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[Exhibition] Petterns in Nature / Yuji Hamada『BRANCH』× Philippe Fragnière『KIGUMI』: Start

Added on by Yusuke Nakajima.

本日10/9(金)より、写真家・濱田祐史と写真家・フィリップ・フラニエールの新作展「Patterns in Nature: BRANCH/KIGUMI」がスタートしました。

写真集は10/14(水)に入荷予定ですので、店頭にて予約を承ります。
お気軽にお申し付けください。

[Exhibition] Petterns in Nature / Yuji Hamada『BRANCH』× Philippe Fragnière『KIGUMI』

Added on by Yusuke Nakajima.

この度、POSTにて、写真家・濱田祐史と写真家・フィリップ・フラニエールの新作展「BRANCH/KIGUMI」を開催いたします。

本展は、スイス南西部に位置するクラン・モンタナ市にて、CMarts協会協賛のもと展開されるレジデンスプログラム「Combaz7」の一部をlemon booksが企画・コーディネートして生まれたプログラム「Patterns in NatureYuji Hamada × Philippe Fragnière」のプロジェクトブックが出版されることにあわせた展覧会です。

Left: ©Yuji Hamada, courtesy of Photo Gallery International
Right: ©Philippe Fragnière

 

本プロジェクト「Patterns in Nature」は、Aperture First Photobook Award 2014のファイナリストに選出された濱田祐史とフィリップ・フラニエールが、スイスのヴヴェイ市で開催されたビジュアルアーツフェスティバル「images」で開催されたブックサイニングイベントで隣同士になったことがきっかけで始まりました。
2015年3月、濱田はスイスのクランモンタナ市に約3週間滞在し、その内の1週間はフィリップの実家で宿泊しながら滞在制作し、フラニエールは1ヶ月間滞在し、2週間は東京、もう2週間は京都と奈良に滞在し、奈良では濱田の実家に宿泊しています。それぞれが生まれ育った土地の空気を吸い、お互いの母親の手料理を食し、時にはその土地の土を練り上げ、陶芸作品を制作しました。濃密なコミュニケーションがベースとなり、本プロジェクトは成立しています。

プロジェクト名「Patterns in Nature」は、交流していく中で発見したお互いの愛読書、ピーター・S・スティーブンス著『自然のパターン -形の生成原理-』から引用したもので、これが基となり「自然観」が本プロジェクトのテーマとなりました。そして、お互いの自然観を提示していくなかで、彼らの特徴が見えてきました。

一文字で表せば、濱田は「柔」、フラニエールは「剛」。

粉雪に沈み込む枝を撮り、目に見えない重力を可視化させた濱田。ただ枝を撮っているようで、彼の注力は粉雪に向いています。粉雪の粒子と写真の粒子がリンクし、枝が沈み込んで生まれた黒の粒子(影)が、枝の存在そのものを証明すると同時に、彼自身の存在を証明していることに気づき、撮影しました。

フラニエールは日本の職人が独自に進化させた、釘を一切使用しないで木を接合させる技法「木組み」の接合パーツを再構築し、徹底的にグラフィックを作りこみ撮影しました。人間と自然の対峙から生まれた木組みの造形に普遍性を見出した彼は、その造形に意識が行く様に、影も含めて徹底的にビジュアルを作りこんでいます。

自然そのものを在りのままに受け入れる柔軟なアプローチと、人工物と自然との対峙をグラフィックを作り込みながら質実剛健に捉えるアプローチ。切り口は異なれど、お互いの明確な自然観が垣間見えます。そこには決して、容易に「西洋」と「東洋」では切り分けられない、濃厚なコミュニケーションが生んだ彼らの視点をご高覧ください。

©Yuji Hamada, courtesy of Photo Gallery International

【展覧会】
Patterns in Nature
濱田祐史「BRANCH」+フィリップ・フラニエール「KIGUMI」

会期 2015年10月9日(金) - 10月20日(火)
時間 12:00 - 20:00 /月休 (※祝日の場合は通常営業)
会場 POST

【オープニングレセプション】 
日時 2015年10月14日(水) 18:00-19:30 

【トークイベント】
日時 2015年10月14日(水) 19:30‑21:00
登壇者 濱田祐史 / フィリップ・フラニエール 

【写真集】
出版:lemon books
発売予定:2015年10月14日(水) ※9日(金)よりPOSTにて予約受付開始
サイズ:A4変形
ページ:P96(BRANCH) / P48(KIGUMI)
デザイン:田中義久
装丁:ソフトカバー(2冊セット)
発行部数:700部
国内取り扱い:POST
価格:¥6,500+税

©Philippe Fragnière

 

