このシリーズではシアン、マゼンタ、イエローの画層を加えたり減らしたりすることで無意識に認識している、ものそのものの印象がどのように変化するかを実験した。
制作を進める中で、子供の頃に絵を描くときに色と色が点や線や面で混ざり合い、新たな色やかたちに変化することに興奮したのを思い出した。最初に見た色とかたちがそのものの印象を決めていたはずなのに、画層を重ねることでひとつの新たなイメージが表層に現れて、さっきまで見ていたものではなくなる。イメージの重なり方の違い、画層を増やすことや逆に減らすこと、ほんの少しの重なりの違いでそれは目の前に現れる。
無限に広がる組み合わせから制作することはまるでもう一度撮影しているかのようだった。
​きっとこの選択肢の数と同じように、目に見えている色やかたちの受け取り方も人によって少しづつ違うのだろうなと感じながら、自分の遊びごころをもとに1枚づつ制作した。


濱田祐史 hamadayuji.com
1979年大阪府生まれ、奈良県育ち。
2003年日本大学藝術学部写真学科卒業。出版社勤務後に独立。現在、東京を拠点に作品制作をしている。
昨年出版された”photograph”はAperture/Paris Photo First Photobook award 2014にノミネートされるなど国内外で作品を発表し続けている。 


今後の展示予定
個展
2015 8/19-10/18“C/M/Y”(Photo Gallery International/Tokyo/Japan)
2015 8/21-9/6“C/M/Y”(limart POST/Tokyo/Japan)
グループ展
2015 9月“branch”Japan and Switzerland exchange project(Sion and Tokyo/Switzerland and Japan) 2015 10/8-12/31“Primal Mountain”(Aix province photo festival/France)
2015 7-9月“photograph”(Conde nast Gallery/NewYork/USA)
2015 7-8月“C/M/Y”(Laurence Miller Gallery/NewYork/USA)

[talk event] 黒田潔: Water(ゲスト / method 山田遊)

Added on by Yusuke Nakajima.

この度、POST では、イラストレーター/デザイナー黒田潔の新作シリーズ「Water」の展覧会開催にあわせて、トークイベントを開催いたします。お誘いあわせのうえご参加ください。

©Kiyoshi Kuroda All Rights Reserved

【トークイベント】
ゲスト 黒田潔/山田 遊(method)
日時 2015年8月7日(金) 19:00-20:30 (開場 18:30)
会場 POST 
定員 35名/入場無料・要予約

申込方法>
予約は営業時間中(火〜日曜日 12:00〜20:00)にお電話(03-3713-8670) 、
またはe-mail post@post-books.jpまでご連絡ください。

メールでのご予約の際は、
■お名前
■お電話番号
■ご参加希望人数
を明記の上お申し込みください。
定員に達した時点でお申込を締め切らせていただきます。

[Interview] Nerhol: Slicing the Onion

Added on by Yusuke Nakajima.

7/26(日)まで開催中のNerhol新作展において、[Slicing the Onion]に関連する質問をし、回答を寄せてもらいました。
会場の作品とあわせてぜひご覧ください。

Q. 本シリーズを作成するに至った経緯を教えてください。

Nerholは流動する被写体をモチーフとしてきましたが、それは消費される社会の縮図である有機性に着目していたからです。ミクロコスモス(小宇宙)としても捉えられる人間、それ自体が相対的な時間軸とは別に、個の確立として持つ時間軸があり、それを写真と彫刻的な手法で定着させてきました。

それら一連の作品群の手法を元に、「静物」というそれぞれの有機物を構成してきたものを取り入れようと試みました。それには「彫る」という行為に於ける内包された形を浮かび上がらせる性質と、素材と手法のバリエーションによる視覚可能な表情の違いをみることができるという二つに大きく立ち返っています。より身近な主題をモチーフに、それらが持つ、見ることができない風景を見るために今回のシリーズがスタートしました。 

 

