Egidio Marzona(エジディオ・マルゾナ)は、特にミニマル/ランド/コンセブチュアル・アートの領域における随一のコレクターとして広く知られています。1960年代以降、持ち前の鑑識眼を頼りに作品を収集し、アート界との繋がりを深めてきました。
2002年以降、彼の壮大なコレクションは[The Marzona Collection]としてベルリン美術館に収蔵されました。欧米のアーティスト約150名によって1960~70年代に制作された600点を超えるアートワークは、現在はthe Nationalgalerie(ナショナルギャラリー)とThe Kupferstichkabinett(プリントとドローイングの美術館)で保存されています。
彼のコレクションのうち、印刷物に関してはKunstbibliothek(アート・ライブラリー)に寄贈されました。
書籍、マルチプル、カタログ、雑誌、リーフレット、インビテーションカード、ポスター、レコード、フィルムやビデオテープ、手稿や手紙、ビデオスチル、展覧会やイベントにまつわる写真など…。約50,000点のアイテムが厳重な管理のもと、現在もこの施設内に保存されています。
印刷物となったアートワーク、特にアーティスト自らがデザインした展覧会ポスターやインビテーションカードは、あくまでアートの周縁的ポジションのアイテムとして扱われてきました。高いクオリティで仕上げられているのにも拘らず、これまで(ほんの一部の例外を除いて)アートとして展示されることはありませんでした。
本書では、印刷物のコンセプト、形や素材における差異や多様性に着目し、本来の魅力に迫っています。
氏が言うことには、「アーカイブは、アートワークそのものに近い、あるいは同等に重要なものである。わたしは、それを何かとても生き生きしたものとして捉えている。『素材』という観点が、わたしの心を頻繁に占拠するので、それで完全に満たそうとする。そこで分類や整理をする。そうしてようやく、アーカイブはただのルール、インフォメーション、分類のシステムなどではなく、実質性や美を備えたものであるということを悟るのだ。」
本書では、ミニマル・アート、アルテ・ポーヴェラ、ランド・アート、コンセプチュアル・アートとジャンルに応じた章の編成のもと、独英のバイリンガルテキストとコレクションの図版とを織り交ぜて紹介しています。アーティストにまつわる印刷物を類型立てて検証していくことで、アートピースに引けを取らない重要なアイテムとしてみる視点を養えそうです。
PRINTED MATTER: The Marzona Collection at the Kunstbibliothek
Berlin : Kunstbibliothek Staatliche Museen zu Berlin
178 Pages
Softcover
190 x 240 mm
German / English
ISBN: 3-88609-521-5
2005