濱田祐史 作家ステートメント“BRANCH”(2015)

2015年3月18日。スイス、クランモンタナの滞在先の家から車で30分程行ったヴァロン・ド・ラ・チェーチェ(vallon de la Tièche)という山に登った。家主の方にちょっと裏山に登りませんか?と誘っていただき、私は甘く見て軽装で出かけた。すると、着いた先でスノーシューとストックを渡された。
そこは私の思う裏山とは違い、所謂雪山であった。ヴァレー州のそのあたりは川を挟んでたくさんの山が連なっていて、登山している最中にも向かいの山の一つにモンブランを見ることができた。その日は偶然なのかオフシーズンなのか全く人がいなかった。

そこがとても静寂に満ちていたからなのか空気の振動と自分の呼吸が聞こえてきた。山頂に向かう道中、雪の上にぽつりぽつりと”枝”が落ちているのが目に入った。枝は雪の中に少し沈み、見える部分と見えない部分を露わにしていて、その自然から生み出された抽象的なパターンはまるで落雷の稲光や落書きのようにも見えた。

枝と雪、これらの小さな要素から太陽から注がれてくる光、風、水や重力を想像し、私はこの世界のどこにでもありえる事物について思いを巡らせる。そして、すべての事物が避け難くも担っている秩序の中に存在しているように思えてくる。
木を見て、森を見ず。ということわざが日本にはある。
私はスイスの雪山に落ちていた枝から森の循環を垣間見た。

濱田祐史 hamadayuji.com
1979年大阪府生まれ、奈良県育ち。
2003年日本大学藝術学部写真学科卒業。出版社勤務後に独立。現在、東京を拠点に作品制作をしている。
昨年出版された”photograph”はAperture/Paris Photo First Photobook award 2014にノミネートされるなど国内外で作品を発表し続けている。

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フィリップ・フラニエール 作家ステートメント”KIGUMI”(2015) text by Aude Fellay

過ぎ去った時代に作られた木製の建材によって、日本の伝統的な建築物は組み立て、支えられてきた。日本の建築技法は、残り少ない名手たちによって今なお受け継がれている。彼ら大工たちは、戦後日本が急速な技術革新を目の当たりにする中で忘れてしまった「家づくり」の方法論と知識を受け継いでゆく。「KIGUMI」は、手彫りの立体素材とそれに向き合う機械的な「目」、その組み合わせの無限の可能性について探求する。

このシリーズは、木材が組まれる為に作られた突起や穴に焦点を当て、物質がかつて持っていた機能を示唆する。白色の背景の前で、同じ視点から個々に、システマティックに撮影されたイメージは、典型的なタイポロジー写真の伝統に則っている。しかし、日中の強い日差しが作り出す深い影は、被写体を全く新しい、幾何学の混合体に変化させた。木材と影、余白と質量のささやかな関係性が、独自の構造―それは抽象化された模様や、建築素材、もしくは想像上の彫刻となる-を作り出す。それは、物質が本来持っている三次元性を補完し、時に打ち消してゆく。

フィリップ・フラニエール philippefragniere.ch
1987年生まれ、スイス出身。ECAL美術専門学校卒業。卒業制作として制作した写真集「Snow Park(スノーパーク)」が写真集のアカデミー賞と称されるアメリカ大手出版社アパチャー社主催のアワード「Aperture Foundation First Photo Book Award 2014」のファイナリストに選出される。スイスのヴヴェイ市で開催されたビジュアルアーツフェスティバル「images(イメージズ)」に参加など、世界的に注目される若手新進気鋭の写真家の一人。

[Exhibition] TAKASHI HOMMA: [THIRTYFOUR PARKING LOTS] & [SCANDINAVIAN MUSHROOM] / Start

Added on by Yusuke Nakajima.

本日9/15(火)より、ホンマタカシ写真展[THIRTYFOUR PARKING LOTS] & [SCANDINAVIAN MUSHROOM] がスタートしました。

会場には新しくできた写真集が並び、実際に手にとってご覧いただけます。
ルシェのオリジナル写真集と隣り合わせると、感慨深いものがあります。

奥のスペースには、THIRTYFOUR PARKING LOTSのオリジナルプリントが展示されています。
オリジナルはカラーですが、写真集の図版はモノクロなので、見比べてみるのもおもしろいです。

書店スペースの壁面から本棚まで、店内の至るところにSCANDINAVIAN MUSHROOMのオリジナルプリントが点在しています。
ご来場の際はお見逃しないよう、じっくりご覧ください。

[Exhibition] TAKASHI HOMMA: [THIRTYFOUR PARKING LOTS] & [SCANDINAVIAN MUSHROOM]

Added on by Yusuke Nakajima.

