Andy Warhol / EARLY HAND-PAINTED WORKS

Added on by Yusuke Nakajima.

20世紀を代表するアーティストであり、アメリカ・ポップアートの第一人者として知られるAndy Warhol(アンディ・ウォーホル、1928-1987)。
日本では、2014年2〜5月に森美術館で開催された大規模な個展が記憶に新しいのではないでしょうか。

本書は、2005年にニューヨークのGagosian Galleryで開催されたウォーホルの展覧会にあわせて出版されたカタログです。
分厚いボール紙にモノトーンで描かれたコカ・コーラのボトルが配された表紙は、一目見て彼の作品集とわかる潔さとインパクトで目を引きます。

1960年代初頭に発表されたシルクスクリーン・ペインティングの作品群といえば、キャンベル・スープの缶など既製品を描いたものが有名です。
具体的なプロセスとしては、印刷されたイメージをトレーシングペーパーに写し、それをキャンバスや麻布、紙などの表面に描きます。
そのトレースされたイメージはアクリル絵の具などで着色され、より軽快さを帯びてあらわれてきます。
中身にしても、ただ作品がそのまま印刷されているのではなく、別紙に印刷された図版が大きく貼り込まれているのが特徴的です。
まるでエフェメラ(フライヤーなど)を丁寧にスクラップしているかのような凝った造本により、ページをめくるごとに高揚します。

本書には、作品とともにモノクロで写されたウォーホルのポートレイト写真が収録されています。
ともにこの時代を牽引してきたロイ・リキテンシュタインやロバート・ラウシェンバーグと肩を並べたオフショットは、当時の空気感をありありと写し出していてとても感慨深いです。
また、ポップアートを一躍有名にした美術商のイヴァン・カープとの対談も見逃せません。

大量生産される消費材をモチーフにした作品群は鑑賞者側からするとあまりにも既視感がありますが、
彼の最も勢いのある時代の作品をストレートかつ印象深く編集した本書は完成度が高く、
一度手に取って目を通してみると、不思議とぜひとも手元に置いておきたいという気持ちが募ります。

 

Andy Warhol / EARLY HAND-PAINTED WORKS
Gagosian
24.8 x 28.6 cm
English
ISBN 978-1-932598-21-9
2005