この度POSTは、オランダの写真家ヘラルト・ペトルス・フィーレット(Gerard Petrus Fieret, 1924–2009)のヴィンテージ・ゼラチンシルバープリント36点による展覧会「Raw Art on Paper by G. P. Fieret」を開催いたします。
本展は、2026年にオランダのVan Zoetendaal Publishersから刊行された同名の写真集にあわせて企画されたもので、フィーレットのオリジナルプリントをまとまった規模で紹介する日本では貴重な機会となります。
【展示概要】
Raw Art on Paper by G.P. Fieret
会期:2026年11月13日(金) - 12月27日(日)
会場:POST
〒150-0022 東京都渋谷区恵比寿南2-10-3
時間:11:00-19:00
定休日:毎週月曜日
助成:オランダ王国大使館
出品作はすべて1965年から1975年のあいだに撮影・プリントされたゼラチンシルバープリントです。18×24cmから50×60cmまでの36点で、画面の多くには作家自身の署名と「COPYRIGHT GERRIT PETRUS FIERET」のスタンプが、ときに同じプリントに7回も押されています。若い女性、路上で遊ぶ子どもたち、ハーグの街並み、アトリエの壁、年老いた犬、そして作家自身。被写体はフィーレットが日々の暮らしのなかで出会ったものばかりです。
粒子の荒れ、ピンボケ、露出過多、ソラリゼーション、傷んだネガからのプリント。写真の「失敗」とされてきた要素を、フィーレットはそのまま作品に取り込みました。写真集の編者ウィレム・ファン・ズーテンダール(Willem van Zoetendaal)がタイトルに掲げた「Raw Art on Paper(紙の上の生の芸術)」という言葉は、その姿勢を端的に言い表しています。本展では額装したプリントを壁面に展示し、写真集の誌面では伝わりにくい紙の質感、スタンプのインクの濃淡、プリントごとに異なる手の痕跡を間近で見ていただけます。
ヘラルト・ペトルス・フィーレットは1924年、オランダのハーグに生まれました。詩人でもあり、デッサンも手がけた彼が写真に集中したのは、1965年から1975年までのおよそ10年間です。ハーグのアトリエを拠点に、プラクチカ(Praktica)の一眼レフを手に街と人を撮り続け、現像から焼き付けまでを自ら行いました。自分の作品が他人に流用されることを強く警戒し、プリントの表面に何度も署名とスタンプを押したことは、彼の作品を見分ける最大の特徴になっています。
生前は写真界の周縁にあり、晩年は困窮のうちに2009年、85歳で亡くなりました。再評価が本格化したのは没後で、2016年にはパリのル・バル(Le BAL)で回顧展が開かれ、Atelier EXB(旧Éditions Xavier Barral)から297点を収めた592ページの作品集が刊行されました。そして2026年、本展のきっかけとなる写真集『Raw Art on Paper by G.P. Fieret』が刊行されました。
現在では戦後オランダ美術を代表する写真家の一人として、またアウトサイダー・アートの文脈からも論じられています。
会場では、写真集『Raw Art on Paper by G.P. Fieret』(Van Zoetendaal Publishers、2026年)を販売します。コレクターのヨハネス・ロース(Johannes Roos)が所蔵する約300点のプリントから編者ウィレム・ファン・ズーテンダールが選んだ作品を、女性、街、子ども、動物、自画像という主題ごとに編んだ一冊です。序文は写真評論家のフランチェスコ・ザノット(Francesco Zanot)が担当し、出品作の多くがこの本に収録されています。
あわせて、写真集の編集とデザインを手がけたウィレム・ファン・ズーテンダールが本展のためにデザインしたポスターとポストカードを制作し、会場で販売します。いずれも写真集の印刷の色調を基準に、日本で印刷しています。
ポスター:4種、B2判(515×728mm)、モノクロ、各300部
ポストカード:15種、105×155mm、裏面に作家名、「Untitled」、制作年(1965–1975)とクレジットを記載
この機会に、みなさまのお越しをお待ちしております。