昨年9月にスタートしたホンマタカシ、田中義久、POSTによるエド・ルシェへのオマージュシリーズ第3回目として、この度は 「THIRTYFOUR PARKING LOTS」と 「SCANDINAVIAN MUSHROOM」の2冊を刊行、POSTでは出版に合わせた展覧会を開催します。

 

エド・ルシェが1960年代から1970年代に制作した写真を用いた一連のアーティストブックは、後世のアーティストや写真家たちに大きな影響を与え、再解釈やイミテーション、パロディーなど、世界各国の作家たちによる多様なオマージュを生み出しました。
オリジナルの形式やタイトルを引用する事で制作された本は約100冊にのぼり、ルシェはこれらの出版物を容認する事によって、芸術表現における主題や方法の許容範囲を間接的に拡張しています。

今回発表する1冊目はルシェのアーティストブック群の中でも特に評価の高い「THIRTYFOUR PARKING LOTS」です。ホンマが撮影してきた世界各国のパーキングを用い、レイアウトや印刷の線数、造本に至るまで1967年に発行されたルシェのオリジナルに忠実に則っています。
2冊目は、1972年に発行された「COLORED PEOPLE」を参照にしながら、モチーフを置き換えた「SCANDINAVIAN MUSHROOM」です。多肉植物の写真が切り抜きされ、ページに展開されていくオリジナルに倣い、ホンマが北欧で撮影したキノコの写真を同様の方法で1冊の本に仕立てています。

いずれの書籍も、印刷とデザインの段階でプリントのイメージに大きく手が加えられているのが特徴ですが、刊行に合わせて開催する展覧会では、作品集の元となっているオリジナルプリント計20点を展示します。

アーティストブックの金字塔として存在しているルシェの作品群への「返歌」を会場でぜひご覧ください。

協力: TARO NASU

 

※エド・ルシェ(エドワード・ルシェ、Edward Ruscha, 1937年12月16日 - )は、アメリカ合衆国の画家、現代美術のアーティスト。1960年代より、主に言葉と広告媒体のイメージを用い、コンセプチュアル・アートとしての特徴を持った絵画、写真、版画、映画などの製作を行っている。(Wikipedia より)
http://www.gagosian.com/artists/ed-ruscha

【展覧会】
TAKASHI HOMMA [THIRTYFOUR PARKING LOTS] & [SCANDINAVIAN MUSHROOM]
会期 2015年9月15日(火) - 10月4日(日)
時間 12:00 - 20:00 /月休 (※祝日の場合は通常営業)
会場 POST
※本展は、オープニングレセプションの開催はありません。

 

【写真集概要】
「THIRTYFOUR PARKING LOTS」
203mm x 254mm 48ページ 31白黒図版
初版 240部 / 第2版 200部、スペシャルエディション 30部+7A.P.
価格:通常版 3,200円+税 / スペシャルエディション 18,000円+税 

SCANDINAVIAN MUSHROOM」
140mm x 179mm 64ページ 15カラー図版
初版 440部 (※初版・第2版の区分はなし)、スペシャルエディション 30部+7A.P.
価格:通常版 2,800円+税  / スペシャルエディション 15,000円+税

 

【略歴】
ホンマタカシ/ 写真家
1962年東京生まれ。
2011年から2012年にかけて、自身初の美術館での個展「ニュー・ドキュメンタリー」を日本国内三ヵ所の美術館で開催。
写真集多数、著書に『たのしい写真 よい子のための写真教室』2014 年1 月に続編の『たのしい写真 3 ワークショップ篇』を刊行。
現在、東京造形大学大学院客員教授。

田中義久/ デザイナー
武蔵野美術大学空間演出デザイン学科卒業、2008年独立。美術館をはじめ、コマーシャルギャラリー等の展示V.I 計画や、アーティストの作品集の装丁、デザインを手がける。
主な受賞に2013年JAGDA 賞、JAGDA 新人賞、BACON PRIZE2013、2012 年PromaxBDA DESIGN GLOBAL EXCELLENCE AWARDS / SILVER(アメリカ)、2010 年red dot award(ドイツ)、また飯田竜太(彫刻家) とのアーティストユニット「Nerhol」としても活動中。

[talk event] 濱田祐史 x ホンマタカシ トークイベント 「写真と画像について」

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現在開催中の展覧会[C/M/Y]の関連イベントとして、濱田祐史とホンマタカシ氏によるトークイベント「写真と画像について」を開催します。
お誘いあわせのうえご参加ください。

【トークイベント】
日時:2015年9月4日(金) 19:00~20:30 (開場 18:30)

