2009年から2010年にかけて、ゲルハルト・シュタイデルに密着し、彼がどのように本を作っているのかを追ったドキュメンタリー[How to make a book with Steidl]。
「ここは私にとって出版社と言うより作品を作り上げるための研究室のような場所だ」
冒頭のマーティン・パーとの会話に出てくる言葉を表すように、会社の中では白衣を着て仕事をするシュタイデルですが、世界各国のアーティストたちの本を制作している彼は、世界中を旅して自ら作家の元に赴き、本の制作を進めて行きます。
この映画ではジョエル・スタンフィールドやロバート・フランク、エド・ルシェやジェフ・ウォール、カール・ラガーフェルド、ロバート・アダムスなど、それぞれアーティストとのやりとりを通じ、シュタイデルがどのように本を作りあげて行くのが描き出されています。
時には編集者として意見を交わし、ある時にはアートディレクターとして装丁を提案、さらに印刷所として的確な印刷方法を選び、出版社として発行数を決める。本をつくる工程を全て一括して行い、妥協をせず、徹底した姿勢で本を作るシュタイデルをアーティストたちが心から信頼し、共同で本をつくる事を楽しんでいる様子が映されています。
「この10年で最も重要な出版社」と言われるSteidlがどのように築かれたのか、本当に良い本とは何か、「世界一美しい本を作る」シュタイデルの仕事を通してそれを見事に描き出したこのドキュメンタリー、日本では今年の秋にイメージフォーラムで公開予定です。
How to make a book with Steidl
2010年制作 90分 ドキュメンタリー
登場人物:ゲルハルト・シュタイデル ジョエル・スタンフィールド ロバート・フランク エド・ルシェ ジェフ・ウォール カール・ラガーフェルド ロバート・アダムス 他多数