米TIME誌が選ぶ写真集のベストブックは、その年に出版された選りすぐりの写真集が名を連ねることで定評があります。
2014年は、TIME誌の写真担当エディターのほかに、キュレーターや写真に特化した出版社といった写真の専門家たちにより、27の写真集が選出されました。
イギリスを拠点とした出版社・MACK(マック)の創設者であるMichael Mack(マイケル・マック)は本書を選出し書評しています。
「建前上はふたつの展覧会を網羅するカタログだが、この写真集は昨今出版されたなかで最もオリジナルで、エレガントな構成とデザインを併せ持つものだ。インスタレーションの写真と実際の作品をコラージュしており、緻密なイメージは作家自身の足跡を紡ぎ、分岐した物語を組み立てる。この写真集の唯一の欠点は 500部しか出版されないことだ。」(マイケル・マック)
※日本語訳:between the booksの記事より抜粋
ホンマタカシの自身初となる美術館での個展「ホンマタカシ ニュー・ドキュメンタリー」は、金沢21世紀美術館を皮切りに、東京オペラシティ アートギャラリーを経て、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館へと巡回する大規模な開催でした。
美術館での初個展ということではもちろん、各会場でそれぞれの展示構成がなされたことでも話題となりました。
最後の巡回地となった丸亀展では、これまでの会場とは大きく異なる点として、一連の作品シリーズが時系列に沿って展示されました。
同時進行で制作された別々のシリーズが時間軸をもとに配列されると、別個に独立していた作品同士が図らずも隣り合わせになり、観る側へ新たな視点が与えられます。
特に[Tokyo and My Daughter]の少女が年月を経るごとに成長していくようすが、同時期に発表した作品と並んで展示されていると、何とも言えない感慨深いものがあります。
2014年に開催されたグループ展「拡張するファッション」に参加した際には、1990年代当時に発表したファッション写真の作品を現在の視点で再構成しました。
ドキュメンタリーフォトの手法で従来のファッション写真に新風をもたらしたことは日本の写真界においても衝撃的な出来事でしたが、当時の世相をリアルに捉えた作品は、約20年を経た現在のわたしたちに対してもなお鮮烈な印象を与えます。
参考文献・画像転載
between the books
Takashi Homma / NEW DOCUMENTARY
SUPER LABO
192 Pages
Hardback / Clothbound
18.9 x 24.9 cm
ISBN 978-4-905052-72-2
Edition of 500 copies
2014