ゲスト:濱田祐史、ホンマタカシ
司会:永井雅也(IMA CONCEPT STORE)
※定員30名/要申込
参加費 500円(当日現金でお支払いください)

※9/4(金)更新:おかげさまで満席となりました。ありがとうございます。
 ご参加される方、会場でお待ちしております。

[Exhibition] 濱田 祐史: C/M/Y 写真集購入者限定特典

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いよいよ明日8/21(金)より、濱田 祐史新作展「C/M/Y」が始まります。

初日19:00よりレセプションを開催しますので、お誘いあわせのうえお気軽にご参加ください。
皆さまのご来場をお待ちしております。

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会期中に写真集「C/M/Y」をご購入いただいた方には、「オリジナルインビテーションカード」(非売品)を進呈させていただくことになりました。
これは、写真集「C/M/Y」の印刷段階で発生したテストプリントの用紙を断裁し、文字部分については、一部ずつ手作業でシルクスクリーン印刷を施しています。
会期中に会場で作品集をご購入いただいたお客さまに限定してお渡しする目的のもと、約400部ほど作成した希少性が高いものです。

※数に限りがあるため、なくなり次第終了となります。予めご了承ください。
ご興味のある方はお早めに。

[Exhibition] 濱田 祐史: C/M/Y

Added on by Yusuke Nakajima.

この度、POSTでは、写真家・濱田祐史の新作展「C/M/Y」を開催いたします。
本展は、オランダの出版社Fw:(エフダブリュー)から濱田の写真集「C/M/Y」が出版されることにあわせた展覧会です。 

本作品「C/M/Y」は、デジタルポラロイドを使い、出力されたフィルムを物理的にシアン、マゼンタ、イエローの三層へと分解し、再構成することで制作されています。今回POSTで展示される作品群は、昨年2014年にIMA CONCEPT STORE(東京・六本木)で初めて発表したシリーズ「C/M/Y_waterfall」から派生し、より複雑で遊び心のある表現へと進化しています。
「C/M/Y_mineral」は、あるイメージをC/M/Yに分離して表れた画層と、鉱物雑誌の誌面をルーペで拡大して撮影されたイメージをC/M/Yに分解した画層を重ね合わせることで、全く新しいイメージをつくり出しています。印刷物を再びC/M/Yに引きはがし、違う色に無限にある選択肢の繰り返しによって本シリーズがどこまでも拡張していく可能性を見出だせます。
「C/M/Y_cube」は、ルービックキューブのイメージをC/M/Yの画層に分離してそれぞれのレイヤーを重ね合わせるのですが、その際に少しずつずらして重ねることで色が変化していきます。ルービックキューブは両手を使って色を合わせる遊びですが、濱田は実際に手を動かして回すことなく、平面上での画層の変化によって色が変わっていくことを楽しむように二次元と三次元とを行き来しています。
多彩な表現を通じて、写真の可能性を拡張する作品を発表し続ける、濱田の新作をぜひご覧ください。

【展覧会】
濱田祐史「C/M/Y」
会期 2015年8月21日(金) - 9月6日(日)
時間 12:00 - 20:00 /月休 (※祝日の場合は通常営業)
会場 POST 

【オープニングレセプション】
日時 2015年8月21日(金) 19:00-21:00
会場 POST 

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【同時期開催 濱田祐史個展】
濱田祐史「C/M/Y」
会期 2015年8月18日(火) - 10月17日(土)
開廊 月 - 金 11:00 - 19:00 / 土 11:00 - 18:00 / 日・祝日 休館
会場 Photo Gallery International
  〒108-0023 東京都港区芝浦4-12-32

【写真集について】
本書は単に作品の記録を目的としているわけではなく、印刷物が綴じられた書籍というものをひとつの表現媒体と捉え、書籍だからこそ成立する実験的な表現に挑戦しています。シリーズ「C/M/Y_waterfall」の中から8枚の作品を選び、印刷の段階でもう一度それぞれの色を分解し、色とかたちの重なりから生まれる変化が面白いものを選び、C/M/Yの3色の紙の上に印刷しページを構成しました。印刷のプロセスや用紙を慎重に選び、本書において初めて実現した視覚的表現が収録されているのが特徴です。

出版:Fw:photography(アムステルダム、オランダ)
発売予定:2015年8月21日
サイズ:A4変形
ページ:64P
デザイン:ハンス・グレメン
製本種類:中綴じ
装丁:ソフトカバー
発行部数:1500 部
国内取り扱い:POST
海外取り扱い:IDEA Books(オランダ)
価格:¥4,500+税 ※2015/8/20追記

作家ステートメント“C/M/Y” (2014-2015) 