Q. なぜ被写体にタマネギを選んだのですか?それ以外の食物では成立しないのでしょうか?

私たちが対象にしているものは日常に多数存在していますし、必要性は日常性です。ドイツの小説家ギュンター・グラス(1927-2015)は著作『ブリキの太鼓』などを通じてドイツの社会主義に対する懐疑や反省の意を表し多くの支持を得てきましたが、自伝的作品『Peeling the Onion』では第二次世界大戦中にナチス親衛隊に入隊していたことを明かしました。本人いわく、今でこそ社会主義は過ちだと分かっているというが、社会主義に加担していたという極めてセンセーショナルな独白は、世界的にも大きな非難を呼びました。しかし、ここでいう加担とは全体主義により起こった事象であって、私たちは日常において何かを手に入れ、食していることに問題意識を置き、深刻に考えることはないでしょう。グラスは、自分の身の回りに起こった事柄を、一枚一枚タマネギの皮をむくように丁寧に書き綴ります。タマネギはシンメトリーではないのです。

 

Q. 被写体の定点観測のプロセスを教えてください。

壁面に固定されたタマネギを真俯瞰で撮影していきます。
スライサーで1ショットに対し一回ずつ、できるだけ薄くスライサーで正面から削っていきます。
タマネギには大きさの個体差が多少あるので、モノによっては70枚で全て切り落とされるものもあれば、100カット以上に及ぶものもあります。その後、撮影された一連の写真を時系列で印刷、ひとつの紙の束にし、カッターナイフで一枚ずつ彫っていきます。会場でひとまとまりのグループとなって展示されている5~7つの作品はすべて同一の被写体です。

[Exhibition] 黒田潔: Water

Added on by Yusuke Nakajima.

この度、POST では、イラストレーター/デザイナー黒田潔の新作シリーズ「Water」の展覧会を開催、本展にあわせて同名の作品集を出版します。

 

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動物や植物といった具象的なものを丁寧に描き上げる作品で知られる作者が、今回着目したのは「水」。
グラスに注がれた水、水をかけられたポット、水面から顔をだす北極グマ。水のある典型的な情景から始まり、水から連想したペンキ、コップ、人物…と、物体や事象へと派生していきます。かたちを持たない水が、時間を経て刻一刻と変化していくその一瞬を切り取ると、そこには豊かな表情があらわれます。
これまでの緻密で生命力溢れる作品群とは異なり、余白を持たせながらストレートな筆致で描かれるモノクロームの本作は、鑑賞を通じて各々が自由に想像を広げたり、感情の入り込むような余地があります。
新たな試みへと臨む黒田の新作をぜひご覧ください。

 

【展覧会】
黒田 潔 [Water]
会期 2015年7月31日(金) - 8月16日(日)
時間 12:00 - 20:00 /月休 (※祝日の場合は通常営業)
会場 POST

【オープニングレセプション】
日時 2015年7月31日(金)  19:00-21:00
会場 POST

【トークイベント】
日時 2015年8月7日(金) 19:00-20:30 /開場18:30
会場 POST /要予約/ゲスト:山田 遊(method)
※申込方法などの詳細はこちら

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【アーティストステートメント】

今回の展覧会では、水の流れや泡、水滴や水の歪みといった「水」から派生する作品をモノクロのドローイングで描いた作品を展示します。
水といったかたちの変化するモチーフは、液体の水だけでなく、湿気や湿度といった水分、湿度のある空気感や感情といった目に見えないものも含めて表現しました。
近年中心となっていた動植物の美しいフォルムを精密な描写で描く表現から、かたちを持たない水というモチーフを白黒のシンプルなタッチで描くことで、かたちの捉え方や線の変化など新しい発見と進化が制作していく中で生まれました。

黒田 潔

【作家略歴】
黒田 潔 Kiyoshi Kuroda

1975年東京生まれ。2001年多摩美術大学大学院美術研究科グラフィックデザイン専攻修了後、幾つかのデザイン事務所を経て、2003年にイラストレーターとして活動を開始し、線画で描かれる動植物のアートワークで広告や本の装丁をはじめ、さまざまな分野で活躍を続ける。2009年(株)KABWA設立。大阪成蹊大学客員教授。
今までの展覧会には、「線」TETOKA(2014年/東京)、「オープンスタジオプロジェクト』NANZUKA(2011年/東京)、「MOTアニュアル装飾」東京都現代美術館(2010年/東京)、「Nam June Paik Festival,Now Junp!」ナム・ジュン=パイク・アート・センター(2008年/韓国・龍仁)等がある。
主な作品集に「森へ」(ピエ・ブックス)、古川日出男との共作「舗装道路の消えた世界」(河出書房新社)がある。
http://www.kiyoshikuroda.jp/