来週6/25(土)から7/1(金)に開催されるTomasz Gudzowarty(トマシュ・グゾバティ、1971年-:ワルシャワ生まれ)の出版記念写真展に関連して、彼の他の作品シリーズにも目を向けてみたいと思います。
グソバティの名が知れ渡った契機は、1999年まで遡ります。ワールド・プレス・フォト・アワードの自然部門で、彼の作品が受賞したことがきっかけでした。その作品は、2頭のチーターの子どもたちがかろうじて初めての捕食をする瞬間を捉えています。2頭がシカを挟んで対峙している緊迫した状況なのですが、獰猛な荒っぽさは鳴りを潜め、自然が時折みせる奇跡的な一瞬を捉えた美しさが印象深いです。
この受賞を機に、彼は野生生物のドキュメンタリー写真家としての地位を確立しました。サハラ以南のアフリカを広範囲にわたって旅して回り、ゾウ・ライオン・チーター・ウー(ウシカモシカ)・シマウマといった野生動物たちを幾千ものイメージを撮り納めてきました。また、南極のウェッデル海に生息する皇帝ペンギンの生態を遠隔で記録することにも成功しています。
本書「CLOSER」では、毎年長距離移動をするウーの大群が生息するタンザニアや、繁殖期を迎えたペンギンの群生地が舞台になっています。黒い背景のモノクロームの世界のなかで野生の世界で繰り広げられる筋書きのないドラマがダイナミックに広がっています。
グゾバティが目の当たりにした自然のスペクタクルを巧みに捉えた野生動物の写真は、技術的・美的にみても洗練されています。彼の情熱や主題に対する深い知識を後ろ盾として、抜け目のない鋭い観察眼によって、全般的な様式と細やかなディテールの両方を捉えているからです。彼は鑑賞者に、自然が内包する働きや美しさをもたらします。
Tomasz Gudzowaty / Closer
Steidl
256 pages, 250 images
Tritone
Softcover in slipcase
290 x 370 mm
English
ISBN: 978-3-95829-044-0
04/2016
14,800円+税
Sorry, SOLD OUT