「見つけた」と思った。
たくさんの小さな写真を色分解して再構築する中で、今までに自身の中になかった”わからない””予測がつかない”というおもしろさと出会えたからだ。写真は撮影して終わりではなく現像、プリントの過程を経てできている。この過程の中でいくつもの喜びを感じ、時に暗室の中でアイデアが固まってくることもあった。今回のこの作品は撮影後の過程が特殊で仕上がりが特に偶発的に変化するため、衝動と直感で進めていくことがもっとも重要だった。夢の断片のように不確かな輪郭の重なりから完全な答えを導き出すことではなく、それらを受け入れて見ることで画像の呪縛から解き放たれた気がした。
このシリーズではシアン、マゼンタ、イエローの画層を加えたり減らしたりすることで無意識に認識している、ものそのものの印象がどのように変化するかを実験した。
制作を進める中で、子供の頃に絵を描くときに色と色が点や線や面で混ざり合い、新たな色やかたちに変化することに興奮したのを思い出した。最初に見た色とかたちがそのものの印象を決めていたはずなのに、画層を重ねることでひとつの新たなイメージが表層に現れて、さっきまで見ていたものではなくなる。イメージの重なり方の違い、画層を増やすことや逆に減らすこと、ほんの少しの重なりの違いでそれは目の前に現れる。
無限に広がる組み合わせから制作することはまるでもう一度撮影しているかのようだった。
​きっとこの選択肢の数と同じように、目に見えている色やかたちの受け取り方も人によって少しづつ違うのだろうなと感じながら、自分の遊びごころをもとに1枚づつ制作した。


濱田祐史 hamadayuji.com
1979年大阪府生まれ、奈良県育ち。
2003年日本大学藝術学部写真学科卒業。出版社勤務後に独立。現在、東京を拠点に作品制作をしている。
昨年出版された”photograph”はAperture/Paris Photo First Photobook award 2014にノミネートされるなど国内外で作品を発表し続けている。 


今後の展示予定
個展
2015 8/19-10/18“C/M/Y”(Photo Gallery International/Tokyo/Japan)
2015 8/21-9/6“C/M/Y”(limart POST/Tokyo/Japan)
グループ展
2015 9月“branch”Japan and Switzerland exchange project(Sion and Tokyo/Switzerland and Japan) 2015 10/8-12/31“Primal Mountain”(Aix province photo festival/France)
2015 7-9月“photograph”(Conde nast Gallery/NewYork/USA)
2015 7-8月“C/M/Y”(Laurence Miller Gallery/NewYork/USA)

[talk event] 黒田潔: Water(ゲスト / method 山田遊)

Added on by Yusuke Nakajima.

この度、POST では、イラストレーター/デザイナー黒田潔の新作シリーズ「Water」の展覧会開催にあわせて、トークイベントを開催いたします。お誘いあわせのうえご参加ください。

©Kiyoshi Kuroda All Rights Reserved

【トークイベント】
ゲスト 黒田潔/山田 遊(method)
日時 2015年8月7日(金) 19:00-20:30 (開場 18:30)
会場 POST 
定員 35名/入場無料・要予約

申込方法>
予約は営業時間中(火〜日曜日 12:00〜20:00)にお電話(03-3713-8670) 、
またはe-mail post@post-books.jpまでご連絡ください。

メールでのご予約の際は、
■お名前
■お電話番号
■ご参加希望人数
を明記の上お申し込みください。
定員に達した時点でお申込を締め切らせていただきます。

[Interview] Nerhol: Slicing the Onion

Added on by Yusuke Nakajima.

7/26(日)まで開催中のNerhol新作展において、[Slicing the Onion]に関連する質問をし、回答を寄せてもらいました。
会場の作品とあわせてぜひご覧ください。

Q. 本シリーズを作成するに至った経緯を教えてください。

Nerholは流動する被写体をモチーフとしてきましたが、それは消費される社会の縮図である有機性に着目していたからです。ミクロコスモス(小宇宙)としても捉えられる人間、それ自体が相対的な時間軸とは別に、個の確立として持つ時間軸があり、それを写真と彫刻的な手法で定着させてきました。

それら一連の作品群の手法を元に、「静物」というそれぞれの有機物を構成してきたものを取り入れようと試みました。それには「彫る」という行為に於ける内包された形を浮かび上がらせる性質と、素材と手法のバリエーションによる視覚可能な表情の違いをみることができるという二つに大きく立ち返っています。より身近な主題をモチーフに、それらが持つ、見ることができない風景を見るために今回のシリーズがスタートしました。 

 

