Kim Boske(キム・ボスケ)の作品集「Kamiyama」が、Hans Gremmen(ハンス・グレメン)によるデザインで出版社Fw:Booksから刊行されることを記念し、展覧会を開催いたします。徳島県で第1弾が行われた本展は、東京(POST)、そしてオランダを巡回する予定です。
©︎ Kim Boske
【展示会概要】
Kim Boske / Kamiyama
会場: POST
〒150-0022 東京都渋谷区恵比寿南2-10-3
会期: 2025年8月15日(金)~2025年9月7日(日)
時間: 11:00-19:00
定休日: 毎週月曜日
オープニングレセプション: 2025年8月15日(金) 16:00-19:00
作家在廊のもと、オープニングレセプションを開催致します。予約不要、参加無料となっておりますので、みなさまのご参加をお待ちしております。
時と空間の異なる瞬間が私たちの視点をかたちづくり、現実を定義していくことに魅了されながら、キム・ボスケは「時間」というシステムに焦点を当てた作品を制作しています。彼女の作品は、時間の経過のなかで取りこぼされたさまざまな視覚的断片をとらえ、集積することで構成されています。過去と現在の残像を集め、それらを再構成することで「今」の像を立ち上げ、肉眼ではとらえられない現象を明らかにしようとする試みです。
彼女のヴィジュアル・ランゲージにおいて、「自然」は中心的な要素を占めています。ボスケの作品は、自然や風景の意味、そしてそれに対する私たちの関係性を探り、思索し、想像するプロセスなのです。
本展では、2018年から7年にわたって、彼女が徳島県の山間に位置する神山町を継続的に訪れ、神山アーティスト・イン・レジデンス(KAIR)に参加し制作した作品を紹介いたします。
本展に並ぶ作品群は、時間をかけてその土地と関係を築いていく、プロセスベースの制作姿勢を反映するものです。天然藍染や手漉き和紙といった地元の職人との協働を通じて、自然環境は主題であると同時に、作品の物質そのものとしても存在しています。ここでは自然は比喩や象徴ではなく、直接的に、そして能動的に作品に関与しています。時間、顔料、繊維を通して、風景そのものが作品の内部に染み込み、刻まれていくのです。
また、本プロジェクトの核となるのは「重なり」という構造です。風景を固定された全体像としてではなく、断片や透明層、リズムとして立ち現れさせる手法をとっています。これはドゥルーズとガタリのリゾーム的思考(要素が非線形に接続し、分岐し、また交わる構造)に着想を得たものです。
本展では、以下の複数のシリーズからなる作品群を紹介します:
– Akui Gawa
– Amagoi no Taki – natural
– Stone Stamps
– Leporello – Ensō
神山という町で作家が感じ、形にした、地域の人々との深い繋がりや自然のあり方。
静けさの中に垣間見える、神山という町や人々へのあたたかな想いにぜひ触れてください。
キム・ボスケ(Kim Boske)
1978年オランダ・ヒルフェルスム生まれ。デン・ハーグ王立芸術アカデミー卒業。時間や空間、そして自然との関係性をテーマに、写真と映像による表現を探求している。過去と現在の視覚的断片を重ね合わせることで、「いま」という瞬間を再構成し、目には見えない現象を浮かび上がらせる。自然と芸術の対話を軸に、人と風景のつながりを詩的に描くその作品は、Foam(アムステルダム)、オランダ写真美術館(ロッテルダム)、Three Shadows(北京)など国内外の展覧会で広く紹介されている。2012年に作品集『Mapping』を刊行。