Jason Schmidt / Artists II

Added on by Yusuke Nakajima.

Jason Schmidt(ジェーソン・シュミット)は1969年ニューヨーク生まれの写真家。1991年にコロンビア大学で美術史の学位を取得し卒業しました。彼の作品はロサンゼルス現代美術館や、ニューヨークの現代美術画廊のダイチ・プロジェクツで展覧会が開催されるほか、ニューヨーク・タイムズ・マガジン、ヴァニティ・フェア、ハーパース・バザー、ザ・ニューヨーカー、Vマガジンなどという影響力のある媒体に繰り返し掲載されています。

「Artists II」は、今日においてもっとも重要なアーティストを追うシュミットの進行中の写真ドキュメンタリーシリーズの第2巻です。
カール・ラガーフェルドがディレクターを務めることで知られる、Steidl社内のいちレーベルである「Edition 7L」から、2007年に第1巻となる「Artists」が出版され、待望の続編となります。

本書には、John Baldessari(ジョン・バルデッサリ)、Ai Weiwei(アイ・ウェイウェイ)、 Glenn Ligon(グレン・リゴン)、Cindy Sherman(シンディ・シャーマン)など、166ものアーティストが登場します。
12年以上にわたり撮り収めてきた写真のなかには、若手から大御所、軌道に乗っている者、世界的に著名な人物から知るひとぞ知る気鋭まで、大いなる創造性を秘めたアーティストたちの顔ぶれが並びます。
それを追っていくと、彼なりにアートの世界に鋭い視線を向けてきたことがよく伝わってきます。


彼らのスタジオや制作環境にまつわる場所で撮影されたこれらの写真は、彼らがもっとも打ち解けた瞬間を切り取ることによって、まさに創作プロセスの実践者であることをよく示しています。
シュミット自身が表現者だからこそ、他のアーティストのごくプライベートな領域まで立ち入ることができたのでしょう。
彼の暗躍により、一般的に作品を通じて作家の内面を知る我々も、知られざる素顔を見ることができました。

また、ポートレイトに添えられたテキストも外すことのできない要素です。
時に被写体を文章という切り口から描写したり、詩的な要素や謎めいたアプローチを試みることで多角的に迫り、彼らの素性を明らかにしてきます。
ポートレイトとランドスケープの間ともいえるシチュエーションで捉えるシュミットのこの写真シリーズは、コンスタントに変化してゆくアートやアーティストの有様、そして現代美術の実践の場を包括的にまとめた形式として、非常に有益なものです。

Jason Schmidt / Artists II
Steidl
180 pages
Hardback / Clothbound
295 x 300 mm
English
ISBN: 978-3-86930-632-2
09/2015