Q. なぜ被写体にタマネギを選んだのですか?それ以外の食物では成立しないのでしょうか?

私たちが対象にしているものは日常に多数存在していますし、必要性は日常性です。ドイツの小説家ギュンター・グラス(1927-2015)は著作『ブリキの太鼓』などを通じてドイツの社会主義に対する懐疑や反省の意を表し多くの支持を得てきましたが、自伝的作品『Peeling the Onion』では第二次世界大戦中にナチス親衛隊に入隊していたことを明かしました。本人いわく、今でこそ社会主義は過ちだと分かっているというが、社会主義に加担していたという極めてセンセーショナルな独白は、世界的にも大きな非難を呼びました。しかし、ここでいう加担とは全体主義により起こった事象であって、私たちは日常において何かを手に入れ、食していることに問題意識を置き、深刻に考えることはないでしょう。グラスは、自分の身の回りに起こった事柄を、一枚一枚タマネギの皮をむくように丁寧に書き綴ります。タマネギはシンメトリーではないのです。

 

Q. 被写体の定点観測のプロセスを教えてください。

壁面に固定されたタマネギを真俯瞰で撮影していきます。
スライサーで1ショットに対し一回ずつ、できるだけ薄くスライサーで正面から削っていきます。
タマネギには大きさの個体差が多少あるので、モノによっては70枚で全て切り落とされるものもあれば、100カット以上に及ぶものもあります。その後、撮影された一連の写真を時系列で印刷、ひとつの紙の束にし、カッターナイフで一枚ずつ彫っていきます。会場でひとまとまりのグループとなって展示されている5~7つの作品はすべて同一の被写体です。

[Exhibition] 黒田潔: Water

Added on by Yusuke Nakajima.

この度、POST では、イラストレーター/デザイナー黒田潔の新作シリーズ「Water」の展覧会を開催、本展にあわせて同名の作品集を出版します。

 

©Kiyoshi Kuroda All Rights Reserved

動物や植物といった具象的なものを丁寧に描き上げる作品で知られる作者が、今回着目したのは「水」。
グラスに注がれた水、水をかけられたポット、水面から顔をだす北極グマ。水のある典型的な情景から始まり、水から連想したペンキ、コップ、人物…と、物体や事象へと派生していきます。かたちを持たない水が、時間を経て刻一刻と変化していくその一瞬を切り取ると、そこには豊かな表情があらわれます。
これまでの緻密で生命力溢れる作品群とは異なり、余白を持たせながらストレートな筆致で描かれるモノクロームの本作は、鑑賞を通じて各々が自由に想像を広げたり、感情の入り込むような余地があります。
新たな試みへと臨む黒田の新作をぜひご覧ください。

 

【展覧会】
黒田 潔 [Water]
会期 2015年7月31日(金) - 8月16日(日)
時間 12:00 - 20:00 /月休 (※祝日の場合は通常営業)
会場 POST

【オープニングレセプション】
日時 2015年7月31日(金)  19:00-21:00
会場 POST

【トークイベント】
日時 2015年8月7日(金) 19:00-20:30 /開場18:30
会場 POST /要予約/ゲスト:山田 遊(method)
※申込方法などの詳細はこちら

©Kiyoshi Kuroda All Rights Reserved

【アーティストステートメント】

今回の展覧会では、水の流れや泡、水滴や水の歪みといった「水」から派生する作品をモノクロのドローイングで描いた作品を展示します。
水といったかたちの変化するモチーフは、液体の水だけでなく、湿気や湿度といった水分、湿度のある空気感や感情といった目に見えないものも含めて表現しました。
近年中心となっていた動植物の美しいフォルムを精密な描写で描く表現から、かたちを持たない水というモチーフを白黒のシンプルなタッチで描くことで、かたちの捉え方や線の変化など新しい発見と進化が制作していく中で生まれました。

黒田 潔

【作家略歴】
黒田 潔 Kiyoshi Kuroda

1975年東京生まれ。2001年多摩美術大学大学院美術研究科グラフィックデザイン専攻修了後、幾つかのデザイン事務所を経て、2003年にイラストレーターとして活動を開始し、線画で描かれる動植物のアートワークで広告や本の装丁をはじめ、さまざまな分野で活躍を続ける。2009年(株)KABWA設立。大阪成蹊大学客員教授。
今までの展覧会には、「線」TETOKA(2014年/東京)、「オープンスタジオプロジェクト』NANZUKA(2011年/東京)、「MOTアニュアル装飾」東京都現代美術館(2010年/東京)、「Nam June Paik Festival,Now Junp!」ナム・ジュン=パイク・アート・センター(2008年/韓国・龍仁)等がある。
主な作品集に「森へ」(ピエ・ブックス)、古川日出男との共作「舗装道路の消えた世界」(河出書房新社)がある。
http://www.kiyoshikuroda.jp/

[Exhibition] Nerhol: Slicing the Onion / Start

Added on by Yusuke Nakajima.

