[Exhibition] Sachiko Morita / Time in Air, Time in Paper

Added on by Yusuke Nakajima.

この度POSTではフランスのアンジェを拠点に活動するアーティスト、森田幸子の展覧会を開催いたします。

【展覧会概要】

Sachiko Morita / Time in Air, Time in Paper
会場: POST
〒150-0022 東京都渋谷区恵比寿南2-10-3
会期: 2022年12月16日(金)~2023年1月22日(日)
※2022年12月29日(木)~2023年1月5日(木) は年末年始の休業期間となります。
時間: 11:00-19:00
定休日: 毎週月曜日
協力: Cairo Apartment

ブックサイニング: 2023年1月21日(土) 17:00-
参加費無料、事前予約不要ですので、お気軽にお越しください。


森田幸子は武蔵野美術大学で彫刻を学んだ後、フランス・ナントのエコール・ボザールへ留学。日本を離れる前に、すべてを持ち出すことはできないと考え、オブジェの写真を撮り始めます。現在もフランス・アンジェの彼女のアトリエにて、古くからある素材を使いながら常に実験を重ね、独自のプリント方法を考案し続けています。

彼女の制作プロセスはユニークで、イタリア製水彩画紙に刷毛で感光剤を塗布し、自らの印画紙を作ることから始まります。35mmフィルムカメラを使い自然光の中で撮影された写真を、アンティークの引き伸ばし機を使用して、印画紙に焼き付けます。その後、お湯と絵筆で影を描くように感光剤を細心に取り除きます。
展示作品にも使用されているファブリアーノ社の300gの水彩紙は被写体である物や花に近い質感を生み出します。全ての工程を手作業で仕上げるため、一枚一枚のプリントの表情に個性があります。

また、彼女にはガーデナーとしての一面もあります。畑を耕し、野菜や花を育て、実をつけると、そこから種子を採取するプロセスは、彼女の作品制作の原点と言っても過言でないかもしれません。

本展は、Cairo Apartmentより刊行された彼女の作品集「Time in Air, Time in Paper」を記念する展覧会となっております。1月には作家の来日も予定しておりますので、この機会にぜひご来場ください。

 


『Sachiko Morita / Time in Air, Time in Paper』

Photographs by Sachiko Morita
Edited and designed by Seiko Morikawa
Printed in Kyoto, Japan
First Edition 1000 部 : ¥7,000 + tax
Special Edition 25 部 (サイン入りオリジナルプリント、貼り紙スリップケース付 ) : ¥53,000 + tax
サイズ : 220 x 280 mm
ページ : 72 pp
重さ : 642 grams
ISBN : 978-4-9911780-1-6

フランス・アンジェを拠点とする森田幸子は日々の生活の中で見つける自身の喜びや好奇心に非常に質実なアーティストです。それを証明するかのように、彼女の眼差しは庭の土からフィルムカメラへ、そして水彩画紙へと移りゆきます。彼女の作品の特徴であるドローウィングのような直感的な被写体の輪郭には、瞬間的な時を捉える写真的側面と、線や影を定義しながら時間を経て完成させる絵画的側面とのふたつの表情が垣間見えます。
本作『Time in Air, Time in Paper』では、そのふたつの側面を意識し、20年以上に亘る51作品を再編、水彩画紙に存在する彼女の素朴な時の流れを捉えることを試みています。「現実と過ぎ去る時間」を彼女の作品からは強く感じますが、その独特ともいえる時の流れに記憶を巡らすことで、視覚に加え、感覚によって鑑賞することの喜びを私たちに与えてくれるでしょう。


 

Cairo Apartment (カイロ アパートメント) 

デザイナー森川聖子とアーティスト岩﨑淳によるデザインスタジオ、及びインディペンデントパブリッシングハウス。2020年にアントワープと東京を拠点としスタート、現在は東京にアトリエを構えています。
Cairo Apartment は、本を一つのオブジェクトとしてプロデュースすることを試みています。このアイデアを叶えるために、アーティストの意図を深く読み解き、共有し、またそれらを増築・補完するように本のディティールに落とし込みます。私たちの審美眼は、本の中にある作品が持つストーリー、またそのストーリーから導き出された本の佇まい、その本=オブジェクトが作り出す空間にまで及びます。