今月より、スイスの出版社、Triest Verlagの特集が始まりました。
2015年に二人の女性によって設立された出版社であるTriest Verlagは、ある分野のトピックについて専門的な内容の書籍を刊行しています。分野は建築、グラフィックデザイン、タイポグラフィーに関するものが多く、一つのテーマに対して筆者と読者の間に対話が生まれるような作りの書籍となっています。
2017年にはSWIPS(スイスの独立系出版社のグループ)のメンバーに加入し、精力的な出版活動を続けています。
Vico Magistretti / Stories Of Objects
本書は、イタリア出身の建築家であるヴィコ・マジストレッティの作品集。彼は60年代にインダストリアルデザイナーとして活動を始め、300点以上の製品や家具を生み出した。イタリアデザインの基盤を築いたひとりとされるマジストレッティ。そのデザインは実験的でありながらも調和が取れた作りとなっており、現在に至っても70点ほどの作品が生産し続けられている。
本書では、彼の代表的な12点の作品が詳細に紹介されており、また製品のマーケティングにおける写真の使用方法や、プロダクトのメディア掲載についてのエッセイも収録されている。
Triest Verlag / 272ページ / ソフトカバー / 240 x 160 mm / 9783038630494 / 2020年
Rosmarie Tissi / Graphic Design
スイスのグラフィックデザイナー、ロスマリー・ティッシの作品集で、彼女の60年間の活動をまとめて紹介するのは初めてのことである。
彼女の主な活動範囲は、チューリッヒの劇場公演やセレナーデ・コンサート、展覧会やイベントなどの文化的なポスターの制作であった。さらに、過去60年の間に、コマーシャルアート、紙幣や雑誌の表紙のデザイン、様々な有名なフォントのデザインも手がけている。遊び心のある特徴的なデザインをたっぷりと楽しむことのできる一冊となっている。
Triest Verlag / 120ページ / ソフトカバー / 250 x 210 mm / 9783038630340 / 2019年
Words Form Language - On Concrete Poetry, Typography, And The Work Of Eugen Gomringer
ボリビア生まれのスイス人詩人、作家、パブリッシャーのオイゲン・ゴムリンガーは、しばしばコンクリートポエトリーの父と称される。彼は、戦後のスイスのデザインやアートシーンで活躍し、文学、アート、デザインの分野においての詩の代弁者であった。ディーター・ロス、マルセル・ウィスと共同で発表した雑誌『spiralale』を原点とし、詩と商業的なコピーの境界を曖昧にするような活動を続けてきたのだ。
本書は彼ががアートディレクターやコピーライターとしてさまざまな企業と長年にわたってコラボレーションしてきた作品の中から、オリジナルの画像と選りすぐりの作品を組み合わせて構成された一冊となっている。
Triest Verlag / 220ページ / ソフトカバー / 240 x 160 mm / 9783038630692 / 2021年