「現代写真界を牽引する人物のひとり」と高く評価されている、Alec Soth(アレック・ソス)。これは、彼が出版してきた写真集に基づくといっても過言ではないでしょう。
華々しい出世作となった彼にとって初めての写真集「Sleeping by the Mississippi」は2004年にSteidlから出版されました。アメリカの地方の日常生活でのワンシーンを些細で極めて個人的なストーリーに仕立てるという斬新な切り口で表現した本作は、今日の写真集ブームの先駆けとなりました。かなり多くの部数を発行したにも拘らず、すでに絶版となって久しい状態です。
それに続く「Niagara」(2006年)や「Broken Manual」(2010年)の2作品(いずれも現在は絶版)の功績は、彼自身が主宰する出版レーベル「Little Brown Mushroom」の非常に大きな影響力をもたらす取り組みと相まって、ソスの写真集出版業界の先導者としてのポジションを不動のものにしました。
そして、2015年にMACKから出版された「Songbook」でも話題をさらったことは記憶に新しいことでしょう。
この独特なカタログは、ロンドンのサイエンス・ミュージアム内の「Media Space」で開催中の展覧会「Gathered Leaves: Photographs by Alec Soth」にあわせて制作されたもの。
このタイトルは、アメリカの詩人・Walt Whitman(ウォルト・ホイットマン)の詩「Song of Myself [1855]」に由来しており、ソスの写真集が自身の考察と観念の集積であるだけでなく、彼の作品は彼自身の物語であるという着想が元になっています。
本書は、豪華にプリントが印刷されたエンボス加工のシェル型ボックスのなかに、絶版の3タイトルを含む4つの写真集を複製したミニチュアブックとともに、作品のビジュアルが印刷された大判のポストカード29点が収められています。
このカードの裏面には、ロンドンにあるMedia Speceディレクター兼本展キュレーターのKate Bush(ケイト・ブッシュ)による序文と、イギリスを拠点として写真家・キュレーター・批評家として活躍するアメリカ人のAaron Schuman(アーロン・シューマン)によるエッセイ28点を収録しており、充実したコンテンツに仕上がっています。
代表的な4シリーズをもとに、現段階で彼のキャリアを回顧するような位置付けであるばかりか、写真という媒体を通じて多種多様なアプローチを繰り広げているソスの今後の展望を垣間見ることができます。
※資料提供: twelvebooks
Alec Soth / Gathered Leaves
MACK
Clamshell box housing four mini facsimile books, and 29 large format postcards
228 x 223 mm
English
ISBN: 9781910164365
2015