1949年にイングランド北部のヨークシャーで生まれたJohn Pawson(ジョン・ポーソン)は、ミニマリズム建築の第一人者。装飾的な要素を限りなく削ぎ落した建築物やプロダクトのデザインを手がけています。
実家の家業であるテキスタイルの仕事に従事した後に来日し、数年間ほど英語を教えていました。倉俣史朗のスタジオを訪れたことがきっかけで東京へ移住し、彼に師事します。そこで経験を積んだ後、イギリスへ帰国し、建築の名門であるロンドンのAAスクールで建築を学び、1981年に独立しました。
これまでに住居やギャラリー、修道院をはじめ、マンハッタンにあるカルバンクラインの旗艦店や香港の航空会社・キャセイパシフィックのラウンジまで、幅広い案件を手がけてきました。
直近だと、ザハ・ハディトとともにロンドンのデザインミュージアムの改築を任されています。
空間・プロポーション・光・素材といった基本的な要素に対する純粋なアプローチにより、一貫性のある見解を提示します。
本書は2012年にミュンヘンのピナコテーク・デア・モデルネで開催された彼の個展にあわせて出版された展覧会カタログです。チャコールグレーの表紙にモノトーンの文字が配置されたブックデザインにも、彼らしいミニマリズムがあらわれています。
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序盤では、彼の未完成ないし現在進行中の住居の模型が収録されていますが、黒い背景ということも相まって、潔いほどに無駄のないファサードの佇まいが際立ちます。
中盤は、教会やチャペルの作品群が続きます。外観だけではなく、その内部空間の写真を織り交ぜていることで、いかに彼の建築物が光を効果的に取り込めるのかというのが伝わってきます。
終盤になると、これまでに手がけたプロダクトが登場します。鍋やカトラリーなどの食にまつわるアイテムからキャンドルスティックまで、素材や用途もさまざまですが、それぞれがシャープで隙のないデザインという点で共通した部分を見出せます。
John Pawson / Katalog
Buchhandlung Walther König
128 Pages
Hardcover
17.5 x 24.5 cm
English and German
ISBN 978-3863351496
2012