Formafantasma

Added on by Yusuke Nakajima.

Formafantasma(フォルマファンタズマ)は、イタリア出身で、現在はオランダ・アムステルダムを拠点にするSimone Farresin(シモーネ・ファレジン、1980年生まれ)とAndrea Trimarchi(アンドレア・トルマリキ、1983年生まれ)の2者によるデザイナー・デュオです。

2007年にイタリア・フィレンツェのデザイン系大学ISIAで知り合い、在学中からコラボレーションワークを展開し始めます。その後修士号取得のためにともにオランダのDesign Academy Eindhoven(デザイン・アカデミー・アイントホーフェン)へと渡り、卒業後に同地でデザインスタジオを設立、後にアムステルダムに拠点を移し現在に至ります。

こうした経歴をもつ彼らのデザインは、イタリアのセンスが光るスタイルに、コンセプチュアルな奥行きのある実にオランダらしい感覚を伴った素材の使い方とが見事に調和しています。
フェンディ、ドローグを始めとする錚々たるクライアントを抱え、またMoMAを筆頭に世界中の名だたる美術館に作品が収蔵されていることからも、彼らの活動が注目に値することがわかります。
日本では、2014年11月にCIBONEでの企画展に参加したことが記憶に新しいことでしょう。

本書は、2014年にオランダ・デンボス市立美術館で開催された彼らの展覧会にあわせて出版されました。

自らの役割を「クラフト・産業・モノと、ユーザーとを繋ぐ架け橋」であると自覚する彼らの首尾一貫した作風の背景には、素材への関心の高さがあります。
例えば、溶岩を再び溶かしてつくった鏡やガラス、テキスタイル。魚の皮や動物の皮革を植物性なめしで処理してつくったスツールやテーブルウェア。動植物から抽出される天然の樹脂をニスにして制作された「未来のプラスチック素材」を使ったテーブルウェア。土に還る素材でつくられた食器。
いずれも明確な指針をもち、表現力に富んだ方法で素材をデザインに活用しています。


伝統や職人技術、またローカルな手工芸に対して敬意を抱き、持続可能性や文化的な導線ということを念頭に置いたうえで、入念なリサーチと実験を重ねることを厭いません。歴史的・政治的・社会的な力を視野に入れつつ、そこに彼らのニュアンスが加わることで、現代社会において意義深い作品に仕上がっています。


参考文献
CIBONE EXHIBITION: 03
 

Lecturis
176 Pages
Paperback
16.5 x 22.5 cm
Dutch / English
ISBN: 9789462260566
2014