本日7/3(金)より、アーティストユニットNerhol(ネルホル)の新作展「Slicing the Onion」がスタートしました。

初日19:00よりレセプションを開催します。
あいにくの雨模様ではありますが、ぜひお誘い合わせのうえご参加ください。

[Exhibition] Nerhol: Slicing the Onion

Added on by Yusuke Nakajima.

この度、POSTでは、現在、国内外で注目を集めるアーティストユニットNerhol(ネルホル)の新作展を開催します。2012年4月に開催した展覧会以来、3年ぶりとなるPOSTでの個展では「食物」をテーマとした作品を発表します。

 

日々私たちの食卓へと運ばれてくるさまざまな食物。
それらの由来は様々ですが、大量生産・大量消費を未だにベースにし続ける経済は、食物においても生産・流通・消費の様々な場面を規格化することで、その構造を支えています。

今回、Nerholはタマネギを被写体に選びました。何層にもわたって同じ表情を内側に湛える食物がタマネギです。
本展では、タマネギの塊(マス)をスライスし、その個体の成長の結果として現れる皮層を定点観測した約80枚の写真を時系列で重ね合わせ、5~ 7パターンの切り方でカットした新作36点を発表します。
私たちが避けがたく/知らずに加担し続ける資本主義の構造をそれとなく示唆しながらも、表象的な魅力を軽やかに担保する Nerholの新作をぜひご覧ください。
 

【展覧会概要】
会期 2015年7月3日(金)~7月26日(日)
時間 12:00~20:00(月曜休み、祝日の場合は通常営業)
会場 POST

【レセプション】
日時 2015年7月3日(金) 19:00〜21:00
会場 POST

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Nerhol(ネルホル)

Nerholは、田中義久と飯田竜太の二人からなるアーティストユニット。それぞれの活動を展開していた二人は、現代においていかにして問題を提起し、人に伝えていくかという方法論において共通項を見出し、2007年よりNerholとして活動を開始する。
その後、国内外の美術館やギャラリーの展覧会への参加を重ねるなか、現代の経済活動が生み出し続ける消費と生成、忘却という巨大なサイクルの急所を突くような作品を一貫して制作している。その作品は、amana photo collectionに収蔵されるなど、国内外を問わず、近年評価を高めつつある。
田中は1980年に静岡県に生まれ、2004年武蔵野美術大学造形学部空間演出デザイン学科を卒業後、東京を拠点に活動を続ける。飯田は、1981年に静岡県に生まれ、2014年 東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修了、現在は青森県八戸市から東京に拠点を移して活動している。
直近の展覧会には、IMA CONCEPT STORE(2014年/東京)、EYE OF GYLE(2014年/東京)、foam museum(2015年/オランダ・アムステルダム)YOUNGEUN MUSEUM OF CONTEMPORARY ART(2015年/韓国・光州)がある。
http://www.nerhol.com/

[Exhibition] 北井一夫写真集「抵抗 カラー補足版」出版記念イベント / Start

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本日6/25(木)より、北井一夫写真集「抵抗 カラー補足版」出版記念イベントがスタート。
会場には、モノクロームのネガで撮影されたオリジナル作品8点を展示しています。
ご来場の際には、写真集とあわせてご高覧ください。

なお、今週末6/28(日)18:00より開催されるトークイベントも、引き続き参加受付中です。
詳細・申込方法はこちらから。

[Exhibition] 北井一夫写真集「抵抗 カラー補足版」出版記念イベント

Added on by Yusuke Nakajima.

この度、POSTでは、写真家・北井一夫の写真集「抵抗 カラー補足版」の出版にあわせて展覧会を開催します。

©Kazuo Kitai

 

私の写真は「抵抗」を撮ったことからはじまった。
写真集「抵抗」は12枚のカラー写真を使いたかったが、経済的理由からモノクロームになってしまった。私は「抵抗」が未完成だという気持ちを持ち続けていた。未完成だった「抵抗」を完成させたくて、この「カラー補足版」を作ることにした。

