Rachel Whiteread / Catalogue

Added on by Yusuke Nakajima.

Rachel Whiteread(レイチェル・ホワイトリード)は、イギリスをリードする現代彫刻家のひとりです。
1963年にロンドンで生まれ、ブライトン大学でペインティングを、その後スレード・スクール・オブ・ファインアートで彫刻を学びました。
1993年に彫刻作品”house”で注目を集めることになりますが、これはロンドンのイースト・エンドにある立ち入り禁止になっているテラスハウスの室内空間にコンクリートを流し込み、原寸大のレプリカにしたもの。建物の内部空間を可視化した作品は、「空白/余白を可視化する」というのちに確立される彼女のスタイルの礎ともなりました。同年にはターナー賞を受賞しています。
それから徐々に国際的な賞賛を獲得するに至り、欧米でパブリック・ワークを手がけるようになりました。

 

本書は2008年にガゴシアン・ギャラリーで開催された彼女の展覧会にあわせて出版されました。
石膏、顔料、樹脂、木材、金属を用いて制作された作品群も根底にあるコンセプトには忠実ながら、カラフルに彩られているうえに中には半透明なものも混じっているからか、白い石膏で形成された重厚感のある他の作品群と較べると軽やかでポップな印象を与えます。
この色の効果は絶大で、初めて作品を目の当たりにする彼女の作品とは親和性の低い鑑賞者に対しても、作品への興味を引き出す余地を持ち合わせているように感じます。

 


ランダムに配置された展示台や什器に展示された作品は、彼女を含みその同年代のイギリスの現代美術作家を総称するヤング・ブリティッシュ・アーティスト(YBA)の精神性、すなわち既成概念を壊すような革新的かつ予想だにしないような作品を発表しつづけるスタンスとも相通じるものがあります。
 

 

Rachel Whiteread / Catalogue
Gagosian
68 Pages
26 x 30.5 cm
English
ISBN 1-932598-84-7
2008