Roma Publications(ローマ・パブリケーションズ)は、1998年にオランダ・アムステルダムを拠点とし、グラフィックデザイナーのRoger Willems(ロジャー・ウィレムス/1969年生まれ)と、アーティストのMark Manders(マーク・マンダース/1968年)により設立された独立系出版社。彼らの名前の頭2文字"RO"gerと"MA"rkを取って命名されました。
現代美術に特化した出版活動を軸として、自らでデザインワークを手がけたり自身の作品集を出版するばかりでなく、彼らとも関係性の深い、同時代のオランダのクリエイターの作品を発表するプラットフォームとしても根付いています。POSTでも2012年に出版社特集をしました。
余談ですが、Mandersは2013年に開催されたヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展にオランダ代表として参加したり、日本では2015年にギャラリー小柳で個展が開催されたことでご存知かもしれません。
2014年11-12月、イタリアの都市・ローマ(=Rome、出版社名「Roma」と同音異義語)にてRomaの展覧会が開催されました。これまでに出版した本230タイトルほどが一同に並び、彼らの出版活動をみるうえで非常に重要な機会となりました。
本書は本展の会場風景が収録されていることで会場の臨場感が伝わってくるだけでなく、出展されたタイトルのインデックスがリストアップされていて、アーカイブとしても充実した編集となっています。
Romaは普段、展覧会やプロジェクトの集大成として1冊の出版物を制作していますが、本展では一転して、印刷したフォーマットを起点として、書籍・新聞・ポスター・その他の一連の印刷物に、出版社のアイデンティティとも関連性の高いアートワークやインスタレーションが合わせて展示されました。入念に構成された展覧会においてアートと出版物をあわせて展示するという格式張らない方法は、アーティストとのコラボレーションを通じて関係を構築してきたRomaのスタンスを明確にしています。
このハイブリッドなアプローチにおいてもうひとつの興味深い要素として、オリジナルと複製との間、ひいては美術作品の排他性と出版物の民主的な性質との間にある時にきわどい境界線について問いかけているということが挙げられます。
展覧会は、展示スペースに作用しうる拡張したメディアとして「書籍」という形式を提示しています。招聘されたアーティストのなかには、紙と会場、イメージと素材、オリジナルと複製との間にある差異が衰退していくことに対して寄与するひともおり、その多くは書籍や印刷物を自身の制作における中心的なメディアとして起用し、ただ出版物を作品制作の普及のための重要な役割を担うものとしてではなく、あくまで作品の実践として書籍というメディアを選択するということが基礎となっているようです。
Roma Publications at Fondazione Giuliani, Rome
Roma Publications
Paperback
160 x 220 mm
English
ISBN: 9789491843358
2015