北井一夫

©Kazuo Kitai

1964年11月7日、当時20歳だった北井は、アメリカ原子力潜水艦横須賀寄港に反対した全学連の闘争を撮影しました。写真をやめようと決心してから一年以上も高温多湿な場所に放置したモノクロームのフィルムを用いて、その劣化をマチエールに見立てて撮影を敢行したのだと言います。学生たちの社会への反抗の姿は北井自身の写真の秩序への反抗と結びつき、それを写真に定着できるかという実験の好機となりました。被写体はピンボケでカメラも手ブレ、フィルムは粗粒子でザラザラなうえに擦り傷だらけ…模範的な写真とは対照的な出来映えでしたが、それは北井にとって思い通りの良い仕上がり。これをもとに写真集を作ろうと決心し、今度は横須賀基地周辺にある米兵相手のバー街をネガカラーで撮影しました。
本来は、モノクロームで学生たちのデモと機動隊、カラーで横須賀バー街にたむろする米兵たち、と対比を繰り返すページ構成を想定していました。しかし制作費が足らず、結局翌65年に全ページがモノクロームだけの印刷で初めての写真集「抵抗」を自費出版しました。
それから半世紀が経ちました。当時の横須賀基地の街を撮ったネガカラーはいままで一度もプリントされることはありませんでした。2015年の節目にあたり、ようやく本来の色付きの写真集「抵抗 カラー補足版」が完成しました。

会場では、写真集「抵抗 カラー補足版」を先行販売するほか、モノクローム作品の展示販売をいたします。
なお、会期中にはトークイベントも開催しますので、お誘い合わせのうえご来場ください。

協力 ZEN FOTO GALLERYshashasha

©Kazuo Kitai

【展覧会概要】
会期 2015年6月25日(木)~6月30日(火)
時間 12:00~20:00
会場 POST

 

【トークイベント】
ゲスト:北井一夫/東方輝(2手舎
日時:2015年6月28日(日) 18:00~19:30(開場 17:30)
会場:POST
定員40名、要予約、入場無料

 <申込方法>
予約は営業時間中(火〜日曜日 12:00〜20:00)にお電話(03-3713-8670) 、
またはe-mail post@post-books.jpまでご連絡ください。

メールでのご予約の際は、
■お名前
■お電話番号
■ご参加希望人数
を明記の上お申し込みください。
定員に達した時点でお申込を締め切らせていただきます。

©Kazuo Kitai

【作家略歴】
北井一夫(きたい かずお) 1944年12月26日 中国鞍山市に生まれる。
1965年 日本大学芸術学部写真学科中退。
1972年 日本写真協会新人賞を受賞。
1976年 第1回木村伊兵衛賞を受賞。

【写真集概要】
北井一夫作品集3「抵抗 カラー補足版」
発行者:北井一夫
発行所:KAZUO KITAI FOTO INSTITUT
写真・構成:北井一夫
デザイン:石山さつき
協力:ZEN FOTO GALLERY
印刷:株式会社東京印書館 295mm x 295mm カラー13ページ 限定151部/サイン・ナンバー入り
価格:20,000円+税

[Exhibition]生活文化誌「疾駆/chic」:第5号刊行記念展覧会 / Start

Added on by Yusuke Nakajima.

本日5/30(土)より、疾駆第5号刊行記念展覧会がスタート。
本誌に掲載された小林エリカさんのイラスト原画全25点を順に観ていくと、寒さで凍えるなか手を動かした筆致や雪でにじんだインクなどから、彼らが2015年3月10日に皇居のまわりを一周したときの情景が想像できます。
展示された作品にはそれぞれ番号が振られ、会場の壁一面に拡がる皇居のまわりをかたどったインスタレーションと呼応しています。ご高覧の際は、ぜひ照らし合わせてみてください。

また、今月上旬にヨーロッパで仕入れた新刊・古書の本も続々届き、早速店頭に展開しています。ご来場にあわせてこちらもぜひご覧ください。

[Exhibition]生活文化誌「疾駆/chic」:第5号刊行記念展覧会

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この度、POSTでは、5月上旬に刊行された生活文化誌「疾駆/chic」第5号の刊行を記念して、展覧会を開催いたします。

展覧会では、今号の「東京」特集を彩る小林エリカさんのイラスト原画から約25点の作品を展示・販売いたします。本誌に掲載の小林エリカさんのテキストとともに、特集内容をより深くご紹介する貴重な機会となります。皆さま是非ご来場ください。

©Erika Kobayashi

【展覧会】
生活文化誌「疾駆/chic」:第5号刊行記念展覧会
会期 2015年5月30日(土) 〜6月21日(日)
時間 12:00 - 20:00 /月休
会場 POST

疾駆/chic 5号

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本日5/3(日祝)開催の疾駆トークイベントに先立ち、最新号となる5号が届きました。
早速店頭で展開しています。

今夜はイベント開催に伴い、通常営業は18:30までとなります。
ご来店の際はご注意ください。
※トークイベントは定員に達しましたので、申込は締め切らせて頂きました。予めご了承ください。