世界の名だたるメゾンが開催するファッションショーは、来るシーズンのコレクションがいち早くみられるというリサーチの場である以上に、独自の世界観を存分に発揮するエンターテインメントとしても多いに注目されています。
なかでも、シャネルのデザイナーである Karl Lagerfeld(カール・ラガーフェルド)は、ショーのために徹底的につくり込まれた空間を出現させ、圧倒的なスペクタクルで観衆を魅了することで知られています。
毎度趣向をこらし、想像を遥かに上回る壮大な演出が会場を埋め尽くすようすは、関係者だけではなく社会的にも話題になるほどです。
そんな彼の2014/15秋冬のプレタポルテコレクション、会場のキャットウォークには突如「シャネル・ショッピングセンター」があらわれました。
棚にはシャネルの象徴的なダブルシーのマークが印字された食品パッケージが整然と並び、先シーズンのコレクションテーマを取り入れたアイテムが所狭しと収められています。ふたつとない魅惑的なマーケットで、モデルたちは次々とアイテムを手に取ってはショッピングカートへ入れていきます。
こうしたオリジナルの製品と並び、真空パックされたハンドバックや南京錠をモチーフにしたジュエリーといった、シャネルの真骨頂となるアイテムもお目見えします。
普段スーパーマーケットの陳列棚にありふれたアイテムも、シャネルのマークが付された途端、そこに付加価値が生まれます。
資本主義的な社会のあり方に対する皮肉が込められたアイディアは、揺るぎないシャネルのブランド価値があってこそ、ユーモアのある演出として功を奏するのです。
Karl Lagerfeld / Shopping Center
Steidl
94 Pages
Paperback / softback
18 x 26 cm
English
ISBN 978-3-86930-815-9
01/2015